SESの年収はどれくらい?年収アップの方法も解説
目次
SESエンジニアとして働いてはいるものの、社内エンジニアなどと比較すると年収が低い傾向にあるなど、年収について気になることがある人も多いのではないでしょうか。
SESエンジニアという働き方に納得している人であれば、収入のことを理由に転職するのではなく、SESエンジニアとして働き続けながら年収アップを目指す方法がおすすめです。
そこで今回は、SESエンジニアの年収について解説するとともに、年収アップの方法もご紹介します。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
SESの年収はどれくらい?
SESエンジニアの平均年収は300~500万円と言われており、新卒やエンジニア未経験の場合は300万円程度からのスタートが一般的です。
求人情報・転職サイトdoda(デューダ)の調査によると、技術系(IT/通信)全体の平均年収は442万円とされています。
つまり、SESエンジニアは特別年収が低い、または高いというわけではないといえるでしょう。
エンジニアは、持っているスキルや実績により年収がかなり変動する職種であり、年収には個人差がかなりあります。
そのため「1年目:◯万円」「20代:◯万円」のようなロールモデルを提示することは容易ではありません。
ただ、現在、弊社ESESで働いているエンジニアの年収の一例としては以下の通りです。
- 460万円 / 23歳 女性(経験2年)
- 500万円 / 25歳 女性(経験2年)
- 600万円 / 34歳 男性(経験7年)
- 790万円 / 48歳 男性(経験22年)
つまり、このようにスキルを身につけ、実績を積んでいけば基本的に年収は上がるものであることが考えられます。
参考:求人情報・転職サイトdoda(デューダ)「平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】」
SESの年収が低いといわれる理由3選
インターネットの記事やSNSの書き込みを見ると、「SESは年収が低い」といった内容を目にすることがあります。
しかし、先程ご紹介したとおり、SESの年収はITエンジニアの中でも目立って低いというわけではありません。
ではなぜ「年収が低い」といったことが言われてしまうのでしょうか?
ここからはその理由を解説します。
1.案件によっては無駄なマージンが発生しているから
SESでは3次請け、4次請けといった案件を扱うことも少なくありません。
3次請けや4次請けだからといって必ずしも報酬が低いとは言い切れませんが、一般的には商流が深くなるほどマージンは引かれていくため、その分報酬は低くなります。
引かれるマージンが正当なものであれば問題はありませんが、中には無駄な商流が発生していて、企業が多くマージンを取っていることもあります。
そうなると、エンジニアの仕事ぶりに対して報酬が十分に還元されなくなり、結果として収入が低くなるといった現象が起こってしまうのです。
2.企業によっては還元率が低いから
還元率とは、エンジニア1人あたりの単価に対して、どれほどの比率でエンジニア本人に報酬として還元されるかを表したものです。
SESでは、還元率がエンジニアに公表されていないケースも多く、「還元率が低いから給料が上がらない」という認識を持っている人も少なくありません。
一般的に、SESの還元率は50~60%であることが多く、70%以上であれば高水準であるといえます。
ただし、還元率は高ければ高いほど良いというわけではありません。
還元率が高くても、SES企業に十分な利益が残っていなければ、経営が不安定になり、SES企業の存続自体が危ぶまれることにもなりかねないのです。
また、還元率の計算方法には明確な決まりがない点にも注意が必要です。
一見高還元率に見えても、実際には各種手当の金額や、待機時の積立金として引かれてしまうこともあります。
高還元率を謳っている企業については、高還元率を実現できている理由をしっかり確認しておきましょう。
3.案件によってはスキルが身につかないから
SESは下請けの案件が多いため、エンジニア経験が少ない人や未経験の人でも就職しやすいというメリットがあります。
しかし、それは裏を返せばエンジニア経験が少ない人や未経験の人でも就業可能な単純作業である可能性があります。
このような案件ばかりを受け続けていると、エンジニアの経験年数に対してスキルが身につかず、年収も上がらないという事態に陥ってしまいます。
IT業界では求められる知識やスキルの変化が激しく、スキルアップができない人はどんどん選べる案件が減り、伸びしろのある若いエンジニアの方が選ばれがちです。
下請け業務であっても問題はありませんが、少しずつでもスキルアップが期待できる案件を選んでいくことが大切です。
SESで年収を上げる方法3選
SESエンジニアという働き方にメリットを感じているのであれば、年収を上げることにも目を向けてみましょう。
SESエンジニアはSIerや社内エンジニアと比較すると年収は低くなりがちですが、動き方次第で年収を上げることが十分に可能です。
ここからはSESで年収を上げる方法を3つご紹介します。
1.スキルを磨く
慢性的な人材不足であるIT業界にとって、エンジニアの需要は非常に高く、高いスキルがあればあるほど市場価値は高まります。
これはSESエンジニアにも言えることで、スキルアップをすることが年収を上げるための1番のポイントです。
例えば、SES企業が単価の高い案件を扱っていても、所属するエンジニアのスキルが不足していれば、その案件を担当することができません。
反対に、高いスキルがあれば単価の高い案件を依頼される可能性は高くなります。
入社時の収入が多少低くても、経験年数は関係なくスキルさえ磨けば年収アップできる点はエンジニアの大きな特徴です。
そのためには、常にスキルアップができる業務内容かどうかを考えながら案件を受けることが大切です。
2.上流工程の案件を受ける
SESでは、エンジニアのスキルや実績によって案件が紹介されます。
そのため、業務内容に見合ったスキルが身についていることがSES企業側に認められていれば、上流工程の案件に携われる可能性も高くなります。
選択肢が少なくても、案件を選べる状態であれば、「確実にできること」を優先して案件を選ぶのではなく、少しでもスキルアップができる案件を受けましょう。
また、日々の業務内容をこなすだけでスキルアップを目指そうとするのではなく、業務とは別に新たなプログラミング言語を習得するなど、自己研鑽することも大切です。
現在の案件とは直接関係のないことでも、資格を取得することでスキルの証明に繋がり、単価の高い案件の紹介へとつながる可能性もあります。
