SESとは?働き方を未経験者にもわかりやすく解説!
目次
エンジニアとしての働き方を考える上で、必ず選択肢の一つになると言っても過言ではない「SES」という働き方。
なんとなくSESエンジニアというものがあるのは知っていても、実際はどのような働き方やメリット・デメリットがあるのかを知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、SESの内容や、SESエンジニアとして働く上でのメリットやデメリットをわかりやすく解説します。
エンジニアとしての働き方を考える上でぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
【わかりやすく解説】SESとは?
SESとは職業のことではなく「システムエンジニアリングサービス」と呼ばれる業態の一種です。
SESはソフトウェアやシステム開発などの業務に関連する契約形態を指し、クライアントとの間では業務遂行を目的に業務委託契約が交わされます。
SESではさまざまな契約形態があり、最も一般的な契約は「準委任契約」です。
準委任契約では、エンジニアの技術力や労働力に報酬が支払われ、成果物に対して責任が問われることはありません。
SESエンジニアは契約期間中、自社ではなく客先(クライアント企業)へ常駐して業務を行うことが一般的です。
しかし、業務の指揮命令権や出退勤管理はクライアント企業ではなくSES企業が行い、契約が終了すればSESエンジニアはまた新たな常駐先で働くことになります。
これが、SESエンジニアという働き方のモデルケースです。
SESの仕組み
SESという業態は、以下の3者から成り立っています。
- クライアント企業(発注側・常駐先)
- SES企業(受注側)
- SESエンジニア
エンジニアはSESと契約を結び、案件に応じてクライアント企業(常駐先)に派遣されて働きます。
クライアント企業がシステム開発のためにITエンジニアを雇いたいと考えた時に、自社のエンジニアだけでは人手が足りないということは珍しくありません。
このような場合に、クライアント企業は多数のエンジニアを抱えるSES企業に依頼をし、ITエンジニアを派遣してもらうという仕組みです。
派遣されるエンジニアは、エンジニアなら誰でも良いというわけではなく、プロジェクトに必要な技術をもつSESエンジニアです。
また、SESエンジニアには技術力や労働力が求められ、報酬も技術力や労働力に対して発生するため、成果物に対して責任が問われることはありません。
SESの働き方
ここまでご紹介したように、SESエンジニアは働く場所が一カ所に定まっているわけではなく、案件によって勤務地や業務内容、勤務時間などが変化します。
近年では在宅ワークも普及してきており、フルリモートの案件も増えてきてはいるものの、基本的には客先常駐であることがほとんどです。
契約期間が終了した、あるいはプロジェクトが完了した場合は、新たなプロジェクトに参画することになりますが、常にすべてのSESエンジニアに案件が用意されているとは限りません。
受注のタイミングや、クライアントの求める内容とSESエンジニアの経歴やスキルが合致しないと、当然案件を受けることはできません。
受けられる案件がない場合は、自宅や社内で「待機」することになり、その間の給料がどの程度発生するかはSES企業によって様々です。
SESエンジニアの収入
SESエンジニアの年収は、300万円~600万円程度であることが一般的です。
新卒や未経験からのスタートの場合は、300万円前後が多いでしょう。
SESエンジニアの年収は年功序列というわけではなく、エンジニアの技術力や経験によって決まります。
また、同じような技術が求められる案件でも、クライアントによって単価が異なることもあります。
つまり、同じスキルを持った人でも収入が異なることがあるのです。
ただし、基本的には技術力や実績次第で年収もアップすると考えておくとよいでしょう。
SESが増えている理由
本来、各企業が自社でエンジニアを雇用することができれば、SESという業態は必要ありません。
しかし、SESの数は増加の一途を辿っており、それにはIT業界独特の理由があります。
まず、そもそもIT業界では人材が不足しており、すべての企業が自社でエンジニアを雇用すること自体が難しい状況です。
