クラウドエンジニアの需要は高い!その理由とやるべきことを解説

目次
IT化が急速に進む現代、業務効率化やコスト削減を目的に、多くの企業でクラウドサービスが導入されています。
それに伴い、クラウドを専門とする「クラウドエンジニア」の需要が年々高まっています。
しかし、単にクラウドに詳しいだけでは、市場で求められるエンジニアにはなれません。
高まる需要の波に乗り、キャリアを一段上へと進めるためには「やるべきこと」を一つひとつ積み重ねていくことが重要です。
本記事では、なぜクラウドエンジニアの需要が高まっているのか、その背景を分かりやすく解説します。
今後のキャリアアップに向けて押さえておきたいスキルや、今日からできる具体的なアクションも紹介します。
クラウドエンジニアとして活躍し続けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】クラウドエンジニアの需要は急激に高まっている
現在、クラウドエンジニアの需要は急激に上昇しています。
それには、企業のITインフラをオンプレミスからクラウド環境へと移行している流れが大きく影響しています。
新型コロナウイルスの影響によってテレワークが浸透し、業種を問わずクラウドサービスの導入が一気に加速しました。
このような変化に対応するため、クラウドの設計・構築・運用を担える人材へのニーズが急増しています。
クラウドは導入すれば終わりではなく、継続的な運用やセキュリティ対策、コスト最適化などが求められるため、専門性の高いエンジニアの存在が欠かせません。
エンジニア求人市場でも「クラウド経験者」を優遇する傾向が顕著になっており、年収アップを狙ううえでも有利といえます。
クラウドエンジニアの需要が高まっている4つの理由
クラウドエンジニアの需要が高まっている背景には、大きく以下の4つの要因が関係しています。
- 多くの企業でIT化が進んでいる
- パブリッククラウドサービスが普及した
- 人材不足が慢性化している
- 今後も技術の進化が期待されている
このように、技術トレンド・業界動向・人材事情など、様々な要因が、クラウドエンジニアの価値を押し上げているのが現状です。
1.多くの企業でIT化が進んでいる
総務省が公表した「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、クラウドサービスを業務で利用している企業の割合は全体の72.2%です。
今やクラウドサービスが特定の業界だけで使われるものではなく、幅広い業種において必要不可欠になっているといえます。
背景には、コロナ禍による働き方の変化が大きく影響しています。
テレワークの普及にともない、場所を問わずアクセスできるクラウド環境の整備が急速に進んだことで、IT化の流れが一気に加速しました。
これにより、ただクラウドを導入するだけでなく、安全性や可用性、コスト最適化といった観点から、より高度な設計・運用が求められるようになりました。
その結果、これらの要件に対応できるクラウドエンジニアへのニーズが一気に高まり、今もその需要は継続しています。
ITインフラの整備が企業の競争力に直結する時代において、クラウドの専門知識を持つ人材は重要な役割を担う存在となっているのです。
参考:総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」
2.パブリッククラウドサービスが普及した
クラウドサービスの導入が進められるなかで、特にパブリッククラウドの代表格であるAWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどの需要が高まっています。
これらのプラットフォームは、企業が柔軟かつスピーディーにシステムを構築・運用できる環境を提供しています。
そのため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえで欠かせない存在となったのです。
クラウドエンジニアは、こうしたサービスを用いてインフラの設計・構築・運用を行い、企業のIT基盤を支える役割を担っています。
サーバー構築にとどまらず、セキュリティ設計やリソース管理、自動化の仕組みづくりなども求められるため、専門的な知識と実践的なスキルが必要です。
今後もクラウド活用は進むと見られており、それに伴ってこの分野の技術者への需要も引き続き増えていくでしょう。
3.人材不足が慢性化している
近年、IT業界では慢性的な人材不足が大きな課題となっており、クラウドエンジニアもその一つです。
多くの企業でクラウド技術に精通したエンジニアが必要とされていますが、それに見合う人材の供給が追いついていません。
クラウドサービスは進化し続けており、それに伴って求められる知識やスキルも高度化しています。
一方で、こうした技術の変化に柔軟に対応できるエンジニアは限られており、人材ギャップがますます広がっている状況です。
今後も多くの企業がクラウドサービスの導入や活用を進めていくことが予想されるため、クラウドエンジニアへの需要はさらに高まっていくと考えられています。
4.今後も技術の進化が期待されている
今後もクラウドサービスは進化を続けると見込まれており、それに伴って新しい技術やソリューションが次々と登場することが予想されています。
その結果、クラウドエンジニアにはより多様で高度なスキルが求められるようになり、対応できる人材の重要性はさらに高まるでしょう。
