AWSエンジニアの需要は高い?求められるAWSエンジニアになるために身に付けるべき知識・技術も解説

目次
クラウドサービスの利用が広がる中、近年「AWS」という分野に注目が集まっています。
AWSとはAmazonが提供する「Amazon Web Services」の略で、世界一のシェアを誇るクラウドサービスです。
そのため、クラウドエンジニアの中でもAWSの設計・構築・運用に特化した「AWSエンジニア」という職種が誕生し、需要は年々増えつつあります。
需要の増加に伴い、AWSエンジニアを目指す人も増えました。
一方、AWSエンジニアに対して「どんなスキルが必要なの?」「未経験からでもなれるのか?」など、疑問に思っている人も多いでしょう。
本記事では、AWSエンジニアの需要が高い理由と、求められる人材になるために必要な知識・技術・役立つ資格について詳しく解説します。
AWSエンジニアを目指している方や検討している方は、ぜひ参考にしてください。
需要が高い「AWSエンジニア」とは?
AWSエンジニアは先述の通り、世界最大のクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」における専門家です。
近年、多くの企業がクラウドサービスを導入する中で、AWSは特に需要が高く、スタートアップから大企業まで幅広く利用されています。
多様なサービスを活用しながらAWS環境(クラウドシステム)の設計・構築・運用を行い、企業のコスト最適化やパフォーマンス向上に貢献するのがAWSエンジニアです。
AWSエンジニアは非常に需要の高い職種ですが、これらの業務を遂行するためには、幅広い知識とスキルが求められます。
クラウドの専門知識はもちろん、ITインフラの基礎知識、プログラミング能力、さらにはビジネス視点やコミュニケーション能力まで必要となるでしょう。
AWSエンジニアが身に付けるべき知識・技術については後ほど紹介します。
AWSエンジニアの需要が高いといえる5つの理由

AWSエンジニアは「需要が高い」と言われている職種ですが、それには5つの理由が存在します。
- クラウドサービスが普及している
- 一部の業界では特に需要が高い
- AWSエンジニアが不足している
- AWSのサービス内容が多様化している
- 今後も市場の成長が見込まれている
以下、それぞれの理由について解説していきます。
1.クラウドサービスが普及している
企業のIT環境はここ数年で大きな変革期を迎えており、従来の「自社でサーバーを持つ」というスタイルから、クラウドサービスを利用するスタイルへ変わりつつあります。
この「クラウドサービス自体の需要が増えている」という点が、AWSエンジニアの需要が高い理由の一つです。
総務省が行った2020年の調査では、日本企業の約7割が「クラウドサービスを導入済み」という結果でした。
この割合は年々増加しており、今後もこの傾向は続くと予想されています。
そして、数あるクラウドサービスの中でも、AWSは世界シェア1位を誇ります。
世界的企業であるAmazonが提供するサービスという信頼性・豊富な機能・充実したサポート体制が、多くの企業から選ばれる理由といえるでしょう。
参考:総務省「企業におけるクラウドサービスの利用動向 第2部 基本データと政策動向」
2.特に需要が高まっている業界がある
AWSエンジニアは、あらゆる業界で求められているサービスですが、特に以下の業界では需要が高まっています。
業界 | 理由 |
---|---|
IT・Web業界 | AWSはサービスの成長に合わせてシステムを拡張できる機能(スケーラビリティ)が備わっており、多くの企業がAWSを利用してWebサービスを開発・運用している。 |
ゲーム業界 | AWSは負荷に応じてサーバーのリソースを柔軟に調整できる。 近年は大規模なサーバーを必要とするオンラインゲームの増加が追い風となり、ゲーム業界での採用が進んでいる。 |
広告業界 | 近年はデジタル広告の普及により、大量のデータ処理や分析が必要。 AWSは豊富な分析ツールやAIサービスが備わっており、効果的な広告運用を実現している。 |
メディア業界 | AWSのコンテンツ配信機能を使うことで、動画配信やニュースサイトなど、大量のコンテンツを快適に提供できる。 |
これらのデジタル化が急速に進んでいる業界では、クラウド環境を活用したシステム構築やデータ分析が進んでおり、AWSエンジニアの需要が特に高いといえるでしょう。
3.AWSエンジニアが不足しているから