それに加え、必要とするエンジニアの数はプロジェクトによって変化するため、仮に自社でエンジニアを雇用しても、場合によってはエンジニアが余ってしまう可能性があります。
さらに、日本は雇用規制が厳しいため、多くのエンジニアを直接雇用することはリスクが大きく、必要なときに必要なエンジニアが確保できるSESは重宝されるというわけです。
そのため、IT業界の現状や将来、業界の特性を踏まえても、SESの需要は今後も増えることが予想されています。
SES会社の契約形態
SESにおける契約形態は大きく次の3つに分かれます。
- SES契約(=準委任契約)
- 請負契約
- 派遣契約
これらの契約にはそれぞれ特徴があり、働き方も異なってきます。
SES企業で働く際は、自分がどの契約で働くのかを確認してから入社することが大切です。
そこでここからはSES会社のそれぞれの契約形態の違いをわかりやすく解説します。
SES契約(=準委任契約)
SES契約は準委任契約とも呼ばれ、SESエンジニアの働き方としては最も多いものです。
SES契約は、エンジニアの技術力や労働力を提供するものであるため、報酬はエンジニアの作業時間ごとに発生し、月単価で報酬が決まることがほとんどです。
単価はプロジェクトの内容やそれに対応できるエンジニアの持つスキルや経歴によって異なり、1ヵ月あたり単価(人月単価)が数十万円のエンジニアもいれば百万円を超えるエンジニアも珍しくありません。
また、SES契約では、業務の指揮命令権は常駐先のクライアントではなく、SES企業側にあります。
そのため、常駐先においてSESエンジニアがクライアントからの指示を受けることはなく、SES企業からの指示によって業務を行います。
派遣契約
派遣契約は成果物に責任を持つことはなく、一見SES契約と同じように思えますが、大きく2つの点が異なります。
まず1点目は指揮命令権がSES企業側ではなく、クライアント側にある点です。
そのため、クライアントが直接SESエンジニアに業務に関する指示をすることが可能です。
2点目は報酬が時給計算(1時間ごと)で決定されることです。
これらの2点以外に大きな違いはありませんが、派遣契約にするかSES契約にするかはエンジニアではなく、クライアントが決めることになります。
SES契約であるにも関わらずクライアントがエンジニアに指示を出してしまった場合、偽装請負となり違法とみなされる可能性があります。
そのため、大手企業ではリスク回避のために派遣契約が選ばれることが少なくありません。
請負契約
請負契約と他の契約との大きな違いは、決められた期間に成果物の提出を求められる点です。
つまり、報酬は成果物に対して発生します。
求められるのは成果物であるため、SESエンジニアは必ずしも特定のエンジニアでなくてもよく、また、業務を行う場所もクライアント企業ではなくSES企業のこともあります。
成果物にミスがあったり、納期に間に合わないなどのトラブルが発生した場合は、責任を負うのはSES企業です。
しかし、指揮命令権はSES企業側にあるため、業務の進め方など完成までの過程に対してはクライアント企業が指示することはできません。
【わかりやすく比較】SESと他の働き方の違い
「ITエンジニアとして働きたいけど、SES以外の働き方にも興味がある」という人は少なくないでしょう。
もちろん、システム開発などの働き方はSESに限りません。
そこで、ここからはSESと比較されやすい4つの働き方をそれぞれわかりやすく解説します。
SESとSIer
SIerは「システムインテグレーター」の略称で、プロジェクトの一部分だけではなく、システムの企画から設計、開発、運用や保守までを一貫して請け負う企業を指します。
SESは契約形態を指しますが、Slerは企業やサービスのことです。
提供するものや報酬の対象となるものには次のような違いがあります。
SES | SIer | |
提供するもの | エンジニアの労働力・技術力 | システム開発の請け負い |
報酬の対象 | 労働時間 | 成果物 |
指揮命令権 | SES企業 | SIer企業 |
給与形態 | 月給 | 月給 |
働く場所 | 客先 | 自社 |
役割 | 必要なエンジニアリソースを提供する | クライアントが求める成果物を提供する |