JUAS(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2023」に、解決したい課題が示されています。
上位に挙げられたのは以下です。
- 業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)
- セキュリティ強化
- 働き方の改善(テレワーク、ペーパーレス化など)
これらの課題は、まさにクラウドの導入によって解決できるものであり、多くの企業がクラウド活用に注目している理由の一つでもあります。
そのため、クラウドの専門知識を持ち、最新技術を理解しながら実務に落とし込めるクラウドエンジニアの価値は今後さらに高まると考えられています。
参考:JUAS(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)「企業IT動向調査2023」
需要の高いクラウドエンジニアに求められる知識・技術
需要の高いクラウドエンジニアとして活躍するためには、特定の分野に偏らず、幅広い知識と技術を身につけておくことが不可欠です。
クラウドエンジニアには様々な知識や技術が求められます。
- プラットフォームの知識
- 仮想化技術
- インフラの構築スキル
- セキュリティの知識
チームでの協力や顧客とのやり取りも重要になるため、これらの技術力だけでなくコミュニケーション能力も必要です。
近年では、技術的なスキルとビジネススキルの両方を備えた人材が重宝されています。
ここからは、クラウドエンジニアに求められる知識やスキルについて詳しく解説します。
クラウドプラットフォームの知識
クラウドエンジニアにとって、主要なクラウドプラットフォームの知識は必須のスキルです。
特に、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などは、多くの企業で導入実績があり、注目されています。
これらのプラットフォームは、それぞれに特徴的なサービスや操作体系を持っています。
一つのプラットフォームに詳しいだけでは、異なる環境に対応する柔軟性が不足し、業務の幅を狭めてしまうかもしれません。
そのため、複数のクラウドに関する基本的な知識を持ち、どの環境でも一定の設計・構築・運用が行えることが重要です。
また、クラウドは日々進化を続けており、新しい機能やサービスが次々と登場しています。
常に情報をキャッチアップしながら知識を更新していく姿勢も求められます。
どのプラットフォームでも通用する共通の概念と、各サービス特有の違いを理解しておくことで、より実践的な対応が可能になるでしょう。
仮想化技術
クラウド環境を理解し、適切に扱うためには、仮想化技術の知識とスキルが欠かせません。
仮想化とは、物理的なハードウェア資源を論理的に分割・抽象化し、複数の環境を効率的に構築・運用できる技術を指します。
クラウドサービスの多くは、この仮想化の仕組みをベースに動いています。
仮想サーバー(仮想マシン)の作成や、仮想ネットワークの構築・管理などは日常的な業務の一部です。
適切にリソースを割り当て、負荷の分散やスケーラビリティの確保を行うためにも、仮想化の基本概念と応用技術の理解は必須です。
また、KVMやVMware、Hyper-Vといった仮想化ソフトウェアに加え、クラウド上で提供される仮想化サービスの仕組みなども学んでおきましょう。
これらに対応できることにより、より柔軟で効率的なクラウド環境の構築が可能となり、クラウドエンジニアとしての信頼性と実務能力の向上にもつながります。
インフラの構築スキル
クラウドエンジニアとして活躍するには、クラウドサービスに関する知識だけでなく、インフラ全般に対する理解も欠かせません。
現場では、クラウドとオンプレミス環境が混在しており、状況に応じて両方を扱うケースが一般的です。
特にレガシーシステムとの連携や、段階的なクラウド移行を行うプロジェクトでは、オンプレミスの構成を理解していることが大きな強みとなります。
クラウド上でシステムを構築する際にも、ネットワークやサーバー、ストレージといったインフラの基本的な構成要素について把握しておく必要があります。
こうした基礎を身につけておくことで、構築トラブルへの対応や設計段階での判断もスムーズに行えるようになり、実務での信頼にも直結するでしょう。
セキュリティの知識
クラウドサービスの導入を検討する企業の多くが、セキュリティの問題を懸念しています。
近年では、サイバー攻撃や情報漏洩といったリスクが高まり、クラウド環境であっても安全性が確保されていなければ、導入に踏み切れないという声も少なくありません。
そのため、クラウドエンジニアにはセキュリティに関する正しい知識と、それを実際の環境に適用するスキルが求められます。
アクセス制御や通信の暗号化、ログ監視、バックアップ体制など、多層的な対策を講じる必要があります。
特に重要なのは、クライアントごとに異なるネットワーク構成や業務要件に応じて、最適なセキュリティ設計をすることです。
ただセキュリティ製品を導入するだけでは不十分で、運用を見据えた実践的な構成が求められます。
このように、セキュリティの知識はクラウドエンジニアとしての信頼に直結する分野であり、日々変化する脅威への対応力を磨き続けることが必要です。
コミュニケーション能力
