在宅エンジニアの年収事情|働き方や年収を上げる方法も解説

目次
場所や時間にとらわれず柔軟に働けることから、在宅エンジニアという働き方を選ぶ人が増えてきました。
一方で「実際の年収はどうなのか?」「会社員とフリーランスでどれくらい違うのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
在宅エンジニアの年収は、雇用形態や業務内容、スキルレベルによって大きく異なります。
本記事では、在宅エンジニアの働き方や年収の傾向を整理し、収入を伸ばすために意識したいポイントについても紹介しています。
「今の働き方のままでいいのか」と悩んでいる方も、自分にできることから少しずつ取り組んでいきましょう。
在宅エンジニアの働き方
IT業界では慢性的な人手不足が続いており、経験やスキルを持つエンジニアの確保が企業にとって大きな課題となっています。
そのなかで、働く場所を限定せずにスキルを発揮できる在宅エンジニアの存在が注目されるようになりました。
テレワークやリモートワークの普及に伴い、在宅でも円滑に業務を行える環境が整い始めており、働き方の自由度も高まっています。
企業側にとっても、優秀な人材を地理的な制約なしで確保できる点は大きなメリットです。
こうした背景から、在宅という働き方を前提とした採用や案件も増加傾向にあり、自分に合う働き方を追求しやすくなっています。
在宅エンジニアの割合
フリーランスや会社員を問わず、在宅での勤務を取り入れる人が増えており、その傾向はデータにも表れています。
「フリーランス白書2020」によると、すでに在宅勤務を活用しているフリーランスは54.1%、新たに取り入れた人は17.4%とされています。
一方で会社員では、従来から在宅勤務を行っている人が35.9%、新規で始めた人が41.7%という結果でした。
会社員・フリーランス問わず、多くの人が在宅という働き方に移行していることが分かります。
こうした背景には、働き方改革の推進やワークライフバランスを重視する考え方の浸透、さらにはITツールやクラウド環境の整備が進んだことなどが影響しています。
今後もこの流れは続くと見られ、在宅エンジニアとしての活躍の場はさらに広がっていくといえるでしょう。
参考:フリーランス協会「フリーランス白書2020」
在宅エンジニアの種類
在宅勤務が可能なエンジニアには、様々な職種があります。
代表的なものを挙げると、以下のような職種が在宅勤務に対応しやすいとされています。
- プログラマー
- システムエンジニア
- Webエンジニア
- フロントエンドエンジニア
- アプリケーションエンジニア
- インフラエンジニア
- クラウドエンジニア
- データサイエンティスト
いずれもパソコンとネットワーク環境があれば作業可能な業務が多く、在宅での働き方に適しています。
ただし、担当するプロジェクトやクライアントの意向によっては、対面での打ち合わせや現地対応が求められる場面もあります。
そのため「完全在宅」が常に保証されるとは限らず、案件ごとの条件を確認しておくことが重要です。
各職種の特徴や必要なスキルについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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在宅エンジニアのメリットとデメリット
在宅エンジニアとして働くことには、メリットとデメリットの両面があります。
大きなメリットは、自分のペースで業務を進められることです。
時間や場所に縛られず、生活スタイルに合わせた働き方ができるため、プライベートとの両立がしやすくなります。
また、通勤による疲労や人間関係によるストレスが軽減されることで、集中力を維持しやすくなり、生産性の向上にもつながりやすいといえます。
家族との時間を確保したり、自分の趣味に充てる時間に合わせて柔軟に仕事ができることも、在宅ならではの魅力です。
一方で、在宅勤務の課題としては、仕事と生活の境目が曖昧になりやすいことが挙げられます。
出社することで自然とスイッチが切り替わる人にとっては、常に自宅で過ごす環境ではメリハリがつきにくく、モチベーションの維持が難しく感じることもあります。
環境を整えたり、自分なりのリズムを意識することが、在宅勤務を快適に続けるうえで欠かせない要素といえるでしょう。
在宅エンジニアに向いている人の3つの特徴
在宅エンジニアという働き方は、自由度が高く魅力的に映る一方で、全ての人に適しているとは限りません。
自分で業務を管理し、集中して作業を進める姿勢が求められるため、働き方の特徴を正しく理解したうえで、自分に合っているかどうかを見極めることが大切です。
ここでは、在宅エンジニアに向いている人の特徴について、代表的な3つのポイントを紹介します。
1.自律的に動ける
在宅エンジニアに求められる資質の一つが、自律的に行動できるかどうかです。
自宅という環境では、誰かに進捗を見られることもなければ、上司や同僚から逐一指示を受けるわけでもありません。
そのため、自分で作業計画を立てて、納期を意識しながら着実に業務を進める姿勢が必要になります。