なお、転職難易度は、業務内容の幅広さや技術力・コミュニケーション能力も求められることから、SES企業よりもやや難しく、中程度といえるでしょう。
SIerについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
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SESと派遣
派遣は、エンジニアを派遣するという点ではSESと似ていますが、SESとは以下の2点が大きく異なります。
- 指揮命令権
- 給与形態
派遣の場合、業務の指揮命令権は派遣先企業にあり、給与形態は時給制であることがほとんどです。
また、派遣はさらに「派遣会社の正社員」と「登録型派遣・常用型派遣」にも分けられます。
「登録型派遣」は、派遣先企業と契約した期間のみ業務にあたり、「常用型派遣」は、雇用期間を定めることなく、派遣会社と契約して業務にあたります。
ただし、登録型派遣と常用型派遣は正社員ではないため、非正規雇用としての扱いです。
さらに、派遣ではエンジニア自身の希望を伝えた上で、仕事を選択できるなど、SESとは次のような違いがあります。
SES | 派遣会社の正社員 | 登録型派遣常用型派遣 | |
提供するもの | エンジニアの 労働力・技術力 | エンジニアの 労働力・技術力 | エンジニアの 労働力・技術力 |
報酬の対象 | 労働時間 | 労働時間 | 労働時間 |
指揮命令権 | SES企業 | 派遣先企業 | 派遣先企業 |
給与形態 | 月給 | 月給 | 案件に参画する時のみ |
働く場所 | 客先 | 客先 | 客先 |
役割 | 必要なエンジニアリソースを提供する | 必要なエンジニアリソースを提供する | 必要なエンジニアリソースを提供する |
SESと派遣の違いは以下の記事で詳しく解説していますので、どちらの働き方が向いているのか迷った際などにぜひ参考にしてみてください。
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SESと受託開発
受託開発とは、企業がシステム開発を外部に委託し、委託された企業がシステムやソフトウェアの開発を行うものです。
受託開発では、システムやソフトウェアを納品し、成果物に対して報酬をもらう契約である点がSESとの大きな違いです。
一方、様々な案件に携われるという点はSESと同じといえるでしょう。
SESと受託開発の違いをまとめると次のようになります。
SES | 受託開発 | |
提供するもの | エンジニアの労働力・技術力 | 成果物 |
報酬の対象 | 労働時間 | 成果物 |
指揮命令権 | SES企業 | 自社 |
給与形態 | 月給 | 単価 |
働く場所 | 客先 | 自社 |
役割 | 必要なエンジニアリソースを 提供する | クライアントが求める成果物を 提供する |
受託開発では1社からではなくさまざまな企業から発注を受けます。
そのため、様々な案件を通じてスキルや実績を積むことができるでしょう。
SESと自社開発
自社開発は、その名のとおり、自社でシステムやサービスを開発する企業のことを指します。
以下のように、SESとは働く場所や担う役割が大きく異なります。
SES | 自社開発 | |
提供するもの | エンジニアの労働力・技術力 | 自社製品やサービス |
報酬の対象 | 労働時間 | 労働時間や成果物 |
指揮命令権 | SES企業 | 自社 |
給与形態 | 月給 | 月給 |
働く場所 | 客先 | 自社 |
役割 | 必要なエンジニアリソースを 提供する | 企画から運用まで一貫して行う |
自社開発は、製品やサービスの企画から完成までを一貫して自社で行うため、下請けに支払うマージンが発生することがなく、エンジニアの中でも給与は高くなる傾向があります。
また、直接雇用による安定性などから、就職難易度は高いです。
SESと直接雇用の違いは以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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SESのメリットとは?
