ブリッジエンジニアとは?必要なスキルや向いている人の特徴も解説
目次
ITが世界中で普及していることや、企業のグローバル化が進んでいることから、日本国内の企業であっても海外企業と仕事をする機会が増えています。
また、リモートでのやり取りが一般的となり、日本国内でも距離の離れた企業同士でプロジェクトを立ち上げることが容易となりました。
このように、距離のある企業同士が、1つのプロジェクトを進行する際に必要となるのがブリッジエンジニアです。
ブリッジエンジニアは名前の通り、企業同士の「橋渡し」をする存在です。
本記事では、ブリッジエンジニアの仕事内容や将来性、向いている人の特徴などを解説します。
ブリッジエンジニアとして働くことを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
ブリッジエンジニアとは?
ブリッジエンジニアは「ブリッジSE」とも呼ばれ、2つの企業間の橋渡し役となる存在です。
ブリッジエンジニアが必要とされる場面は、主に「オフショア開発」と「ニアショア開発」の現場です。
オフショア開発では日本企業と海外企業の間に入り、ニアショア開発では日本国内の離れた地域にある2つの企業の間に入って連携を保ちます。
特にオフショア開発では、海外とのやり取りとなるため、技術と言語の両面からサポートが必要です。
ブリッジエンジニアは、言語や文化の違うメンバーや、直接会って話すのが難しい相手と、円滑にプロジェクトを進めるために重要な役割を担っています。
ブリッジエンジニアの仕事内容
ブリッジエンジニアは比較的新しい職種なため、仕事内容をよく知らないという人も多いでしょう。
主な業務は、以下の4つです。
- 設計書の作成
- プロジェクト全体の進捗管理
- 成果物の品質チェック
- 企業間のコミュニケーション
2つの企業間の橋渡しとなる重要なポジションのため、プロジェクト全体に携わる仕事も多くみられます。
業務ごとに詳しく解説しますので、ブリッジエンジニアになることを検討している人は、参考にしてください。
設計書の作成
開発を担当するエンジニアが仕様を正しく把握できるよう、翻訳したり、補足を入れたりして設計書を作成します。
開発現場で使われる専門用語も正確に翻訳する必要があるため、高い言語力とIT知識が求められます。
また、ミーティングなどで詳細説明を必要とする場面もあるでしょう。
設計書の解釈に差がある場合、プロジェクトの進捗が遅れたり、要望通りの成果物が出来上がらない可能性があります。
ブリッジエンジニアが担う設計書の作成は、円滑に開発を進められるかを左右する、重要な業務といえます。
プロジェクト全体の進捗管理
プロジェクトの進捗管理も、ブリッジエンジニアの業務の1つです。
チームメンバーと直接顔を合わせて業務を進めることが難しいため、同じ場所で仕事をしている場合以上に、こまめな現状把握を行うことが大切です。
手間のかかる部分ではありますが、開発に遅れが出たり、品質を落とさないためにも、進捗管理を徹底しましょう。
プロジェクト全体を把握し管理する必要があるため、マネジメントスキルの求められる業務といえます。
成果物の品質チェック
バグの有無や、設計書通りに作成されているかなど、成果物の品質をチェックします。
この時、システムのメッセージが外国語になっていないかなど、細かい部分までしっかりと確認することが必要です。
チェック時に問題があれば、エンジニアに対して不備の内容や原因のフィードバックを行い修正を依頼します。
フィードバックする際は、相手に分かりやすく、且つ適切な言葉で伝え、確実に品質を保てるようにしましょう。
企業間のコミュニケーション
積極的なコミュニケーションを心掛けることも、重要な業務です。
契約時や設計書の説明、報連相を十分に行うなど、トラブルが発生した時だけでなく、普段からこまめに状況を確認することが大切です。
海外企業とのやり取りの場合は、言語や文化、時差の違いなどに配慮しながら行います。
コミュニケーションを取ることは、信頼関係の構築に繋がるため、円滑に業務が進められたり、高品質な成果物が完成したりと数多くのメリットがあります。
ブリッジエンジニアの将来性
結論として、ブリッジエンジニアに将来性は「ある」といえます。
主な理由は、以下の4つです。
- 多くの企業でIT人材が不足している
- 企業のグローバル化が進んでいる
- オフショア開発やニアショア開発は、企業のコスト削減に繋がる
- 海外の高い技術を活用できる
IT業界の進化が進む一方で、IT人材は不足しており、ブリッジエンジニアという人材もまだまだ少ない状況です。