また、気軽に周囲へ相談しにくい環境であるため、問題が発生した際にも自分で状況を整理し、仮説を立てて対処していく力が求められます。
誰かの指示を待つのではなく、自ら判断しながら手を動かせる人は、在宅環境でも安定したパフォーマンスを発揮できるでしょう。
2.コミュニケーション力が高い
在宅エンジニアとして働くうえで、コミュニケーション力の高さは欠かせない要素の一つです。
基本的にオンラインでのやり取りが中心となるため、お互いに表情や声のトーンが分かりづらく、認識のズレが起きやすいです。
こうした状況では、小さなすれ違いが大きなトラブルの原因になり、業務全体の進行にも影響が出てしまうことがあります。
情報を共有する際には、要点を簡潔に伝えるだけでなく、確認の一言や補足を意識的に添える姿勢が求められます。
相手の立場や状況を想像しながら、先回りして伝える力や、分かりにくい点があればその場で解消しようとする対応も重要です。
在宅では「言わなくても伝わる」ではなく「伝える工夫を重ねる」ことが信頼を築く土台になります。
丁寧な言葉選びやこまめなやり取りができる人ほど、在宅でも関係を築きやすいといえます。
3.新しい知識・技術を積極的に学べる
在宅エンジニアとして長く活躍するためには、新しい知識や技術を積極的に学び続ける姿勢が欠かせません。
IT業界は変化のスピードが速く、スキルの更新が止まってしまうと市場での価値が下がってしまう可能性があります。
在宅での働き方は自由度が高い反面、自分自身で学習の時間を確保しなければ成長の機会を逃しやすいです。
そのため、日々の業務に追われるなかでも、新たな知識を吸収しようとする意識が重要になります。
これまでの経験やスキルを活かしつつ、新たな言語やフレームワーク、クラウドサービスなどに触れることで、自分の対応領域を広げることができます。
結果として、任される業務の幅も広がり、単価や年収アップにもつながるでしょう。
学びを止めない姿勢こそが、在宅エンジニアとしての価値を高める大きな鍵となります。
在宅エンジニアの平均年収
在宅エンジニアの年収は、職種や働き方、個人のスキルセットによって大きく異なります。
以下は厚生労働省の調査による正社員エンジニアの平均年収です。
- プログラマーを含む「ソフトウェア作成者」:約557万5,800円
- システムエンジニアを含む「システムコンサルタント・設計者」:約684万9,100円
在宅勤務かどうかは年収に直接影響を与える要因ではないため「正社員」と「正社員・在宅」の収入水準に差はほとんどないと考えられます。
フリーランスの場合は働き方の幅が広く、年収レンジは500〜800万円ほどに分布しており、実力次第で会社員よりも高収入を狙うことも可能です。
在宅エンジニアは、一定のスキルや自己管理能力が前提となるため、単価や報酬が上がりやすい傾向があります。
参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
在宅エンジニアが年収を上げる方法

在宅エンジニアとして年収を上げるためには、いくつかの方法があります。
- 需要の高いスキルを習得する
- 上流工程も対応できるようになる
- 継続的に学習する
- 資格を取得する
なかでも意識すべきなのは、スキルの習得と向上です。
より専門性の高い領域に踏み込み、他者との差別化を図れるような技術を身に付けていくことが報酬の向上にもつながります。
それぞれの方法について、詳しく解説します。
需要の高いスキルを習得する
在宅エンジニアとして年収を上げていくうえで、需要の高いスキルを習得することは非常に効果的です。
当然ながら、市場で必要とされているスキルを持っていれば、それだけ案件の選択肢が増え、継続的な受注にもつながりやすくなります。
特にクラウド構築、セキュリティ対策、AI関連といった分野は、近年ニーズが高まっており、実務レベルで対応できる人材は常に求められています。
習得したスキルをもとに、より難易度や責任の高い業務を担うようになれば、自然と単価交渉の余地も広がるでしょう。
まずは需要の高い分野を見極め、自分がどのスキルを伸ばすべきかを明確にすることが、年収アップへの第一歩です。
上流工程も対応できるようになる
年収を上げるための手段として、上流工程に対応できるようになることも効果的です。
要件定義や設計といった上流工程は、実装やテストなどの下流工程に比べて業務の難易度が高いです。
そのため、ある程度のスキルや実務経験を積んでいるエンジニアでないと対応は難しいといえます。
しかし、上流工程を担えるエンジニアは限られており、案件単価も高くなりやすいため、関われるようになると報酬アップに直結しやすくなります。
また、上流から下流までの一連の流れを理解できるようになることで、チームのマネジメントや提案力といったスキルも磨かれ、より高いレベルの仕事に挑戦しやすいです。
中長期的な視点で見ても、キャリアアップや独立を視野に入れるうえで、上流工程を経験することは大きな財産になります。
継続的に学習する
在宅エンジニアとしてだけでなく、全てのエンジニアに共通して求められるのが、継続的な学習に取り組む姿勢です。