SESは慢性的な人材不足であるIT業界にとってはなくてはならない存在であり、今後もその需要は伸びることが考えられます。
また、需要の高まりとともに、より多くのエンジニアを確保すべく、エンジニアの労働環境の改善に努めるSES企業も増えています。
かつてSES企業というとネガティブなイメージが持たれることも多くありましたが、働きやすいSES企業も増えているため、選択肢の一つになり得る働き方といえるでしょう。
以下では、SESで働くことのメリットを紹介します。
1.経験やスキルが少なくても就職しやすい
SESでは下請けの案件も多く、エンジニア経験の浅い人や未経験者でも対応できる下流工程の案件を扱っていることが少なくありません。
そのため、高まる需要に対応するためにも、エンジニア経験の浅い人や未経験者、新卒などを採用している企業が多く存在します。
「とにかく実務経験が積みたい」「未経験だけどエンジニアになりたい」と考える人にとっては、正社員として働きながら経験が積める働き方といえるでしょう。
また、SES企業は非常に数も多いため、SES企業からSES企業への転職も比較的容易です。
2.キャリアプランに応じて働ける
全てのSES企業で導入されているわけではありませんが、近年増加している「新SES」と呼ばれる企業では「案件選択制度」を取り入れているケースもあります。
案件選択制度は、エンジニア自身が案件を選ぶことができ、スキルや経験が豊富な人ほど選べる案件が多くなる傾向があります。
ただし、全ての案件を選択できるのではなく、SES企業がある程度案件の数を絞った上で選択をするというケースもあるため、案件選択制度を取り入れている企業でも自由度の確認は必要です。
様々な案件に関わりながら、自分のキャリアプランに沿ってSESエンジニアとして働き続けたいと考える人にとっては働きやすい環境といえるでしょう。
案件選択制度については、以下の記事でも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
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3.幅広く知識や技術を身に付けられる
SESエンジニアは基本的に数ヶ月〜3年程度のスパンで常駐先が変わるため、様々な案件に関わることができます。
さらに、3ヶ月単位で契約を更新するケースも珍しくないので、そのタイミングで案件を変更し幅広い経験を積むエンジニアもいます。
SES企業と一口に言っても得意先や扱う分野は様々ですが、多くの案件や職場で幅広い知識や技術を身につけたい人にとっては適した環境といえるでしょう。
また、エンジニアとして働き続けたいと考えてはいるものの、方向性がまだ決まっていないという人にもおすすめです。
自分で案件を選べる案件選択制度を導入している企業であれば、身につけたいスキルから案件を選びながらスキルアップを重ねていくこともできるでしょう。
4.大きなプロジェクトに関わりやすい
SES企業によっては大手企業や公的機関などの大規模プロジェクトや、上流工程を多く扱っているケースもあります。
大手企業へ自社エンジニアとして就職することは、エンジニア自身に高いスキルや実績があっても容易なことではありません。
しかし、SES企業から大規模プロジェクトに参画でき、さらにそこで実力が認められた場合には、その企業にヘッドハンティングされることもあります。
もちろん、認められるだけの実力は必要ですが、このようなケースは決して珍しいことではありません。
5.人脈を広げやすい
SESエンジニアは案件ごとに常駐先が変わるため、業務内容や勤務地だけではなく、人間関係もその都度変化します。
将来的にフリーランスや独立を考えている人にとっては、案件が変わるたびに新たな人脈ができるため、将来人脈が大きな手助けになる可能性があります。
フリーランスや独立を考えていない人であっても、一生付き合えるような関係が築ける人と出会えたり、様々な考え方の人に出会うことができます。
6.残業が少なめ
SESでは、基本的に労働時間に対して報酬が支払われる仕組みとなっています。
さらに、指揮命令権がクライアント企業ではなくSES企業にあるため、突発的に本来予想していなかった残業が発生してもクライアント企業やSESエンジニアに残業の指示が出せません。
