エンジニアのスキルシートってどう作成するの?より良いスキルシートを作成するためのコツを解説
「スキルシート」とは、エンジニアが保有しているITスキルなどを記載した経歴書のことをいい、扱える言語や資格、過去に経験した案件などを記載するものです。
クライアントが受注を検討する際にスキルレベルや人間性などを判断する材料の1つとして活用できます。
完成度の高いスキルシートを作ることで、クライアントとのミスマッチを防ぎながら、自分自身をしっかりとアピールすることができるでしょう。
そこで本記事では、スキルシートの記載方法や書く際のポイントなどを解説します。
より良いスキルシートを作成し、エンジニアとして活躍するための第1歩を踏み出しましょう。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
エンジニアの「スキルシート」とは?
スキルシートとは、エンジニアが保有するITスキルや経験を記載した経歴書のことで、A4 サイズ1~2枚程度にまとめたものです。
資格や扱える言語、過去に参画したプロジェクトなども記載するため「技術経歴書」とも呼ばれることもあります。
作成したスキルシートは、フリーランスの場合は案件に応募する際に直接クライアントに提出するのが一般的です。
一方、正社員として企業に所属している場合や、転職エージェントを利用している場合には、所属している企業やエージェントからクライアントに提出されます。
スキルシートを作成する目的
クライアントは、スキルシートを確認することで、エンジニアがどのようなスキルを持っているのかを客観的に判断できるため、選考の際に役立ちます。
エンジニアの選考は書類だけで決定するわけではなく、面談も行うのが一般的ですが、応募者多数により、すべてのエンジニアと面談ができない場合もあります。
そのような際にも、スキルシートがあることでほかの応募者よりもより詳細に自己PRができる可能性があるのです。
これまでの経歴やスキルを適切に記載しておけば、自身のスキルにマッチした案件に応募できるようになり、クライアントとのミスマッチも防止できる便利なものです。
履歴書や職務経歴書との違い
スキルシートと職務経歴書は、どちらもエンジニアの経歴やスキルをまとめたものであり、一見すると同じもののように見えます。
しかし、スキルシートは職務経歴書よりも、よりITスキルのアピールに特化したフォーマットになっていることが一般的です。
職務経歴書の場合は、経歴やスキルだけではなく、志望動機や自己PRなども記載します。
一方、スキルシートは扱えるプログラミング言語や、保有する資格、過去に参画したプロジェクトの情報を中心に記載するケースが多いでしょう。
エンジニアのスキルシートの記載方法
提出先にもよりますが、スキルシートには共通したフォーマットや必須の記載項目があるわけではなく、自分で自由に内容を選択できます。
インターネット上にはエンジニア向けのスキルシートのフォーマットが多く配布されているため、それらを自由にダウンロードしても、自分で作成しても構いません。
ただし、どのスキルシートにも記載しておくべき項目はあります。
ここからは、エンジニアのスキルシートの記載方法をご紹介します。
事前準備
スキルシートを作成する前の準備として、まずは自分のキャリアの棚卸をしましょう。
- 過去にどのような案件に参画したのか
- プロジェクトの規模はどの程度だったのか
- 参画した時期はどれくらいだったのか
- どのようなポジションだったのか
このようなことを振り返ります。
さらに、参画した案件でどのようなプログラミング言語を使用し、どのようなスキルが身に着いたかも細かく洗い出しておきましょう。
過去の実績については、正確に記述する必要があるため、参画したプロジェクト名や手がけた製品、サービスの名称を調べておくことも大切です。
さらに、保有している資格については全ての資格を正式名称で書き出しておきましょう。
ここで棚卸した情報が詳しいほど、スキルシートの精度も高めることができます。
個人情報
まずは個人情報です。
個人情報とはいっても、住所や電話番号などの詳細な情報ではなく、氏名(イニシャル)、最寄り駅、年齢を記載する程度です。
スキルシートのフォーマットによって個人情報の記載事項は異なるため、漏れはないように記載しましょう。
ひらがな・カタカナといった指定がある場合もあるので、注意して記載しましょう。
取得している資格やスキル
資格欄には、自身が現在保有している資格名を正式名称で記入します。
合格通知書や認定証などがある場合は、そちらを確認して記入しましょう。
分からない場合はWebサイトから調べましょう。
資格はITエンジニアに関係のあるものだけではなく、自動車免許やTOEICといった資格についても記載して問題ありません。
基本的にはすべての資格やスキルを書くことが基本ですが、仮に多くて書ききれないような場合は、応募する企業に合わせて記載する方法でも構いません。
過去に参画したプロジェクトや業務内容
業務について書く欄には、過去に参画した案件について記述します。
記述の際には具体的な企業名は書かず「大手アプリメーカー」など伏せた表現を使うようにしましょう。