IT業界は技術の移り変わりが早く、新しいツールやフレームワークが次々と登場するため、数年前の知識では通用しにくい場面も増えています。
そのような環境で活躍を続けるには、日常的に情報をキャッチアップし、自ら新しい知識や技術を取り入れることが欠かせません。
新しい技術に触れていくことで、対応できる業務の範囲が広がり、チャレンジできる案件の数も増えていきます。
結果として、提案力や対応力が強化されるだけでなく、市場価値も高まり、年収アップにもつながるでしょう。
学習の習慣を日々の生活に組み込み、変化に対応できる柔軟なスキルセットを築いていくことが、安定したキャリア形成の鍵になります。
資格を取得する
在宅エンジニアとして年収を高めていくために、資格の取得は有効な手段の一つです。
企業によっては、特定の資格を持っている人材に対して手当を支給していたり、資格保有者限定で求人を出しているケースもあります。
また、客観的なスキル証明として役立つため、スキルレベルを伝えやすくなり、信頼を得る材料になります。
どの資格を目指すかは、自分の職種やスキルレベル、将来のキャリアに合わせて選ぶことが重要です。
例えば、インフラ系であればネットワークスペシャリスト、開発系であれば応用情報技術者やAWS認定など、それぞれ分野ごとに最適な資格があります。
取得までの学習を通じて技術の理解も深まるため、実務にも直結しやすいのが大きなメリットです。
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監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
年収アップは「選ばれる力」と「選ぶ力」の両立がカギ
在宅エンジニアが収入を上げるには、単にスキルを高めるだけでは不十分です。
企業から「安心してリモートで任せられる存在」として選ばれるためには、資格取得や新しい技術スタックへの対応力を示すことが効果的です。
例えば、AWS認定資格を取得したエンジニアは、未取得者に比べてリモート案件の採用率が高まる傾向があるといわれています。
一方で、自分自身も「より条件の良い案件を見極める目」を養うことが必要です。
例えば、リモートワーク環境を整備している企業や、柔軟なコミュニケーション体制を持つチームを選ぶなどです。
こうすることで、ストレスを軽減しながら長期的に成果を出しやすくなります。
「技術を見せる力」と「働く環境を選ぶ力」の両方を鍛えることが、在宅エンジニアとしてキャリアと年収を伸ばすカギとなります。
まとめ
在宅エンジニアという働き方は、時間や場所に縛られず柔軟に働けるため、近年注目を集めています。
働き方改革やリモート環境の整備が進んだ影響もあり、実際に在宅勤務を選ぶエンジニアは増加傾向にあります。
今後もこの流れは続くと見込まれるでしょう。
ただし、在宅勤務にはメリットだけでなく、自己管理やコミュニケーションへの配慮も必要です。自分に向いているかをしっかり見極めることが大切です。
また、エンジニアといっても、職種や案件内容によって収入や働き方の自由度には大きな差が生じるものです。
年収アップを目指すなら、需要の高いスキルの習得や上流工程への対応、資格取得といった取り組みを着実に重ねていきましょう。
そのうえで、自分に合った働き方を実現できる環境を選ぶ視点も、キャリア形成には欠かせません。
弊社ESESは、エンジニアがさまざまな案件を経験しながら成長できるSES(システムエンジニアリングサービス)企業の一つです。
SESとは、自社に所属しながらクライアント先のプロジェクトに参画する働き方を指します。
弊社ではリモートワーク可能な案件を多数取り扱っており、フルリモート・リモート併用など希望に応じた働き方が可能です。
なかでも特徴的なのは、エンジニア自身が参画する案件を選べる点にあります。
キャリアプランに合わせた経験を積むことができるため、着実な成長を目指せるでしょう。
「将来的にはフルリモートを目指したい」「まずは出社して経験を積みたい」といった希望にも柔軟に対応できる環境が整っています。
働きやすさと成長を両立できる環境で、年収アップを目指してみませんか?

監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
向いている人の特徴は”習慣”で育てられる
在宅エンジニアに求められる「自律性」「コミュニケーション力」「学習意欲」は、先天的な資質ではなく、日々の小さな習慣の積み重ねによって育まれます。
例えば、毎朝「今日のタスクを3行でまとめてSlackに投稿する」といったシンプルな行動を習慣化することで、自己管理能力と報連相のスキルが自然と向上します。
また、学習意欲を高めるためには、既存の習慣に新しい行動を組み合わせる「習慣のアンカリング」が効果的です。
具体的には「毎日朝食後に10分だけ技術記事を読む」「コーヒーを飲んだら5分だけコードを書く」などです。
学習の進捗をチェックリストに記録したり、SNSで共有することも、達成感を得やすくなり、継続的なモチベーションにつながります。