また、企業のグローバル化が進んだことや、開発コストの削減を課題とする企業が増えたことで、オフショア開発やニアショア開発を採用する企業は増加傾向にあります。
ITニーズの拡大に伴い、特にオフショア開発を行う企業が増えていくと予想できます。
このような背景から、ブリッジエンジニアの活躍の場は広がり、増々需要が高まっていくでしょう。
ブリッジエンジニアの平均年収
ブリッジエンジニアの平均年収は、500〜800万円程度です。
dodaの平均年収ランキングで発表されている「IT/通信」全体の平均年収は452万円のため、やや高めといえます。
業務範囲が広いことや、高レベルのスキルを求められることから、高い水準になっていると考えられます。
ただし、案件規模や必要なスキル、エンジニア本人の実績によっては、収入に大きな差が出るため注意が必要です。
目安として、オフショア開発におけるチームリーダー以上の経験があるエンジニアは、高収入を得やすい傾向であるといえます。
ブリッジエンジニアに必要なスキル
ブリッジエンジニアは、2つの企業の間に立つという業務の特性上、様々なスキルを要します。
- ITに関する知識・技術
- 語学力
- コミュニケーションスキル
- マネジメントスキル
- 多様な文化への理解
ブリッジエンジニアに興味がある方は、必要なスキルを理解し、習得を目指しましょう。
ITに関する知識・技術
ブリッジエンジニアは、言語面とスキル面の両方から、企業をサポートします。
案件によってインフラ系、アプリ開発など業務内容が異なるため、ITに関する幅広い知識や技術が不可欠です。
また、海外企業とやり取りする中で、現地のエンジニアに仕事の依頼や説明をする場面があります。
その際、IT技術に精通していなければ、専門性の高い内容を正確に伝えることが難しいです。
様々な分野のITスキルを習得することで、ブリッジエンジニアとして活躍できるでしょう。
語学力
海外企業とのプロジェクトを担当する場合、語学力は必須です。
相手国はインドや中国、アメリカなどになることが多く、英語でのコミュニケーションが基本となります。
異なる言語や文化を持つ相手に対し、納期や開発方法などの専門性の高い内容を、適切に説明する言語力が必要です。
日常会話はもちろん、ITの専門用語も学んでおきましょう。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
ブリッジエンジニアに求められる英語力はどのくらい?
ブリッジエンジニアは、中級〜上級レベルの英語力が求められます。
企業やプロジェクトによって使用する英語のレベルは異なるため、一概には言えませんが、TOEICスコアは700点以上であることが望ましいとされています。
場合によっては800点以上を必要とする案件もあるため、得点が高いほど業務の幅は広がるでしょう。
日常会話の英語力に加えて、ブリッジエンジニアの業務に必要な用語や表現を覚えることも重要です。
ITの専門用語は、IT業界の進化と共に新しくなるため、勉強を続けることでブリッジエンジニアとしてより価値の高い人材になれるでしょう。
コミュニケーションスキル
日常的な進捗報告や、問題が起きた時の対処などにおいて、日々コミュニケーションを取ることが大切です。
企業同士が離れており、直接会ったり会話をする機会が少ないからこそ、コミュニケーションを意識した働き方をする必要があります。
コミュニケーションスキルの高いブリッジエンジニアは、距離の離れているプロジェクトメンバーからも信頼されやすいです。
信頼関係の度合いが、開発の進捗や納品物のクオリティに直結する場合も多いため、コミュニケーションスキルは重要といえます。
マネジメントスキル
ブリッジエンジニアには、マネジメントスキルも必要です。
ブリッジエンジニアの業務の特性上、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーのような役割を担うことも多いです。
プロジェクトの状況を常に把握し、開発チームに適切な指示を出したり、納期などのスケジュール管理を行います。
マネジメントスキルを磨くことで、より価値の高いブリッジエンジニアになれるでしょう。
多様な文化への理解
日本の文化だけに捉われず、相手の文化に関心を持ち、理解を示すことが大切です。
日本と海外では「労働に対する考え方」や「文化」「ビジネスマナー」などの違いがあります。
多様な文化を理解することは、信頼関係の構築に繋がるほか、開発プロジェクトを円滑に進めるためにも重要なポイントといえます。
