サーバーエンジニアはどんな職種?向いている人の特徴や求められるスキルも解説
目次
今や私たちの生活には欠かすことのできない様々なITシステム。
サーバーエンジニアは仕事や生活でITシステムを活用する上でなくてはならない「サーバー」に関する業務を担当するエンジニアです。
ここでは、サーバーエンジニアの概要をはじめ、必要なスキルや向いている人の特徴を解説します。
サーバーエンジニアとして転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
サーバーエンジニアとは?
サーバーとは、ユーザーが利用したい機能やサービスを保有し提供をするコンピューターのことです。
サーバーには様々な機能やサービスを提供するためのデータやソフトウェアが保存されています。
サーバーエンジニアはこのような、サーバーに関する業務を担当するエンジニアで、システムを陰ながら支える役割を担う仕事です。
仕事内容
サーバーエンジニアの仕事内容は、主に「サーバーの設計」「サーバーの構築」「サーバーの運用保守」に分けることができます。
「Webサーバー」「メールサーバー」「ファイルサーバー」など、サーバーの種類によってコストや設置場所、通信速度などの条件が異なります。
そのため、それぞれの特徴を考慮して構築する必要があるのです。
また、必要に応じて、プログラマーなど他のITエンジニアと連携しながら作業を行うこともあります。
さらに、サーバーエンジニアは実際にサーバーを使用し始めてからも監視やセキュリティチェックなど、トラブルにつながらないようにするための運用保守業務が欠かせません。
平均年収
求人情報・転職サイトdoda(デューダ)の「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」によると、サーバーエンジニアの平均年収は454万円です。
同調査によるIT職種全体の平均年収が452万円であるため、他のITエンジニアと比較してもそれほど高くも低くもなく、ごく平均的な年収であるといえるでしょう。
ただし、サーバーに関する知識に加え、データベースやサーバーサイド、フロントエンドなどのスキルを身に付ければサーバーエンジニアとしての市場価値は高まります。
サーバーエンジニアとして幅広い業務を担当できるようになれば、年収アップにつながる可能性は多いにあるでしょう。
キャリアパス
サーバーエンジニアのキャリアパスとしては、大きく次の3つが挙げられます。
- 専門分野を極めてスペシャリスト的なポジションになる
- スキルの幅を広げて、フルスタックエンジニア的な役割を担う
- 管理職の立場になる
スペシャリスト的なポジションになる場合は、要件定義や設計といったプロジェクトの上流工程を担うことになります。
プロジェクトを先導していく立場となるため、サーバーシステムについての高い専門知識やスキルが求められるでしょう。
次に、フルスタックエンジニアとは、開発現場からシステムの運用から保守まで、複数の開発工程に対応できるエンジニアのことです。
サーバーに関する知識やスキルだけではなく、プログラミングやWebデザイン、コーディングなども一貫して手がけられるため、幅広い分野の知識やスキルが求められます。
そして、エンジニアチームの管理職になるのもサーバーエンジニアのキャリアパスの一つです。
具体的には、チームのマネージャーとして、プロジェクトの計画や進行管理、リスク管理、リソースの調整、人材育成などの業務が挙げられます。
いずれにしても、サーバーエンジニアとして働くのであれば、今ある知識や技術をどのように生かしていきたいかを考えながらキャリアを決めていくことが大切です。
サーバーエンジニアに求められる知識・技術
サーバーエンジニアはITを活用していく上で、なくてはならない存在です。
サーバーエンジニアとして業務をこなしていくためには、主に次のような知識や技術が必要です。
サーバー
サーバーエンジニアとして活躍する以上、サーバーに関する知識は欠かすことができません。
一言で「サーバー」といっても、メールサーバーやデータベースサーバー、Webサーバーなど、様々な種類があります。
また、サーバーOSの知識や構築スキル、各種ミドルウェア、サーバーの仮想化やクラウドの知識も必要です。
パソコンをはじめとする各種の機器がサーバーへ与える負荷を考慮して設計を行うためにも、それぞれの特徴を捉えて業務にあたることが求められます。
ネットワーク
ネットワークに関する知識やスキルは、ネットワークの専門家である「ネットワークエンジニア」に任せることもできます。
しかし、ネットワークの知識が身についていない場合、最適なネットワークを選択したり、稼働後のトラブルへの対応ができません。
サーバーエンジニアであっても、ネットワークの知識はセキュリティ等を考える上では、持っておくと請け負える業務が広がり、スムーズに案件をこなせます。
OS
OSとは、パソコンやアプリの操作に必要なソフトウェアのことをいいます。
OSは私たち人間がコンピューターを扱えるよう、コンピューター全般の動作を管理するものです。
サーバーを稼働させるためにはOSの知識が必要です。
OSには主にWindows系とUnix系(BSD系、Linux系、SystemV系)といった種類があり、クライアントによって使っているOSは異なります。
そのため、どのOSにも対応できるよう、OSに関する幅広い知識を習得しておくことが求められます。
セキュリティ
個人情報や企業内の大切な情報など、サーバーには外部に漏れてはならない重要な情報が多く入っています。
サーバーをネットワークに接続することは、常にサイバー攻撃に遭う可能性があることを意味します。
そういった攻撃を防御し、安全に運用を行うためにはセキュリティに関する正しい知識と高度な対策スキルが必要です。
具体的には、ネットワークを接続する際にVPNを用いたり、定期的にログ監視が行えるログ取得機能の導入など、安全性を高めるべく対策が求められます。
クラウド
近年では、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自社で保有して運用するオンプレミスに代わりクラウドを使用する企業が増えています。
