SESはブラック企業が多い?ブラック企業の特徴とやるべきことを解説

この記事では「現在SESとして働いている」「これからSESとして働きたい」エンジニアに向けて、いわゆる“ブラック”なSES企業に就職しないためのノウハウを解説します。
ブラック企業が多いと言われているSES会社。
しかし当然、すべてのSES会社がブラックというわけではありません。
この記事を最後まで読むことで、以下のことが分かります。
- SES会社が“ブラック”と言われがちな理由
- ブラックなSES企業の特徴
- ブラックなSES企業の見極め方
あなた自身がより良い環境で働くために、ぜひ参考にしてくださいね。
SESがブラックといわれる理由
あなたは「SES企業はブラックな働き方になるケースが多い」という噂を聞いたことがありますか?
もちろん、あらゆるSES企業がブラックな働き方になるわけではありません。ではなぜ、このような噂が多いのでしょうか。
実は“SES”という働き方がブラックと言われているのには、主に以下の5つの理由があります。
- 労働条件が曖昧になりやすいから
- 常駐先によっては待遇や労働環境が悪いから
- 自分に合わない案件を紹介されやすいから
- 長年働いてもスキルアップできないケースもあるから
- エンジニアが安く買い叩かれていることもあるから
それぞれの詳細な理由を解説しましょう。
労働条件が曖昧になりやすい
SESは、自身がSES企業と雇用契約を結び、担当案件のクライアント先で働きます。そのため、クライアントにはエンジニアに対する指示命令権がありません。
しかしこの決まりを知らないエンジニアが多く、クライアントからの残業や休日出勤の指示に従ってしまうことがあるのです。
またSES企業の中には、エンジニアの権利よりもクライアントとの関係を優先し、都合よくエンジニアを使っている悪どいケースも存在しているのが現実です。
そのため、労働条件が曖昧になり、半ば強制的にブラックな働き方をさせられるケースが発生します。
勤務先によっては待遇や労働環境が悪い
SESは、案件ごとに働く常駐先が変わります。たとえ全く同じ仕事内容だったとしても、常駐先の企業によって給料や待遇が異なるのです。
特にエンジニアとしてのスキルが未熟な“駆け出し時期”の場合、下請け業務がメインの案件担当になり、給与などの待遇が低くなるケースも発生します。
「常駐先の企業の待遇が悪い」かつ「下請け業務がメインで単価の安い案件」の場合、“ブラック”だと感じることも多くなるでしょう。
自分に合わない案件を紹介されやすい
SES企業によっては「自分に合わない案件を紹介されやすい」という問題もあります。
中には、“クライアントの要望に応えること”や“会社の利益”のみを優先し、エンジニアのスキルや経験・希望などを全く考慮しないSES企業も存在しているのです。
エンジニアの意向を全く無視するような企業であれば、当然ブラックな働き方をさせられる可能性が高いため注意しましょう。
長年働いてもスキルアップできない
SESとして長年働いていると「スキルアップできない」という問題に直面するケースもあります。
単純労働の案件ばかり担当させられて、自分の能力を伸ばす機会がないまま時間が過ぎてしまう人も中にはいるのです。
このような状況では、いざ焦って転職しようにもスキル不足で難しくなってしまう可能性が高いため注意が必要です。
エンジニアが安く買い叩かれている
エンジニアとしてSES企業に就職すると、自身の給料が市場価値に見合っているかどうか分かりにくいことがあります。
怖いことに、企業によってはエンジニアの評価基準を不明瞭にしており、実際のスキルに見合わない“低い年収”で働かせているケースも珍しくないのです。
これもSESの働き方がブラックだと噂される要因の一つです。
評価基準が不透明で、なおかつ案件の選択肢が限られていると、自分のスキル価値に気づかないまま安い給与で働き続けることもあるため注意が必要です。
ブラックなSES企業の特徴8選
誰しもが「SESとして働くなら、絶対にブラック企業は避けたい……!」と考えていると思います。
そこで、SES企業である株式会社ESESだからこそ分かる「ブラックなSES企業の特徴」をお伝えします。
- 元請けから離れている案件が多い
- ネガティブな口コミが多い
- 評価基準が曖昧
- 単価や給料決定方法(還元率)を開示していない
- 会社情報があまり開示されていない
- 入社を急かす
- 企業自体が成長していない
- 研修・教育制度やサポート体制が整ってない
このような特徴のあるSES企業に入社しないよう、具体的な内容を解説していきます。
1.元請けから離れている
「ブラックなSES企業の特徴」1つ目は、元請けから離れていることです。
一般的に元請けから離れるほどマージンが引かれていくため、報酬が低くなります。そのため、ブラック企業の可能性が高くなります。