クラウドエンジニアに求められるスキルは技術面にとどまらず、チーム内外との連携を円滑に進めるためのコミュニケーション能力も重要です。
クラウドやITインフラは、企業にとって業務の土台となる部分であり、その設計や運用には多くの関係者が関わるため、情報の行き違いがトラブルにつながる可能性もあります。
そのため、クライアントの要望を的確にヒアリングし、課題やゴールを明確に共有する力が求められます。
同時に、技術チーム内の意見や制約事項を踏まえ、現実的な提案へと落とし込む橋渡しも役割の一つです。
専門用語をかみ砕いて説明したり、意思決定をサポートする資料を準備したりといった場面も多く、柔軟で誠実な対応力が信頼につながる要素となります。
こうした背景から、クラウドエンジニアには対話力や調整力といった人との関わりに関するスキルも欠かせず、技術と同等に重視されます。
監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
クラウドエンジニアに必要な思考と判断
クラウドエンジニアに求められるのは、ただ操作を覚えることではなく「なぜこの構成にするのか」と論理的に考える力です。
クラウド環境を整えるうえで、クライアントを含め、プロジェクトに関わる人の間で認識が違うとトラブルにつながりやすくなるからです。
そのため、クライアントに分かりやすく説明したり、チーム内で連携するために共通の認識を持つ必要があります。
例えば「障害に備えて複数の拠点に分散させる」「アクセス増に合わせて自動で台数を調整する」といった設計判断です。
また、クライアントが気になることの一つが、コスト。
コストを抑えながら質を上げるために、機能の優先順位や使い方にも目を向けなければなりません。
コストを抑えつつ、クライアントの要望も叶えて適切なクラウド環境を構築することが求められます。
ネットワークやセキュリティの基本を押さえたうえで、現場での思考力と判断力を養うことが、クラウド時代のエンジニアとしての強みとなるでしょう。
需要の高いクラウドエンジニアであるためにやるべきこと

クラウドエンジニアとして継続的に活躍していくためには、一度身につけた知識や技術に満足せず、日々できることを積み重ねていく姿勢が欠かせません。
具体的には、以下のことに取り組んでいきましょう。
- 進化する技術を学び続ける
- 資格を取得する
- キャリアアップを目指す
クラウドの世界は非常に変化が早く、新しいサービスや概念が次々と登場するため、常にアンテナを張って学び続けることが重要です。
進化する技術を学び続ける
クラウドの基礎的な知識だけでは、急速に変化する現場のニーズに応えることが難しくなってきています。
日々登場する新しいサービスやツール、さらには設計や運用のベストプラクティスも変化しており、それらを学び現場で活用できるようにする必要があります。
例えば、インフラ自動化やコンテナ技術、セキュリティ設計、コスト最適化など、クラウドに関係する周辺スキルも幅広く押さえておきましょう。
そうすることで、対応できる領域が広がり、より信頼される存在になれます。
常に学び続け、知識と技術のアップデートを怠らない姿勢が、長く求められるクラウドエンジニアでいるための武器となります。
資格を取得する
クラウドエンジニアとしてスキルを証明し、市場での評価を高めたい場合、クラウド関連の資格を取得することが有効です。
代表的なものとしては、以下のような資格があります。
これらはクラウド技術に関する専門知識と実務能力を証明する手段として広く認知されています。
資格取得の過程で体系的にスキルを学ぶことができ、実務に備えられます。
また、資格を持っていることで、転職や社内評価の際にアピール材料となり、スキルに対する信頼性を高めることにもつながるでしょう。
資格はあくまでスキルの一部を証明するものであり、取得がゴールではありませんが、キャリア形成の確かな足がかりになります。
資格を取りたいと考えている方は、以下の記事も参考に受験を考えてみてください。
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キャリアアップを目指す
クラウドエンジニアとして経験を積んだ後の選択肢は幅広く、今後の働き方や目指す方向性に応じて柔軟にキャリアを描いていくことが可能です。
代表的なキャリアパスとしては、以下のようなものがあります。
- クラウドのスペシャリスト
- プロジェクトマネージャー
- ITコンサルタント
- 他エンジニア職へのキャリアチェンジ
クラウドエンジニアは、技術力だけでなくクライアントとのコミュニケーション力や業務改善に向けた提案力、戦略的な思考なども求められます。
そのため、ビジネススキルを兼ね備えた人材としても高く評価されやすい傾向があります。
こうした多様なスキルを活かすことで、様々な現場やステージでの活躍が期待される職種だといえるでしょう。
需要の高いクラウドエンジニアに関してよくある質問
クラウドエンジニアを目指すうえで、多くの人が抱える疑問や不安には共通点があります。
特に業務内容や働き方、今後の将来性に対する関心も高まっています。
自分に合っている職種かどうかを見極めるうえでも、正確な情報を知っておくことが重要です。
以下では、そうしたクラウドエンジニアに関してよく寄せられる質問を取り上げ、それぞれの疑問を解説します。
Q1.クラウドエンジニアは将来性ある?