IT業界は全体的に人材不足ですが、AWSエンジニアも例外ではありません。
その理由として、以下の3つが挙げられます。
- 多くの企業が一斉にクラウド化を進めているから
- AWSには200以上のサービスがあり、全体を熟知している人材が少ないから
- AWSは新しいサービスを頻繁にリリースしており、対応できる人材はごく一部だから
これらの理由から、専門性の高いAWSエンジニアを確保するのは難しいです。
そのため「高い報酬を払ってでも、自社で優秀なAWSエンジニアを採用して業務を一任したい」と考える企業は珍しくありません。
4.AWSのサービス内容が多様化している
先ほども少し触れましたが、AWSは新サービスのリリースや既存サービスのアップデートなどが頻繁に起こっており、常に進化を続けています。
また、以下のようにサービス内容も多様化しています。
- AI(人工知能)を使ったサービス
- ビッグデータ分析ツール
- IoT(モノのインターネット)向けサービス
- ブロックチェーン技術
- AR(拡張現実)/VR(仮想現実)開発ツール
このような変化に対応するには、AWSの専門家として日々、知識とスキルをアップデートさせることが必要です。
しかし、一般的なITエンジニアでは、これだけ多様化するサービス全てに対応することは困難といえるでしょう。
そのため、サービスの変更や新機能を常にキャッチアップできるAWSエンジニアは、非常に需要が高いのです。
5.今後も市場の成長が見込まれている
クラウドサービス市場は、今後も大きな成長が期待されています。
その大きな理由が、従来型のシステム構築(オンプレミス)と比べた際のクラウドサービスのメリットです。
- システム構築が容易で、初期投資を抑えられる
- ユーザー数や使用量に応じた料金体系がある
- システム・サーバー運用が楽で、管理コストを削減できる
- リモートアクセスが容易にできる
- 充実したセキュリティ機能がある
- 災害対策になる
さらに、AWSは世界的な企業である「Amazonが提供するサービス」という強みがあります。
充実したサポート体制や、世界中での導入実績による信頼性の高さは、企業がAWSを選ぶ大きな理由です。
このような背景から、AWSの市場規模は今後も拡大すると予測され、それに伴ってAWSエンジニアの需要も高まっていくといえるでしょう。
需要が高いAWSエンジニアになるために身に付けるべき知識・技術
AWSエンジニアは需要の高い職種ですが、需要のある人材となるには相応の努力が必要です。
ここでは需要が高いAWSエンジニアになるために身に付けるべき9つの知識・技術を紹介します。
- ITインフラ全般の知識
- クラウドサービスの知識
- プログラミングスキル
- セキュリティに関する知識
- コンテナ技術
- CI/CD
- DevOps
- Infrastructure as Code
- ミドルウェアに関するスキル
これらの知識・技術を有しているAWSエンジニアは、クライアントからの様々な要望に応えられる市場価値の高い人材といえます。
ITインフラ全般の知識
AWSを理解するには、まず土台となるITインフラ全般の知識が必要です。
ITインフラとは、企業のシステムやサービスを支える以下のものを指します。
- サーバー(データを保存・処理するコンピューター)
- ネットワーク(複数のコンピューターやデバイスを接続し、情報を共有する仕組み)
- データベース(データを効率的に管理するシステム)
- セキュリティ(システムを守る仕組み)
AWSは、これらのITインフラをクラウド上で提供しています。
しかし、AWSを効果的に活用するには、クラウドだけではなく従来型のITインフラの知識が必要不可欠です。
なぜなら、次のような場合にITインフラの知識がないと対応できないからです。
- 既存システムからクラウドへ移行する時
- システム全体を設計する時
- トラブル時の原因特定と解決策を考える時
つまり、AWSに特化したエンジニアを目指すにしても、まずはITインフラ全般の基礎知識を身につけなければなりません。
クラウドサービスの知識
AWSはクラウドサービスの1つであるため、AWSの専門家を目指すのであれば、クラウドサービス全般の知識が重要です。
クラウドサービスは、大きく以下のような種類に分かれます。
分類方法 | 項目 | 説明 |
---|---|---|
提供形態 | パブリッククラウド | インターネット上でオープンに提供される。 |
プライベートクラウド | 自社内のネットワーク環境下で構築する。 | |