ブリッジエンジニアに向いている人の特徴
ブリッジエンジニアに向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 語学が好き
- 人とコミュニケーションを取るのが好き
- 海外の文化に関心がある
言語や文化、ビジネスマナーなど、日本企業とは異なるものに触れる機会が多いブリッジエンジニアは、人によって向き不向きがあります。
ITエンジニアとしての仕事が好きであっても、それ以外の部分で自分には合わないと感じることもあるため「本当に自分に向いている職種なのか」を考えることが大切です。
語学が好き
語学が好きな人は、ブリッジエンジニアに向いています。
ブリッジエンジニアは、日本国内外の人と密にコミュニケーションを取ることが必要です。
細かいニュアンスを伝えたり、専門用語などを使って会話をするため、高レベルな語学力を要します。
IT技術が進化すると新しい単語も増えるため、継続して勉強をする必要がありますが、語学に興味がある人は楽しんで学習できるでしょう。
人とコミュニケーションを取るのが好き
人とコミュニケーションを取るのが好きな人も、ブリッジエンジニアに向いているといえます。
ブリッジエンジニアが携わる案件は、直接会うことが難しい企業同士のプロジェクトも多いため、少しのすれ違いが大きな問題に繋がりかねません。
プロジェクトを成功に導くためには、双方とこまめに連絡を取り合うことが大切です。
些細なことにも気を遣い、積極的にコミュニケーションを取ることができる人は、ブリッジエンジニアとして活躍できるでしょう。
海外の文化に関心がある
海外の文化に興味関心がある人も、ブリッジエンジニアに向いています。
「ビジネスマナー」や「仕事に対する考え方」などは、国や企業によって様々です。
誰しも自分のことを理解しようとしない人と仕事をするのは、やりづらいと感じてしまいがちです。
そのため、お互いの違いを知り、理解することが重要なポイントといえます。
相手企業がどのようなことを大切にしているかや、相手国の一般的なビジネスマナーの知識を頭に入れた上で、コミュニケーションを取るよう心掛けましょう。
まとめ
ブリッジエンジニアは、企業同士の橋渡しとなるエンジニアです。
日本企業と海外企業、もしくは日本国内で離れた距離にある企業同士の間に入り、
言語と技術の両面からプロジェクトをサポートします。
国内外の様々な人と関わりながらプロジェクトを進めていくため、必要なスキルが多く、向いているかどうかは人によって異なります。
そのため、まずは「ブリッジエンジニアの働き方が自分に合うかどうか」を考えることが大切です。
弊社ESESはSES企業の1つで「様々な案件を担当しながらスキルアップしたい」という方をサポートしています。
キャリアアップ支援も行っているので「ブリッジエンジニアとして働きたいけど、経験が少ないから不安……」という方も安心して働けます。
ESESに興味を持ってくださった方は、転職先の候補としてご検討いただければ幸いです。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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オフショア開発とニアショア開発のメリット
IT化が進む現代において、オフショア開発とニアショア開発を採用する企業が増加傾向にあります。
オフショア開発とニアショア開発は、どちらも距離が離れている企業にシステムやソフトウェアの開発業務を委託する開発方法です。
オフショア開発では海外企業、ニアショア開発は日本国内の離れた地域にある企業に委託します。
これらの開発手法を使う最大のメリットは、コストの削減です。
オフショア開発では、低コストの国や地域で開発を行うことができるため、日本人エンジニアと比較すると、人件費が安くなる可能性が高いです。
ニアショア開発であっても、地方の企業に委託すれば都市部と比較して最低賃金が安いため、人件費を抑えることができます。
システム開発におけるコストの多くは、人件費が占めているため、オフショア開発とニアショア開発を採用することで、直接的なコストの削減に繋がりやすいといえます。
また、基本的なコミュニケーションがリモートになるため、打合せのために移動するなどの交通費が発生しないのです。
以上のように、コストを下げつつ高品質のシステムを開発するために、オフショア開発とニアショア開発を行う企業は、今後も増えていくと予想されています。