3.単価を見直すタイミングでSES企業に交渉する
例えばクライアントからの単価を基準に年収などが決まる「単価評価制度」を取り入れている企業であれば、半年から1年ごとに単価の見直しがあります。
最初から単価交渉をするケースはごくまれです。
実際に業務をする中で「もっと評価されても良いのでは」と感じていたり、成果を出しているのであれば、単価見直しのタイミングで交渉してみるというのも一つの手です。
なお、単価評価制度については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
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監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
SESは未経験者やエンジニア経験の浅い人でも受け入れられやすく、実務経験を積む場所としては多いに利用する価値があるといえます。
しかし、正社員として働けるからといって与えられた案件だけをこなすことを続けていると、そのときは楽ではあるかもしれませんが、時間の経過とともに後悔することになります。
企業によってはエンジニア一人ひとりのキャリアプランを考慮して案件を紹介してくれるケースもありますが、そのような企業は多くありません。
指示されるがまま動くのではなく、きちんと自分の意思をもって案件を獲得し、スキルアップを続けることが年収を上げるための近道となります。
年収が高いSES企業の特徴3選
「SESは年収が低い」と思われがちですが、年収が高いSESエンジニアも多数存在します。
もちろんそのようなエンジニアは市場価値の高いスキルを持っています。
しかし、同じスキルを持ったエンジニアでも、SES企業によって年収が大きく異なる場合もあるのです。
SESエンジニアとして高収入を得たいと考えるのであれば、所属するSES企業の選び方も非常に重要です。
以下では、高収入が期待できるSES企業の特徴を3つご紹介します。
1.還元率が高い
単価が高い案件を担当していても、還元率が低いSES企業の場合、エンジニアの収入は低くなってしまいます。
一般的に還元率は70%以上であると高還元率とされ、2023年5月現在、80%が業界最高水準です。
ちなみに弊社ESESの還元率は2023年2月時点で73%ですので、高還元SESに分類されます。
ただし、還元率の計算方法に明確な定義はなく、会社によって計算方法が違うなどの理由から、必ずしも「高還元率=給与が高い」というわけではありません。
「還元率が高い」と感じた場合は、どのような計算からその還元率が算出されているのかをきちんと確認することが大切です。
なお、高還元率についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
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2.自分で案件を選択できる
「案件ガチャ」という言葉があるように、従来のSESではエンジニアが自由に案件を選べるケースは多くありませんでした。
しかし、近年は自分で案件を選べる「案件選択制度」を取り入れているSES企業もあります。
案件選択制度では、エンジニアが案件を選択できるため、自分のキャリアプランや身につけたいスキルがある案件が選べ、さらに極端に低い年収になることも避けられます。
市場価値の高いスキルを持っている人や実績のある人であれば、数十件の案件から選べるケースも珍しくありません。
ただし、一口に案件選択制度といっても、企業によってどこまで案件を選択できるかは異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
案件選択制度についてはこちらの記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
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3.スキルアップできる案件が多い
繰り返しになりますが、SESエンジニアはスキルや実績がある人ほど高単価の案件を紹介されたり、希望する案件を選ぶことができます。
そして、高度なスキルが求められる案件ほど単価も高くなります。
SESにも得意とする分野や取引先はそれぞれあり、中には単純作業ばかり扱っていたり、扱っている案件が少ないSES企業もあります。
当然、そのようなSES企業で案件を受け続けているとスキルアップは望めません。
- 案件数が豊富
- 幅広い分野の案件を扱っている
- 研修制度や資格取得サポートなど、スキルアップの支援をしている
- 優秀なエンジニアが多く在籍している
スキルアップしやすいSES企業ではこのような特徴が多く見られます。
SES企業を探す際にはぜひ参考にしてみてください。
まとめ
「SESは年収が低い」「SESエンジニアは安く買い叩かれている」といわれるのには、今回ご紹介したようないくつかの理由があります。
しかし、SESエンジニアだからといって一概に年収が低いわけではなく、市場価値の高いスキルや誇れる実績、さらに適切なSES企業を選べば収入アップは確実に叶えられます。
任された案件をただこなすだけではなく、まずはキャリアプランを立てた上で、キャリアアップできる案件、さらにはキャリアアップできるSES企業選びをしましょう。
弊社ESESでは「エンジニアが搾取される」など、これまでSES内で問題視されてきた現状を変えるため、エンジニアの労働環境改善のための様々な取り組みを行っています。
「SESエンジニアとしての働き方に不満はないものの、搾取はされたくない……」
そんな方は、ぜひ転職先の選択肢の一つとして弊社ESESをご検討ください。
募集要項については以下のページより詳しくご確認いただけます。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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SESの年収が低いといわれるのは、やはりSES業界全体の構造が関係しています。
3次下請け、4次下請けといった構造になっていることはIT業界に限ったことではなく、下請け業務自体が悪いというわけでもなければ、マージンが発生するのも当然のことです。
このような構造を一個人が根本から変えることは不可能ですが、市場価値のあるエンジニアであれば、業界の構造のせいにすることなく年収アップは可能です。
SESだから年収が低いという考え方に捉われるのではなく、評価されるためには何をすべきかという点に着目してみましょう。