利用形態 | IaaS | 仮想化されたコンピューティングリソースをインターネット経由で提供する。 主にITエンジニアが利用する。 |
PaaS | アプリケーション開発・実行環境を提供する。 主にITエンジニアが利用する。 | |
SaaS | ソフトウェアをインターネット経由で利用する。 一般ユーザーも利用しやすい。 | |
運用・管理方法 | マネージド型 | サービス提供側が管理者権限を保持する。 ユーザーの運用・管理負担が少ない。 |
セルフマネージド型 | ユーザーが自身で管理・運用を行う。 より高度なカスタマイズが可能。 |
各クラウドサービスの特徴を理解することで、クライアントの要求に合わせた提案ができます。
また、実際の現場ではAWS以外のクラウドサービスを組み合わせるケースが多く、AWSだけの理解では不十分といえるでしょう。
そのため、より広範囲な現場で活躍するには「クラウド全般の知識があり、特にAWSに詳しい人材」であることが求められます。
プログラミングスキル
AWSエンジニアは頻繁にプログラミングを使用するため、プログラミングスキルが必須です。
具体的には、以下のような場面で使用します。
- インフラのコード化(AWSの環境構築を自動化、設定内容をコードで管理、複数環境の一括構築)
- 運用の自動化(定期的なバックアップ処理、監視システムの構築、障害時の自動復旧)
- データ処理(ログファイルの解析、大量データの集計、レポートの自動生成)
そのため、以下の言語の習得をおすすめします。
- Python(複雑なタスク処理)
- Java Script(Webサービスとの連携)
- Shell Script(システム管理、データ処理)
これらの言語を使いこなせると、より効果的なシステム運用が可能になり、AWSエンジニアとして活躍の幅が広がるでしょう。
セキュリティに関する知識
セキュリティは、クラウドサービスを利用する上で最も重要な要素の1つです。
近年のサイバー攻撃は手法が巧妙化しており、被害規模も大きくなっているため、企業も様々な対策を必要としています。
もしセキュリティ対策が不十分なまま開発が進んで情報漏洩が起きた場合、サービス停止や損害賠償が発生するでしょう。
加えて、顧客からの信頼・企業イメージの低下を引き起こします。
そのため、AWSエンジニアには「不正アクセス対策」や「データ保護」に関する知識が求められます。
これらセキュリティに関する知識・スキルを習得することで、安全で信頼性の高いAWS環境を構築・運用できるようになります。
監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
サイバー攻撃や情報漏洩はなぜ起こる?
サイバー攻撃や情報漏洩が起こる理由は、大きく外部要因と内部要因の2つに分けられます。
【外部要因】
・金銭目的(個人情報や企業の機密情報を暗号化し、解除するために金銭を要求するランサムウェアなど)
・システム環境の複雑化(インターネットの普及に伴い、不正に侵入できる入口が増えた)
【内部要因】
・ファイルの開封による感染(添付ファイルにマルウェアが潜んでおり、うっかり開封してしまったなど)
・個人情報が入ったUSBの紛失や盗難
・社内関係者による機密情報の漏洩
・宛先の入力ミス、添付ファイルの送り間違いなどのヒューマンエラー
きっかけは何気ないものであっても、最悪の場合、ランサムウェア攻撃によって、企業は倒産に追い込まれます。
安心・安全なサービスを提供するためにも、AWSエンジニアにとってセキュリティは必須科目といえるでしょう。
コンテナ技術
コンテナとは、アプリケーションの実行に必要な環境を1つのパッケージに基づいて考える技術を指します。
クラウド環境において最も注目されている技術の1つで、代表的なコンテナ技術は以下のものです。
- Docker(最も普及しているコンテナ技術)
- Amazon ECS(AWSオリジナルのコンテナ管理サービス)
- Amazon EKS(Kubernetes環境をベースに構築されたサービス)
この技術により開発・運用の効率化とアプリケーションの可搬性が向上します。
さらに、1つのパッケージに基づいているため、トラブル時の復旧も容易です。
AWS環境でコンテナ技術を正しく活用できれば、よりクラウド運用の効率化・柔軟性を実現できます。
CI/CD
CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)は、自動化を取り入れた開発手法全体を指し、現代のシステム開発に欠かせない仕組みです。