また、下請けで行う仕事は「単調な作業の繰り返し」や「最新の技術に触れる機会がない」など、スキルアップに繋がる案件の確率も下がってしまうのが現実です。
とはいえ、3次請け・4次請けの案件が多いからといって、必ずしも報酬が低かったりスキルが身につかないわけではありません。
問題なのは「下請け企業であること」ではなく「無駄な商流があるために階層が下がっていること」です。
入社前に、具体的にどのような案件が多いのかを確認するようにしましょう。
2.ネガティブな口コミが多い
「ブラックなSES企業の特徴」2つ目は、ネガティブな口コミが多いことです。
元社員や現役社員が、口コミサイトに会社の実態を投稿している場合もあるため、一度調べてみましょう。
口コミを見る場合は、良い口コミよりも悪い口コミに目を向けること。
そして、悪い口コミが全て現実だった場合を想定し「その環境でも働けるかどうか」を判断基準にしてください。
基本的に口コミサイトは不満を持った人が書き込む傾向が強く、負の情報が偏ってしまうケースも多いです。
必ず複数のサイトを参考にし、信用しすぎず、あくまでも“参考程度”にすることも忘れないでください。
3.評価基準が曖昧
3つ目の特徴は、評価基準が曖昧であるということです。
評価基準が曖昧だと、自分の働きに対する報酬が適切かどうかが分かりません。
そのため、入社前に詳しい評価基準を確認するようにしましょう。
明確な回答が得られない場合は、ブラック企業の可能性が高くなります。
4.単価や給料決定方法(還元率)を開示していない
4つ目の特徴は、単価や給料決定方法(還元率)を開示していないことです。
単価や還元率は、労働に対する報酬の水準を知るために重要な情報。
しかし中には、これらの情報を教えてくれないSES企業も存在します。
このような会社は、ブラック企業である可能性が高いため注意しましょう。
また、還元率が極端に低い場合にも注意が必要です。
SES業界の還元率の平均は60%程度で、それ以下の場合は、SES企業が不当に利益を得ている可能性があります。
5.会社情報があまり開示されていない
5つ目の特徴に、会社情報があまり開示されていないことが挙げられます。
単価、還元率、売上、営業利益額など、会社のIR情報を何も載せていない会社には気を付けましょう。
通常では掲載して問題ない内容が開示されていないということは、何か後ろめたい理由がある可能性が高いからです。
なお、HP上や採用媒体に記載されている従業員数にも注意が必要です。
企業の従業員数は、日本年金機構のHPで会社名を検索すると調べることができます。
日本年金機構に掲載されている数字が企業のHPや採用媒体と大きく異なっていた場合、何かしらの意図があってHPなどの数字を偽っている可能性が高いです。
参考:「日本年金機構:厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」
6.入社を急かす
6つ目の特徴は、入社を急かすことです。
抱える案件の少ない企業は、多少割に合わない案件でも強引にエンジニアを派遣してしまう傾向にあります。理由は明白、そうしないと売上が立たないからです。
しかしそのせいでエンジニアの満足度は低くなり、結果、退職者が続出してしまいます。
そうすると、企業はまた新しいエンジニアを探さなければなりません。案件に参画してもらうエンジニアを確保するために、採用に追われる状況が続きます。
もしも強引に入社を進めるSES企業に出会ったら、その企業は人員不足などの問題を抱えている可能性があるため注意しましょう。
7.企業自体が成長していない
7つ目の特徴として、企業自体が成長していないことが挙げられます。
SESはエンジニアを他社に派遣し利益を得るビジネスモデルであり、成長しているかどうかは社員数で判断できます。
例えば、社員数が増えていれば、受注案件が増え、その需要に応じてエンジニアを多く採用しているということ。
逆に社員数が減っていれば、案件数が増えていないか減っており、エンジニアが離職していると言えます。
そしてブラックなSES企業では、社員数が横ばい、もしくは減っているケースが多いです。
これには主に2つの理由が考えられます。
1つは離職率が高いために、新規採用した人数と辞めた人数がほぼ同じか、辞めた人数が多くなってしまうからです。
もう1つは、業績が悪いために新しい技術者を採用する余裕がないからです。
どちらにせよ、ブラックなSES企業は社員数を増やす余裕がない傾向にあるため、SES企業を調べる際は社員数の推移にも注目しましょう。
8.研修・教育制度やサポート体制が整ってない
SESは未経験者でも就職しやすい業界として知られていますが、全ての企業に十分な研修制度があるとは限りません。