SES企業とクライアントの間の契約によっては残業が発生する可能性もありますが、労働時間が増えれば増えるほどSES企業への支払い額が増えるため、残業は極力させないことが一般的です。
ITエンジニアは残業が多いイメージがありますが、SESエンジニアはワークライフバランスが比較的とりやすい働き方といえます。
7.収入が安定しやすい
SESは比較的短期間で常駐先が変わるため、収入が不安定になるのではと考える人もいるかもしれません。
しかし、SESエンジニアは正社員として企業に属しているため、案件のない待機時も給与が保証される会社であれば、安定した収入が得られます。
また、クライアントの評価によって単価が決まり、単価がエンジニアに公開される「単価評価制度」を取り入れている企業であれば、より納得感を持って収入を得ることができます。
単価評価制度については以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
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監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
SESはエンジニア未経験者や経験が少ない人でも採用されやすいため、実績やスキルを身につけるためにはもってこいの環境といえます。
エンジニアのキャリアプランに向き合ってくれるSES企業であれば、SESエンジニアを続けながらより専門性の高いスキルを身につけるなどしてキャリアアップをすることも可能です。
また、SESエンジニアでスキルや実績を身につけた上で、社内エンジニアに転職したり、独立やフリーランスを目指すといった事も可能です。
SESエンジニアは様々な案件に関わることができる分、自分の可能性を知る機会も多く持つことができます。
エンジニアとして働きたいものの、やりたいことや方向性に迷っている人はSESエンジニアという働き方をしながら今後について考えてみるとよいでしょう。
SESのデメリットとは?
SESは様々な幅広い業務に携われたり、ワークライフバランスがとりやすいなど様々なメリットのある働き方です。
しかし、働きやすい環境が用意されているかどうかはSES企業によって異なります。
SES企業への応募を検討しているのであれば、SESのデメリットを踏まえた上で、できるだけデメリットを感じにくい企業を選ぶことが大切です。
ここからはSESのデメリットを解説します。
1.常駐先によって環境が大きく変わる
SESでは数ヵ月〜3年程度で常駐先が変わることがほとんどです。
常駐先が変わると、業務内容だけではなく勤務地や勤務時間、人間関係などあらゆることが変化します。
実際に働く前に職場の雰囲気をはじめとしたある程度の内容は情報共有されるものの、実際に働いてみると印象が違うこともあるでしょう。
環境の変化に弱い人や、同じ場所で安定して働きたい人、人間関係の構築に時間がかかる人にとっては大きなストレスになる可能性があります。
2.SES企業によってはスキルアップしにくい
SESでは下請けの業務も多く、案件によっては単純作業がほとんどでスキルが身につかない業務をこなすこともあります。
特にエンジニア未経験者や経験の少ない人の場合はそのような案件にアサインすることも少なくありません。
その状態が続いてしまうとエンジニア年数に対してスキルや実績が伴わない状態になってしまいます。
様々な案件に携わりながらスキルアップしていくためには、あらかじめキャリアプランをしっかりと立てておくことが大切です。
また、エンジニアのキャリアプランに寄り添ってくれるようなSES企業で働くことも大切です。
3.他の働き方と比べて収入が低くなりがち
SESエンジニアは、Slerや自社開発のエンジニアと比較すると収入が低くなりがちです。
その一番の理由としては、無駄な商流が発生してSES企業が多めにマージンを取っていることが挙げられます。
SESが保有する案件が3次請けや4次請けだから悪いというわけではなく、業界の構造上そうならざるを得ない状況といえます。
ただし、IT業界にとってエンジニアの需要は非常に高いため、スキルや実績があればSESエンジニアでも高収入を得ることは十分に可能です。
4.望まない案件を担当する場合もある
一口にSES企業といっても、得意とする分野や取引先は企業によって異なります。