CIとCDはどちらもソフトウェア開発プロセスを効率化するための重要な仕組みですが、それぞれ異なる役割を果たします。
- CI:プログラムの変更を定期的に統合する(自動的にビルド・テストを行いバグを早期発見)
- CD:本番環境への展開を自動化する(人為的ミスを防止し、迅速なサービス提供を実現)
AWSには以下のようなCI/CDツールが用意されています。
- AWS CodePipeline(開発工程全体の自動化)
- AWS CodeBuild(ビルド・テストの自動化)
- AWS CodeDeploy(デプロイの自動化)
これらを活用することで、効率的かつ信頼性の高い開発・運用につながります。
CI/CDは今後システム開発の標準となっていくことが予想されるので、このスキルを持つAWSエンジニアの需要はさらに高まっていくでしょう。
DevOps
DevOpsとは「Development(開発)」と「Operations(運用)」を組み合わせた言葉で、双方の連携を示す考え方です。
従来のシステム開発では、開発チームは新機能の追加、運用チームはシステムの安定性というように、重視するものが異なっていました。
しかし、それぞれの目標が違うことで多くの問題が起きていたのです。
そこでDevOpsという考え方が誕生し、これらの問題を改善することに成功しました。
- 開発面での改善(運用チームの意見を開発初期から取り入れ、運用しやすい設計を意識する)
- 運用面での改善(運用作業の自動化、監視体制の強化、障害対応の迅速化)
AWSはDevOpsの実践に役立つさまざまなツールを提供しており、これらのツールを活用することによって、サービスの品質向上 ・ビジネスのスピードアップに繋がります。
AWSエンジニアにとって、ぜひ身に付けておきたいスキルです。
Infrastructure as Code
Infra Structure as Code(以下IaC)は、インフラ構築を手動ではなく、プログラミングのようにコードを用いて行う手法です。
従来のインフラ構築は手作業での設定が必要で、以下のような問題がありました。
- 人為的なミスが起きやすい
- 作業に時間がかかる
- 担当者によって品質にばらつきが出る
これがIaCを導入することにより、ミスのない正確な環境構築が実現でき、さらに同じ環境を何度でも再現可能となりました。
AWSでは以下のようなIaCツールが使えます。
- AWS CloudFormation(AWSの標準ツール)
- AWS CDK(プログラミング言語でインフラストラクチャを定義)
- Terraform(複数のクラウドプロバイダーに対応)
インフラ構築や運用などが自動化できるため、業務効率につながる一方で、使いこなすITエンジニアには高いスキルが求められます。
インフラ全般の理解に加えて、プログラミングの基礎知識や自動化のための設計力も必要です。
しかし、これから様々な業務が自動化され、今後IaCがインフラエンジニアの必須スキルとなる可能性もあるため、早めに学習しておくのがおすすめです。
ミドルウェアに関するスキル
ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間に位置する両者を仲介するソフトウェアを指し、代表的なミドルウェアは以下のものです。
- Webサーバー:Apache(最も広く使われているWebサーバー) 、Nginx(高速で軽量なWebサーバー)
- データベース:MySQL(オープンソースの定番データベース)、PostgreSQL(高機能な無料データベース)、Amazon RDS(AWSのマネージド型データベース)
- キャッシュサーバー:Redis(高速なデータ処理が可能)、Memcached(シンプルで使いやすい)
これらのミドルウェアの知識があると「システムの構成を最適化できる」「効果的な運用が可能」「トラブル発生時も原因特定がしやすい」といったメリットがあります。
特にAWSでは、これらのミドルウェアをクラウド上で効率的に運用する必要があります。
そのためAWSエンジニアは、各ミドルウェアの特徴や設定、運用管理の方法を習得しておくことが望ましいです。
需要が高いAWSエンジニアを目指す際に役立つ資格
ここまで需要の高いAWSエンジニアになるために必要な知識・スキルを紹介してきましたが、実際どのように習得したらいいのか疑問に思っている人も多いでしょう。
効率的に知識・技術を身につけるためにおすすめな方法が「資格を取得すること」です。