さらに、業種や詳細などは、箇条書きでなるべく細かく記載します。
参画したプロジェクトについては、どのような製品やサービスを開発したのか、チーム内ではどのような役割を担っていたのかなどを、できるだけ詳細に記載しましょう。
例えば「〇〇責任者」「〇〇開発」といった記載をすれば、どのようなポジションで活躍していたのか、採用担当者もイメージしやすいです。
プロジェクト内でどのような部分で貢献したのか、具体的に実績を記載できる場合には記載しましょう。
自己PR
自己PR欄があるスキルシートを利用・作成する場合は、自身のアピールポイントを端的に記載しましょう。
特定のスキルや知識があることをアピールすることはもちろん、自身の性格や長所など、人柄が伝わるような文章を書くことも大切です。
なお、自己PR欄に限っては、言い切り方ではなく「です・ます」調で記載しても問題ありません。
エンジニアがスキルシートを書く際のポイント
プロジェクトや企業に応募する際は、人事担当者だけではなく、現場の担当者がスキルシートを確認するケースも少なくありません。
スキルシートは、そのような現場の担当者が見た際にもわかりやすいよう意識しながら、長くなりすぎないことを意識して記載しましょう。
さらに、記載する際には以下のようなポイントを押さえることで精度の高いものが作成できます。
最新のプロジェクトから記載する
過去に参画したプロジェクトを記載する際は、日付の新しいものから記載しましょう。
これは、IT業界は最新技術やトレンドの移り変わりが激しいことが関係しています。
クライアントが特に参考にするエンジニアのスキルは、過去半年~1年ほど、長くても過去2~3年程度のものであることが多いため、最も最新のものから詳しく記載しましょう。
経験してきたプロジェクトが多い場合は、応募先の企業に合わせて伝えたい成果を強調して記載するという方法もあります。
最新の経歴を意識しつつも、応募先の業務内容とリンクするものはできるだけ詳しく書きましょう。
プロジェクトはできるだけ詳細に記述する
スキルシートにはなるべく最新のものから記載するようにお伝えしましたが、過去に参画したプロジェクトはなるべく細かく情報を記載しましょう。
具体的には参画していた期間、具体的な業務内容、扱ったプログラミング言語、使用したツールやソフトウェアなどです。
マイナーアップデートや小さな不具合への対応も、できるだけ省略せずに書くことをおすすめします。
経験した業務内容を詳しく記述することで、自身がITエンジニアとしてどのように活躍できるのかを正確にアピールできるはずです。
小規模のプロジェクトも省略しない
小規模なプロジェクトの場合、かえって記載しない方が良いのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、スキルシートを見て実際にどのように受け取るかは企業の担当者次第です。
自分にとっては「書くほどの仕事ではない」と判断していても、企業から「自社でも同じ業務があるのでスキルを活かせる」などと捉えられる可能性もあります。
ただし、大きなプロジェクト以外は冗長になりすぎないよう注意しましょう。
また、特に実務経験が少ない場合、小規模な業務も詳細に記載することで自身の経験のアピールにつながります。
広く公開されているシステムは積極的に記載する
ECサイトやニュース配信サイトなど、自分が担当したプロジェクトの成果が一般に広く公開されている場合は、アピールポイントになりやすいでしょう。
URLがあれば、スキルシートに記載しておくと、どのようなものか実際に見て確認してもらうことも可能です。
ただし、秘密保持契約の内容によっては、クライアント名やサービス名が記載できないため、必ず確認をしましょう。
詳細に記載ができない場合は、業種やプロジェクトの規模、システムの概要などが分かる程度でも構いません。
マネジメント経験を記載する
特に応募しようと考えている企業が上流工程の人材を求めている場合は、マネジメント経験も欠かさず記載しておきましょう。
どのような役割や経験をしたかを記載するとともに、自分がマネジメントをする上で心がけていることや、学んだことなどを記載するとよいでしょう。
社内で他の部署との橋渡し的な役割など、一見エンジニアの仕事とは関係のないものであっても、採用担当者は注目している可能性があります。
技術以外のスキルもアピールする
スキルシートは技術やスキルだけではなく、それ以外にもアピールできることがあれば記載して構いません。
なぜなら、クライアントはスキル面だけでなく、プロジェクトを円滑に進められる人材かどうかを判断したいと考えているためです。
そのため、自身がプロジェクト内でどのような役割を担えるのか、過去の経験などからアピールできると良いでしょう。
例えば、チームのリーダーを経験した場合は、チームの円滑な運営のためにどんなことを工夫したかや、チームの中でどのような働きをしたかを記載しておきましょう。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
スキルシート作成の際にやってはいけないこと