そのため、仮に案件選択制度があるSES企業であっても常に自分のやりたい案件があるとは限りません。
特にスキルや実績の少ないうちは選択できる案件も少なく、希望するような案件が受けられないこともあるでしょう。
SESエンジニアとして働く上では、時として臨まない案件にあたる可能性があることは心得ておく必要があります。
SESの将来性
SESエンジニアという働き方に興味を持っている人の中には、もちろん将来性について知りたいという人も多いでしょう。
結論からいうと、あらゆる場面でIT化やデジタル化が加速し続けている今、業界としての将来性は確実にあります。
日進月歩で進化する業界であるが故に、状況が変化しやすい業界であることもたしかであり、常に新しい情報を取り入れるための努力は必要です。
ここからは、SESの将来性について詳しく解説します。
IT業界が伸びているためIT人材の需要も増える
経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、IT人材の不足は今後も続くことが予想されています。
最悪の場合、2030年には約79万人ものIT人材が不足するともいわれており、現状を鑑みてもそのような可能性は大いにあると考えられます。
IT業界にとどまらず、人材不足はさまざまな業界が抱えている課題であり、IT業界だけが自社エンジニアを確保できる状態になるとは考えにくいでしょう。
その事実も踏まえ、SESエンジニアは今後も高い需要が見込まれるでしょう。
参照:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」
頑張り次第で大きなキャリアアップも可能
IT業界はその将来性が抜群に期待できる業界です。
そのため、頑張り次第ではほかの業界では見られないほどのキャリアップも可能です。
成長が止まっている業界では、どれだけ個人が頑張ってもその頑張りに対する成果は得られにくいものです。
IT業界でキャリアアップを望むのであれば、常に今後のニーズを予想し、ニーズに併せた技術や知識を身につけることが大切です。
ただしSES会社によって将来性は左右される
現在、非常に多くのSES企業が存在しますが、SES企業によって将来性や待遇は大きく変わります。
例えば、いわゆる下流工程がほとんどで単純作業がメインの案件しか任せてもらえないSES企業に入ってしまうと、スキルアップできず年収がアップすることもありません。
同じスキルを持つエンジニアであれば若いエンジニアの方が将来性を考慮して採用されやすいため、年齢を重ねるほど転職にも不利になってしまいます。
一方スキルアップできるSES会社に入れば、できる仕事の幅が増えるため転職がしやすくなり、年収アップも見込めます。
「SES=将来性がある」と考えず、企業単位で将来性があるかを見極めることが大切です。
SESをおすすめできるエンジニアの特徴
ここまでご紹介してきたとおり、SESにはメリットとデメリットの両方があります。
例えば「常駐先が短期間で変わる」という点も「様々な経験ができる」と捉える人もいれば「労働環境が安定しない」と捉える人もいます。
SESエンジニアという働き方は、誰でも働きやすいと感じられる働き方ではないため「自分に合うかどうか」をしっかりと見極めることが大切です。
以下では、SESをおすすめできるエンジニアの特徴をご紹介します。
1.環境の変化をストレスに感じない
SESでは、たとえ業務内容が似たようなものであっても、常駐先が変われば勤務先や職場環境、人間関係は確実に変わるものです。
そのため、環境の変化にストレスを感じにくく、むしろ環境の変化を好む人には向いています。
人間関係についても、新たに構築しなければならない面はあるものの、深入りしすぎず、かえって人間関係での悩みが少ないケースも多いでしょう。
エンジニア経験の少ない人や未経験の人は、まずはSESエンジニアとして働いてみて、自分が環境の変化をどう捉えるタイプかを知ってみるというのもおすすめです。
2.プライベートの時間を大切にしたい
SESエンジニアはその契約形態上、残業時間が少なめという特徴があるため、ワークライフバランスを重視した働き方を望む人には向いています。
特に案件選択制度があるSES企業では、スキルや実績が身についてくると、数十件の中から案件を選べるようになることもあります。