資格を取得しておくことで、一定レベル以上のスキルを有していることの証明になります。
また、試験に向けて学習する中で知識・技術を体系的に理解でき、AWSエンジニアの実務にも役立つことでしょう。
ここからは需要が高いAWSエンジニアを目指す際に役立つ、以下3つの資格について紹介していきます。
- AWS認定資格
- CCNA
- LinuC
AWS認定試験
AWS認定試験は、AWSに関する知識と技術を証明できる、Amazonが提供している公式資格です。
認定試験は、難易度別に以下の4つに分かれています。
- Foundational:クラウドの基礎的な理解を目的とした入門資格
- Associate:AWSクラウドのプロフェッショナルとしての信頼性を認められる資格
- Professional:AWS上で安全かつ最適化された最新のアプリケーションを設計し、プロセスを自動化するために必要な高度なスキルと知識を証明する資格
- Specialty:各分野の専門性に特化した資格
AWS認定試験はAmazonが提供する公式資格のため、国内外を問わず認知度が高く、信憑性のある資格です。
取得することで転職・キャリアアップ・給与アップにつながりやすく、 AWSに関する専門性を高めることに役立つでしょう。
AWS認定は複数種類あり、レベルに合ったものを受験できる点も魅力です。
参考:AWS「AWS認定」
CCNA
CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、ネットワーク機器メーカーとして世界的に有名な「シスコシステムズ社」が提供する公式資格です。
CCNAの学習を通じて、以下の内容について学べます。
- ネットワークの基礎知識
- ネットワークアクセス
- IP接続
- IPサービス
- セキュリティ基礎
- 自動化とプログラマビリティ
引用:CISCO「認定を取得してネットワーキングにおけるキャリアを始めましょう」
AWSエンジニアがCCNAを取得することで、クラウドの基盤となるネットワークへの理解が深まり、社内ネットワークとAWSの接続ができるようになります。
また、ネットワークトラブルが起きた時の対応力が身につくことも強みです。
クラウドサービスの知識と合わせて、ネットワークの専門知識があることで、より需要の高いAWSエンジニアになれるでしょう。
CCNAもAWS同様、国内外を問わず認知されており、多くの企業が資格保有者を求めているため、取得をおすすめできる資格です。
参考:CISCO「認定を取得してネットワーキングにおけるキャリアを始めましょう」
LinuC
LinuC(リナック)は、オープンソースのOSである「Linux」に関する総合的なスキルを証明できる技術者認定試験です。
試験は以下のレベルに分かれています。
- レベル1:仮想化技術を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理に関する技術を証明できる
- レベル2:仮想化技術を含む様々なサーバーの構築やトラブルシュートに関する技術を証明できる
- レベル3:「OS混在環境」「セキュリティ」「仮想化/高可用性」の専門家のスキルを証明できる
AWSでもLinuxサーバーを利用する機会が多いため、LinuCを取得しているAWSエンジニアは、スムーズなシステム構築、効率的な運用管理が行え、迅速なトラブル対応が可能です。
基本的には、レベル1から順番に取得することをおすすめします。
参考:LinuC「LinuCの特徴」
監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
AWS・CCNA・LinuC、3資格の関係性
これら3つの資格は、それぞれが異なる分野であり補完し合う関係となっています。
そのため、どれか1つを取得すればいいというものではありません。
とはいえ、どれから順番に挑戦しようか迷っている方もいるでしょう。
そんな方におすすめの順番は「LinuC→CCNA→AWS」です。
まずLinuC(レベル1)は3つの中で最も難易度の低い試験となっており、初心者にも挑戦しやすい資格と考えられます。
CCNAとAWS(Associate)の難易度は同程度です。
先にCCNAの学習を通じてインターネットやLANなどの仕組みを理解することで、AWSに登場するサーバーやクラウドの理解が深まることでしょう。
需要が高い「AWSエンジニア」についてよくある質問
最後に「AWSエンジニアに関するよくある質問」について回答します。
Q1.AWSエンジニアの平均年収はどれくらい?