教育制度が整っていないまま未経験者を採用し、ほとんど指導せずに現場へ配属させる企業も存在します。
こうした環境では、知識もスキルも不足した状態で業務に取り組むことになり、ついていけずに早期離職してしまうケースが少なくありません。
未経験から安心して成長したいなら、研修やサポート体制が整っている企業かどうかを事前に確認しましょう。
監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
自分の中の“違和感”は大切にしましょう
ブラックなSES企業の特徴はいくつかありますが、これらに1つでも当てはまるからといって必ずしもブラックだと断定できるわけではありません。
しかし、当てはまる項目が多ければ多いほど、ブラック企業である可能性は高まります。
SES企業を選ぶ際は、社員数の推移や還元率の水準などを事前に確認することが重要です。
また、口コミサイトでの評価も参考になるでしょう。
加えて報酬の評価基準の説明が曖昧だったり、入社を無理に急かす雰囲気があったりするなら注意が必要です。
「何か変だな」と思ったら、その違和感は当たっていることが多いため、そのままにせず一旦冷静に考えることをおすすめします。
ブラックなSES企業に転職しないためにやるべきこと3選
ブラックなSES企業に転職してしまうと、長時間労働や低賃金、不適切な評価など、様々な問題に直面する可能性があります。
そうならないためにも、以下3つのポイントを押さえて転職しましょう。
- キャリアプランや希望条件を明確にする
- 働きやすい企業を見極める
- 給与・賞与に納得できる
これらのポイントを意識すれば、自分に合うSES企業を見つけやすくなります。
では、それぞれについて詳しく解説していきます。
1.キャリアプランや希望条件を明確にする
まずは、自分のキャリアプランや希望条件を明確にすることが重要です。
SESでは、派遣先の企業やプロジェクトによって仕事内容や労働条件が大きく変わります。
そのため、自分の希望をしっかりと伝えられないと、思わぬ案件の担当になってしまったり、仕事に対して不満やストレスが溜まってしまいます。
事前に整理すべき条件としては、以下のような内容が挙げられます。
- 仕事内容
- 身につけたいスキル
- 給与
- リモートワークの有無
将来なりたい姿を想像して、そこから具体的にキャリアプランや希望条件、働き方などを決めましょう。
2.働きやすい企業を見極める
働きやすい企業を見極めることも大切です。
SES業界には「単価連動型の評価制度」や「案件をエンジニア自ら選べる案件選択制度」などがあり、企業によって様々な制度が採用されています。
聞き慣れない単語だと難しく感じるかもしれませんが、これらの制度を理解することで、自分の希望に合った仕事を見つけやすくなるでしょう。
また、ブラック企業であるかどうかを判断しやすくなります。
転職の際は、ブラック企業に騙されないようにしつつ、自分に合う制度を設けている企業を見つけましょう。
3.給与・賞与に納得できる
給与や賞与に納得できることも大切なポイントです。
給与や賞与は、企業の安定度やエンジニアへの評価を表す重要な指標です。
低すぎる給与や賞与は、企業が経営的に苦しんでいたり、エンジニアを過剰に使っていたりする状況を示している可能性があります。
ブラック企業を避けたいのであれば、給与や賞与が低すぎる会社は避けるのが無難でしょう。
ここで求人情報・転職サイトdoda(デューダ)が2024年12月16日に公開した「平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】」を紹介します。
ランキングによると、ITエンジニア全体(技術系 IT/通信)の平均年収は462万円です。
その中でもSESエンジニアの平均年収は300〜500万円であり、未経験の場合は300万円程度からのスタートが一般的です。
未経験でも就職しやすいことや下請けの案件が多いことから、SESの平均年収自体が低めになっています。
しかし、この年収を大きく下回る企業もあるため、入社前に必ず確認しましょう。
SESの年収については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
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ブラックなSES企業に関するよくある質問
「SESはブラック企業が多い」といわれる理由には、案件選択の自由度や評価基準の不透明さが関係しています。
この章では、案件選択制度や単価評価制度の仕組み、SES優良企業の見分け方など、転職や就職で失敗しないために知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
Q1.SESでは自分の希望の案件は受けられないの?