案件を豊富に選べるようになれば、業務内容や給与だけではなく勤務時間や働き方についての交渉もできる可能性もあるでしょう。
働き方に柔軟性がある点は、SESエンジニアとして働く大きなメリットといえます。
3.正当な評価で給料を得たい
従来のSES企業では、社内の評価基準によって給与が決められることが多く、エンジニアに単価の内訳が公表されることは稀でした。
しかし「単価評価制度」を取り入れているSES企業の場合、社内の評価基準だけではなく、クライアントからの単価に基づいて給与が決まります。
つまり、エンジニアに単価が公開されるため、納得感を得やすいのです。
「確実にスキルアップしているのに給与に反映されない」「実力に見合った給与を得たい」と考えている人にとっては、単価評価制度のあるSES企業がおすすめです。
4.目指しているキャリアがある
案件ごとに新しい人間関係が構築でき、多くの人と関わりながら働けるSESエンジニアは、将来独立やフリーランスを目指している人におすすめです。
なぜなら、人脈が全くない状態から独立やフリーランスになることは非常に難しく、営業をかけるところからスタートする必要があるためです。
ある程度人脈や実績があれば、独立後にその人脈や実績をたどって案件を獲得することが可能です。
また、独立やフリーランスになる予定がない人も、案件選択制度のあるSES企業であれば、目指しているキャリアに合わせたスキルアップができるでしょう。
5.自分で学習してスキルアップできる
SESエンジニアに限った話ではありませんが、エンジニアはスキルや知識が重視される職種のため、自ら学ぶ姿勢を持っている人には向いています。
SESでは様々な案件に出会えるチャンスがあるため、任された業務をこなすだけではなく、自分から新しいスキルを取り入れることでチャンスをさらに増やすことが可能です。
プログラミング言語や技術は数年単位で重宝されるものが変化していくため、今後どのようなプログラミング言語や技術が求められるかを考えながら自己研鑽することをおすすめします。
6.自由に仕事内容を決めたい
社内エンジニアの場合、自分の好きな分野を扱う会社であっても、案件によっては「自分にはちょっと合わないかな」と感じることはあります。
一方、案件選択制度を取り入れているSES企業であれば、自由に案件を選ぶことが可能です。
当然、経験が少ないうちは望まない案件を担当することもありますが、スキルや実績が身についてくると、選択肢が増えて自由度も上がります。
フリーランスや独立の場合も仕事の自由度はありますが、経営を継続していく上では望まない案件に向き合わなければならないこともあります。
その点、SESエンジニアであれば確実に収入を得ながらも好きな仕事を選択することが可能です。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
SESエンジニアがおすすめできる人は、SESのメリットをメリット捉え、さらにデメリットの面もメリットと捉えられる人といえます。
現状として、SESエンジニアは「やばい」「やめとけ」といったキーワードとセットになっているイメージがあることは否めません。
しかし、上記でご紹介したような案件選択制度や単価評価制度を導入している企業であれば、社内エンジニアよりも自由に、また、フリーランスや独立よりも安定して働ける可能性があります。
かつてのSESのイメージが強いという人は、あらためていくつかのSESのサイトを覗いてみてはいかがでしょうか。
固定観念に縛られず、自分らしく働ける方法をぜひ見つけてみてください。
【わかりやすく回答】SESでよくある質問
ネット上でSESについて検索すると、ネガティブな情報や気になる噂を多く目にします。
とはいえネット上の情報であるため「実際にはどうなんだろう?」と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここからはSESエンジニアについて情報収集をしている人から多く受ける代表的な次の4つの質問について回答します。
- SESって「やばい」んですか?
- ブラックなSES企業の特徴はなんですか?
- 良いSES企業の選び方を教えてください
- 未経験でもSESエンジニアになれますか?
一つでも気になる疑問がある方は、ぜひ以下をチェックしてみてください。
SESって「やばい」んですか?