AWSエンジニアの平均年収は600〜700万円程度です。
先述の通り、AWSエンジニアは以下の理由から需要が高まっており、その分給与も上がっていると考えられます。
- スキルの希少性(実務経験のあるエンジニアが不足している)
- 幅広い知識が求められる(インフラ全般・セキュリティ対策・コスト管理・プログラミングスキルなど)
- 責任の重さ(システム全体の運用、ダウンタイムが企業に大きな損失を与える、情報セキュリティ面の責任も引き受けている)
- 市場の成長性(クラウド市場・企業のDX推進は今後も拡大が予測される、新しい技術やサービスが継続的に登場している)
このように、複数の要因が重なり高給与につながっているのです。
AWSエンジニアの年収については、以下の記事で詳しく解説しているため、こちらも参考にしてください。
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Q2.未経験からAWSエンジニアになれる?
結論、未経験からでもAWSエンジニアになることは可能です。
ただし、AWSエンジニアは「インフラエンジニアの中でもAWSに特化したエンジニア」という位置づけのため、以下のようなステップを踏んで目指すことをおすすめします。
- STEP1:ITインフラの基礎を学ぶ(サーバー・ネットワーク・データベース・Linuxなど)
- STEP2:インフラエンジニアとして実務経験を積む(社内システムの運用管理・サーバーの構築と保守・ネットワークの設定・トラブルシューティングなど)
- STEP3:AWS認定資格の取得
- STEP4:AWS環境での実践(小規模なシステム構築から始め、徐々に担当範囲を広げたり、複雑なシステムに挑戦する)
このように段階的にスキルアップすることで、適切にAWSエンジニアへのキャリアを築けます。
まとめ
本記事で繰り返しお伝えしたように、AWSエンジニアは以下の理由で需要が高い職種です。
- クラウド市場の継続的な成長
- 企業のDX推進
- 専門性の高い人材の不足
- 技術の多様性化
同時に、市場価値の高いAWSエンジニアとなるには、AWSの専門知識を習得するだけでは不十分であり、ITインフラをはじめとした幅広い分野の知識・技術が求められます。
これだけ多くのスキルを同時に習得するには、資格取得を目指しながら、現場経験を積むことが最も近道といえるでしょう。
弊社ESESは、エンジニアを企業に派遣するSES(システムエンジニアリングサービス)企業です。
SES企業とは、システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の略称で、クライアント企業にエンジニアの技術力や専門スキルを提供しています。
中でも、弊社ではITエンジニアが働きやすいと思えるよう「案件選択制度」を取り入れています。
案件選択制度とは、多様な案件の中から希望のジャンルや自身のスキルレベルに合った案件に参加できる制度であり、無理のないキャリアアップが可能です。
もちろん、AWS関連の案件も多数用意しています。
さらに、充実したサポート体制も強みであり、技術研修・資格取得支援・キャリアカウンセリングなど、未経験の方でも目標に合わせたキャリアプランを実現できます。
私たちと一緒に、需要の高いAWSエンジニアを目指しませんか?

監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
クラウドの歴史
クラウドコンピューティングの概念は、1997年に南カリフォルニア大学のラムナト・チェラッパ教授によって提唱されました。
しかし、一般社会に浸透したのはそこから10年以上経ってからです。
転機を迎えたのは2006年、当時GoogleのCEOであったエリック・シュミット(Eric Emerson Schmidt)の発言でした。
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることが時代の大きな課題であり、その解決手段の一つとなるのがクラウドである」
この発言によってクラウドは広く認知され、注目されることとなりました。
Googleは2008年に「Google Cloud Platform」、Microsoftは2010年に「Microsoft Azure」を提供開始。
2010年頃から日本国内でもクラウドサービスの活用が盛んになり、今ではクラウドの利用が当たり前の時代となりました。
総務省のデータを見てもクラウドの市場規模は年々増加しており、ユーザーの継続的な利用傾向が強いことから、今後も成長が見込まれています。
参考:総務省「クラウドサービス 第2部 情報通信分野の現状と課題」