結論として、案件の選択可否は企業によって異なります。
全く選べない企業もあれば「希望は出せるが通るとは限らない」といったケースもあります。
そこでおすすめなのが「案件選択制度」を導入しているSES企業です。
この制度がある企業では、エンジニアが自分の希望やスキルに合った案件を選べる仕組みが整っており、ある程度の自由度が確保されています。
企業ごとに自由度の差はありますが、この制度があるかどうかが、自分らしい働き方を実現できるかの1つの目安になるでしょう。
案件選択制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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Q2.「単価評価制度」って何?
単価評価制度とは、クライアントから提示された単価を基準にして、エンジニアの月給や年収、昇給・賞与額が決まる仕組みです。
エンジニア自身のスキルや成果に応じて収入がアップするため、自分の市場価値に見合った報酬を得やすく、やりがいも感じやすくなります。
案件ごとの単価が事前に開示されるケースが多く、報酬の決定プロセスが明確で、納得して働けるのも大きなメリットです。
不透明な評価が多いSES業界において、単価評価制度の有無は企業選びの重要な判断基準になるでしょう。
単価評価制度の詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。
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Q3.SES優良企業の特徴は?
ブラックなSES企業がある一方で、働きやすい優良企業も確かに存在します。
優良なSES企業には、次のような特徴があります。
- 希望のキャリアパスが描ける
- 評価基準が明確である
- 単価や還元率が開示されている
- 会社情報が開示されている
- 企業自体が成長している
このような特徴がそろっている企業であれば、安心して働き続けられる可能性が高いでしょう。
転職や就職の際は、求人情報だけでなく、企業の姿勢や体制にも注目することが大切です。
優良なSES企業の特徴は、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
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まとめ
ブラックなSES企業を見極めるには、今回解説したポイントを押さえることが大切です。
求人情報や企業HPなど、ネット上で得られる情報からも判断できることが多いため、事前によく調べておくことをおすすめします。
また弊社ESESでも、SES事業を展開しています。
ESESは「高還元の報酬制度」「エンジニア主導の案件選択制度」「充実したキャリア支援」が特徴の企業です。
クライアントからの契約単価のうち、77%をエンジニアに還元する高還元SESであり、業界でも高水準の数値です。
将来的には、還元率を80%に引き上げることを目標にしています。
弊社ESESでは「完全案件選択制」を導入しており、エンジニア自身が希望の案件に応募できるのはもちろん、案件の継続や離脱も自らが決められる仕組みです。
また弊社ESESの営業担当は、就職エージェント出身の経験豊富な人材を採用しています。
そのため、的確なアドバイスや転職活動の手厚いサポートが受けられます。
エンジニアの皆さん、弊社ESESも転職先の1つとして考えてみませんか?
気になる方は以下の求人詳細をご確認ください。

監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
「希望に沿わない案件配属」の原因を考えましょう
この「自分に合わない案件に配属される問題」は、必ずしも企業側だけに原因があるとは限りません。
場合によっては双方のコミュニケーション不足や、エンジニア自身に原因があることも考えられます。
SES企業では、案件を開始する前に、エンジニアと常駐予定先企業とで面談を行います。
その際に、エンジニア自身が面談の準備を怠っていたり、スキルシート(自身の技術スキルをまとめた書類)の内容を説明できないと、当然面談はうまくいきません。
結果、希望の案件への参画が叶わず、“合わない案件”に配属される可能性もあります。
これはSES企業の営業フォローによって十分に対処可能な問題です。
しかし、そもそも営業との意思疎通がうまくいっていないと、希望条件を伝えきれずミスマッチが起こることも少なくありません。
希望の案件を受けられない理由はいくつか考えられるため「何が原因で希望案件を受けられないのか」を明確にしてから、ブラック企業かどうかを判断しましょう。