オンプレミスからクラウドサーバーに切り替える業務を依頼されることも多いです。
そのため、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサーバーの知識やスキルがあると便利です。
全ての企業がクラウドサーバーを導入しようとしているわけではありません。
しかし、従来のオンプレミスの知識とクラウドについての知識を両方兼ね備えておくと活躍の場が広がるでしょう。
サーバーエンジニアにおすすめの資格
ここまでご紹介してきたような、サーバーエンジニアに必要な基礎知識やスキルを身に付けることは大前提として、資格取得もおすすめです。
資格を取得するための勉強をすることはスキルアップになり、資格を取得することで客観的にスキルの高さを身に付けていることを証明できるため、信頼にもつながります。
そこでここからは、サーバーエンジニアにおすすめの資格をご紹介します。
MCP(マイクロソフト認定プログラム)
MCP(Microsoft Certification Program)は、Microsoft社の製品に関する知識やスキルが身についていることの認定資格です。
世界中で実施されているため、認知度や信頼性が高いです。
また、Microsoft社の製品は広く流通しているため、MCPを取得すると業務の幅を広げられます。
認定は細かく分かれていますが、サーバーエンジニアに役立つ試験としては「Azure Fundamentals」「Azure Administrator Associate」などが挙げられるでしょう。
試験内容は基本的に、Windows Serverのみに特化した内容ではなく「Azure」に関連する問題で構成されています。
MCPを取得することで、業務に活かせる知識を身に付けることができるでしょう。
LinuC
LinuC(Linux技術者認定)はLPI-Japanが実施するLinuxの技術者であることを認定する資格です。
Linuxは世界で普及しているOSの1つであり使用頻度も高いため、IT業界で働く際には必須となる知識を得ることができます。
試験はレベル1〜3までに分かれていますが、例えばレベル2を取得するためには先にレベル1を取得できないため、難易度が低い順から受験することをおすすめします。
シスコ技術者認定試験
シスコ技術者認定試験(CCNP)は、コンピューターネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ合同会社の認定を受けられる資格です。
シスコ製品は世界的に有名であり、CCNAは世界共通の基準にもなっているため、取得をすることでプロフェッショナルレベルの能力があることの証明につながります。
CCNPは1度取得したら終わりではなく、更新制度もあります。
そのため、都度更新のために勉強をすることで継続的なスキルアップにもつながるでしょう。
AWS
AWSはAmazonが提供しているクラウドサービスプラットフォーム「アマゾンウェブサービス」に関する専門知識を証明できる資格です。
AWSのクラウドサービスはシェア率が高く、多くの企業・個人が使用しているため、サーバーエンジニアが業務をする上では欠かせない知識を得ることができます。
AWSの認定資格は多岐にわたりますが、サーバーエンジニアの場合は「AWS Certified Cloud Practitioner」「AWS Certified Solutions Architect-Associate」がおすすめです。
また、AWSの認定資格にも有効期限が決められているため、繰り返して取得することで専門性を維持することができます。
サーバーエンジニアに向いている人の特徴
サーバーエンジニアになるために特別な資格は必要ありませんが、サーバーエンジニアには向き・不向きがあるといえます。
ここでは、サーバーエンジニアに向いている人の特徴をご紹介します。
機械を触るのが好き
例えば、Webエンジニアといったいわゆる「ソフト系」の仕事では、機器に直に触れられる機会がありませんが、サーバーエンジニアは様々なメーカーの機器を扱います。
1日中機械と向き合って仕事をするということも少なくないため、機械いじりが好きという人には向いているといえるでしょう。
普段から趣味でパソコンを触ることが好きな人や、メカニックなものが好きな人であれば強いやりがいを感じられるかもしれません。
継続して学習できる
サーバーやシステムに関する技術は日々進化しているため、変化の激しいIT分野でサーバーエンジニアとして活躍するためには継続して学習することが求められます。
機械を相手にする業務であっても、アップデートやトラブル対応など、様々な知識がなければ仕事をこなすことはできません。
サーバーエンジニアの仕事は、ITの最新情報をはじめ、日々新しいことを学び続ける意欲がある人には向いているといえます。
小さなことにも気付ける
小さな変化や違和感に気づける人もサーバーエンジニアに向いているといえます。
サーバーはITシステムを利用する上で基礎となる部分であり、サーバーにエラーが起これば大きなトラブルが発生しかねません。
大きなトラブルに発展する前に予防をするのもサーバーエンジニアの役目です。
ミスがないように慎重に作業を進められる、いわゆる完璧主義傾向にある人もサーバーエンジニアに向いているといえるでしょう。
臨機応変に動ける
システムのトラブルは予想もしていないところで起こることが少なくありません。
「早く復旧させなければならない」「ミスできない」などの緊張感ある状況でも冷静に対応でき、そこにやりがいを感じられる人はサーバーエンジニアに向いているでしょう。
また、サーバーエンジニアの仕事では、今までに対応したことのない依頼を受ける可能性もあります。
そのため、先入観にとらわれず、様々な角度から物事を見て分析・判断できる能力がある人にはぴったりの仕事といえます。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
サーバーエンジニアの大変な部分とは?