クラウドエンジニアに将来性があるかどうかという問いに対しては「ある」と断言できる状況が続いています。
すでに「クラウドエンジニアの需要が高まっている4つの理由」で解説したように、複数の要因によってクラウド技術の需要は拡大を続けています。
また、クラウドは単なるインフラの置き換えではなく、AIやIoT、データ活用といった他領域との連携が期待されている分野です。
そのため、今後も技術的な発展が見込まれています。
このような背景から、クラウドエンジニアは、安定的かつ成長性のある職種だといえるでしょう。
ただし、将来性があるとはいえ、常に求められる人材でいるには努力が必要です。
技術の進化に対応できるよう、日々の学習や実務経験を通じてスキルを磨き続けることが、長期的に活躍し続けるためのカギとなります。
Q2.「クラウドエンジニアはやめとけ」って言われたことがあるけど、それって本当?
「クラウドエンジニアはやめとけ」と言われることがあるのは事実ですが、それにはいくつかの要因があります。
障害対応や緊急時の復旧作業など、責任の重さや精神的な負担がストレス要因となる場面もあるため、それを理由に「やめとけ」と語られることがあります。
とはいえ、それがすべての人に当てはまるとは限りません。
クラウドエンジニアは高度なスキルを活かしてシステムを支えている、多くの魅力がある仕事です。
実際に多くの現場で必要とされ、やりがいを感じながら働いているエンジニアも多数存在します。
そのため、自分にとって向いているのかどうかを見極めるには、業務内容だけでなく、自分の性格や将来目指すキャリア像と照らし合わせて総合的に判断することが大切です。
詳しくはこちらの記事でも解説しているため「やめたほうがいいかな?」と心配な方は合わせて読んでみてください。
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まとめ
クラウドエンジニアは、企業のIT化やクラウド移行の加速、技術革新、人材不足といった複数の要因により、高い需要を誇る職種です。
エンジニアとして安定したキャリアを築きたいと考えている方にとって、クラウドエンジニアは将来性のある選択肢といえます。
ただし、需要があるからといって、誰でも求められるわけではありません。
インフラや仮想化、セキュリティなど幅広い知識を持ち、コミュニケーション力や柔軟な対応力も備えたエンジニアが特に重宝されます。
「もっとスキルを伸ばしたい」「自分にはまだ経験が足りないのでは」と感じている方は、SES企業での就業も一つの選択肢です。
SES(システムエンジニアリングサービス)とは、企業のプロジェクトにエンジニアが技術提供の形で参画する働き方です。
実務を通して、スキルを身につけながら、キャリアを形成できます。
弊社ESESも、SES企業の一つとして、クラウドエンジニアを目指す方をサポートしています。
弊社では、エンジニア自身が案件を選べる「案件選択制度」をはじめ、働きやすい仕組みを整えてきました。
スキルレベルやキャリアプランに応じて、最適な案件をご提案することも可能です。
クラウド領域での経験を積みながら、自分の強みを活かして成長していきたいと考えている方にとって、働きやすい環境だといえます。
就職・転職を考える際の選択肢の一つとして、ご検討いただければ幸いです。
クラウドエンジニアとして成長したい方、働きやすさとキャリアの両立を重視したい方は、お気軽にご相談ください。

監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
クラウドエンジニアに求められる視点の変化
クラウドエンジニアの需要は一時的なブームではなく、ITインフラの構造そのものが変化している流れの中にあります。
企業のクラウド導入は「コスト削減」や「柔軟性」だけが目的ではありません。
「セキュリティ対策」「グローバル展開」「人材不足への対応」など、様々な経営課題と直結しているのです。
そのなかで、設計・運用だけでなく、クラウドの特性を活かした提案や改善ができるエンジニアが求められるようになっています。
単なる「技術者」から「ビジネスを動かすインフラパートナー」へ。
その視点を持つことが、これからのクラウド人材には不可欠です。