ネットで「SES」と検索すると、「やばい」や「やめとけ」といったキーワードを目にすることはたしかにあります。
これらは、実際にはSES企業全体を指しているのではなく、一部のいわゆる「ブラックな」SES企業が発端となっていると考えられます。
「新SES」と呼ばれるような優良なSES企業を見極めることができれば、自分に合った働き方は可能であり、将来性も期待できます。
「やばい」と言われてしまう理由については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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ブラックなSES企業の特徴はなんですか?
「ブラックだ」と感じるポイントも人それぞれですが、多くの人がブラックだと感じるSES企業の特徴は以下のとおりです。
- 評価基準が曖昧
- 単価や給料決定方法(還元率)を開示していない
- 会社情報があまり開示されていない
- 採用を急かす
- 企業自体が成長していない
企業の公式サイトの情報量が少なかったり、求人情報の表現が曖昧な場合は注意が必要です。
気になることがあれば、メールや電話で問い合わせをしてみましょう。
それでも明確な回答が返ってこなかったり、回答自体がない場合は要注意といえます。
これらの詳細やブラック企業を避けるコツは、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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良いSES企業の選び方を教えてください
単純ですが、良いSES企業は基本的にブラックなSES企業の逆だと考えておきましょう。
- 還元率が高い(還元率が高い理由が明確であると尚良い)
- エンジニアの働きやすさに配慮した制度を取り入れている(単価評価制度や案件選択制度など)
- 企業自体が成長している(還元率や従業員数が前年度より増えているなど)
ブラック企業の場合と反対に、企業の公式サイトがきちんと作りこまれているかもチェックし、不明な点は質問してみましょう。
ホワイト企業であれば、自社にとって不利益となる情報でも誠意を持って回答してくれることでしょう。
優良企業の見極め方は、以下の記事で詳しく解説していますのでこちらもぜひご覧ください。
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未経験でもSESエンジニアになれますか?
エンジニア未経験でもSES企業に就職することは可能です。
ただし、案件選択制度を取り入れているSES企業であっても、経験値がなければ案件は選べないと考えておきましょう。
弊社ESESの事例を目安としてお伝えすると、エンジニア経験が1年以上あると、ある程度案件を選べるようになってきます。
まとめ
SESエンジニアは、人材不足が深刻化しているIT業界において、非常に需要が高い存在です。
しかし「案件ガチャ」といった言葉もあるように、従来のSESには課題やデメリットがあることも事実です。
SESの特徴は、人によってメリットと捉えられるものもあれば、デメリットと捉えられるものもあります。
これらの特徴をよく理解した上で「メリットを多く感じる」「自分にはSESが合っている」と感じたら、会社選びをしていきましょう。
近年では「新SES」と呼ばれるエンジニアの労働環境を改善しているSES企業も増えています。
- 単価評価制度によって正当な評価が得られる
- 案件選択制度でエンジニア自身の希望を叶えられる
- 還元率が高く、エンジニアに適切な報酬が還元される
このような特徴を持つSES企業は、働きやすい環境である可能性が高いといえます。
ちなみに弊社ESESも新SESの一つであり、還元率は73%。
さらに、単価評価制度や案件選択制度も導入しており、今後もエンジニアが働きやすい環境を目指した運営を行っていきます。
エンジニアとして働くのであれば、自分のスキルが正当に評価され、きちんと給料に還元される会社で働いてみませんか?
そんなSESをお探しであれば、ぜひこちらから弊社ESESの詳細ページをご確認ください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
SESというと準委任契約のイメージが強く、実際に最も多いのも準委任契約です。
しかし、SES企業に入社したからといって、必ずしも準委任契約で働くことにはならない可能性がある点には注意が必要です。
派遣契約の場合は指揮命令権がクライアントにあるため、時間単位で報酬は発生するものの、SES企業が就業状況の実態を把握しにくいといった側面もあります。
また、請負契約の場合は成果物に対して報酬が発生するため、場合によってはワークライフバランスがとりにくくなる可能性もあるでしょう。
SESだからといって一括りで認識するのではなく、契約形態が分かれている点にも注意しておきましょう。