サーバーにトラブルが発生した場合、サーバーエンジニアは休日や夜間に関係なくトラブル解決のために出勤する必要があります。
イレギュラーな働き方が苦手な人や、仕事の時間とプライベートな時間をしっかりと区別したいと考えている人にとってはストレスを感じることがあるかもしれません。
また、サーバーエンジニアはトラブルが起きないよう日頃から保守や運用を行わなければならないため、プレッシャーの大きな仕事ともいわれています。
例えばサーバー監視のプロジェクト担当になった場合は、24時間365日システムがトラブルを起こさず稼働するように、運用管理などの保守業務を行う必要があります。
仕事だからと割り切れず、プレッシャーで心身に不調をきたす可能性が高いと考えられる人は、他のエンジニア職につくことを考えてみてもよいかもしれません。
サーバーエンジニアに関するよくある質問
ITエンジニアには様々な種類があるため、サーバーエンジニアについてよく分からない部分があるという方も少なくないでしょう。
そこで、ここからはサーバーエンジニアについてよく寄せられる質問と回答をご紹介します。
Q1.ネットワークエンジニアとの違いは?
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの違いは設計・構築・運用保守を行う対象にあります。
サーバーエンジニアはサーバーを、ネットワークエンジニアはネットワークを対象とします。
ただし、どちらもITの基礎となるインフラITの基礎となる部分は重要な位置づけにあるため、どちらのエンジニアであっても両方の基礎知識が必要です。
Q2.サーバーサイドエンジニアとの違いは?
サーバーサイドエンジニアはサーバーエンジニアと名前が似ていますが、仕事内容は異なります。
両者の違いはサーバーの構築に携わるかどうかという点です。
サーバーエンジニアはサーバーの設計や構築などを行いますが、サーバーサイドエンジニアはすでに構築されたサーバー内でシステムの開発をします。
Q3.エンジニア歴が長くなくてもサーバーエンジニアとして活躍できる?
経験が少なくてもサーバーエンジニアとして活躍することは可能です。
特に「運用保守」ではマニュアルをもとに業務を行うケースも多いため、エンジニア歴が長くない人でも担当できます。
エンジニア経験が少なくても、そのような業務から少しずつ経験を積んでいけば、やがて上流工程の仕事も担当できるエンジニアにキャリアアップできるでしょう。
まとめ
サーバーエンジニアは、名前の通りサーバーに関する業務に携わるエンジニアのことをいいます。
サーバーはITシステムを活用する上でなくてはならないものであり、サーバーエンジニアはITシステムを支えるという大きな役割を担っています。
サーバーエンジニアになることを検討するのであれば、まずは自分がサーバーエンジニアに向いているかどうかを考えてみましょう。
その上で「やっぱりサーバーエンジニアを目指したい」「自分はサーバーエンジニアに向いている」と感じたら、必要なスキルを身に付ける学習を進めていきましょう。
弊社ESESはSES企業です。
SESとは、ソフトウェアやシステム開発などの一連の業務に関する契約形態の一つで、SES企業がクライアント企業(常駐先)にエンジニアを派遣するという仕組みです。
一般的に、SES契約では業務の指揮命令や出退勤管理をSES企業が行い、一つのプロジェクトや契約が終了すれば、エンジニアは新たな常駐先に勤務をする形となります。
弊社ではサーバーエンジニアの案件も取り扱っています。
「自分のスキルレベルに合った案件を担当したい」「まずはスキルアップを目指したい」と考える人は、SESで経験を積む方法もおすすめです。
弊社ではエンジニア個人のスキルレベルや希望に沿ったサポートを行っているため、エンジニア経験が少ない人でも安心して働くことができます。
サーバーエンジニアとして活躍することを目指している方は、弊社も就職先の1つとして検討していただけると幸いです
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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サーバーエンジニアの将来性は?
現在、多くの企業ではオンプレミスからクラウドへの移行が行われています。
それに伴い、社内サーバーの構築が不要なAWSやGCP、Azureなどのクラウドサービスを利用する企業が増えています。
この動向を見て「サーバーエンジニアの将来性は大丈夫なのか?」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
しかし、クラウド型のサーバーにはカスタマイズ性が低いといったデメリットもあり、自社サーバーと併用するケースも珍しくありません。
クラウドへ移行するプロジェクトにサーバーエンジニアは欠かせないため、将来性がないとは言い難いでしょう。
また、オンプレミスの自社サーバーの構築や保守、運用といった業務が減ったとしても、クラウドサーバーを使って必要なインフラを構築するエンジニアは必要です。
そのため、サーバーエンジニアは今後も需要のある職業であるといえるでしょう。