スキルシートを作成する際に絶対にやってはいけないことは、経歴の詐称です。
経歴の詐称はSES業界やフリーランスなどでしばしば行われていることがあり、発覚して問題になるケースもあります。
特に、プロジェクトに参画した後に、スキル不足から経歴の詐称が発覚することも珍しくはないのです。
このような場合、取引が停止されるだけではなく、取引先から訴えられる可能性もあるため、必ず正しい情報を記載するようにしましょう。
また「興味のある言語を積極的に勉強しています」「〇〇のスキルを習得中です」などと書いているにも関わらず、何もやっていないといったこともやめましょう。
採用担当者は日々多くのスキルシートを見ています、嘘や矛盾はすぐに見抜かれてしまうため、必ず正しい内容を、表現を工夫しながら記載することが大切です。
エンジニアがより良いスキルシートを作成するためのコツ
スキルシートは必要事項をただ記載すれば良いというわけではありません。
コツを押さえて書き方にひと工夫を加えることでより採用担当者に良印象を与えられるスキルシートにすることができます。
ここからは、エンジニアがより良いスキルシートを作成するためのコツをご紹介します。
定期的に見直しをする
スキルシートは最初に作成したものを何度も使い回すのではなく、プロジェクトに参画し、自身の経歴が更新される度に見直しましょう。
経験が深まれば、スキルシートがより充実してクライアントへのアピールポイントも増えるはずです。
また、プロジェクトが終わったものはもちろん、現在参画しているプロジェクトでも新しく身についているスキルや、特別な経験はないかを考えてみましょう。
さらに、スキルシートを更新したからといって、そのスキルシートを応募する何社にも使用するのではなく、応募する企業に合わせたものを作りましょう。
第三者からアドバイスをもらう
スキルシートを作成する際には、第三者に見てもらうことが理想的です。
なぜなら、自分では「完璧にできている」と思っていても、第三者から見ると主観的であったり、誤字脱字が見つかったりすることがあるからです。
また、第三者に見てもらうことで、自分では長所だと思っていなかった点を教えてもらえることも少なくありません。
同じエンジニア経験のある先輩や友人、転職エージェントのキャリアコンサルタントに見てもらうといった方法があるでしょう。
併せてポートフォリオも作成する
特に経験が少ないうちは、スキルシートだけでは十分にアピールできない可能性があり、業務経験の少なさから選考に進めないことも珍しくありません。
そのため、業務以外でも自主的に開発したプログラムやサービスなどがあれば、ポートフォリオとして作成しておくことがおすすめです。
ポートフォリオを作成する場合は、採用されたい案件で使用する言語を使用するなど、希望する案件に合わせた内容になるべく近づけましょう。
せっかく作ったポートフォリオが無駄にならないように、応募する案件の特徴をよく調べてからポートフォリオの作成に移りましょう。
まとめ
スキルシートは、エンジニア自身が保有するスキルを記載した経歴書のことです。
そして、スキルシートは、派遣先・常駐先に提出し、プロジェクトに合った人材かどうかを判断する大切な材料の1つです。
正しく記載しておけば自身のスキルにマッチした案件に応募できるようになり、自己PRにもなります。
スキルシートを作成するにはいくつかポイントがあるため、それらを押さえることでより精度の高いものを作成できるでしょう。
自身のスキルや経験を客観的に捉えた上で、アピールポイントを適切に押さえて作成できていれば、自身に合ったプロジェクトに参画することにつながるでしょう。
弊社ESESも含め、SES企業では常駐先にエンジニアのスキルシートを提出する機会があります。
弊社ではエンジニアが自身の希望とスキルに合った案件に参画できるよう、スキルシート作成のサポートも行っています。
「正しくスキルシートが書けているかわからない……」「誰かに見てもらいながら作成したい」という人は、ぜひ弊社ESESまでご相談ください。
弊社で働きながら着実にスキルアップをし、自分に合ったプロジェクトでの活躍を目指しませんか?
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
スキルシートを作るのは大変?
スキルシートを初めて作る人にとっては、どうやってスキルシートを作ればいいか分からない人も多いでしょう。
スキルシートはWordやExcelなどのソフトウェアで作成することが一般的ですが、すでにフォーマット化されたものも無料で配布されています。
自分の伝えたいことをすっきりとまとめたい場合には自分で一から作ることもできますが、ネット上にあるものを利用するのもおすすめです。
ネット上で配布されているものを使用しつつ、自分が追加したい項目を追加すると簡単に自分のアピールしたい項目のあるスキルシートを作ることができます。
スキルシートを作る時間は、過去に作成した経験があるかどうかや、自身のスキルの量などによっても異なりますが、数時間から半日程度かかります。
たとえ時間がかかっても、スキルシートは採用を左右する大きなポイントとなる可能性があるので、じっくり時間をかけて作成しましょう。