カスタマーエンジニアが「底辺」と言われる理由とは?やりがいと将来性も解説
目次
カスタマーエンジニアという職種は「底辺」と表現されることもあり、ネット上で「きつい」「割に合わない」といったネガティブな情報も多いです。
しかし、それは一部の側面を切り取った見方に過ぎません。
本記事では、なぜカスタマーエンジニアが「底辺」と言われるのか、理由を掘り下げながら、実際のやりがいや将来性、向いている人の特徴まで詳しく解説していきます。
「実際どうなの?」
「自分に向いてるのか知りたい」
このように感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
カスタマーエンジニアという仕事の本質を理解し、自分に合った働き方を見つけるヒントがきっと得られるはずです。
底辺と言われる「カスタマーエンジニア」の仕事内容
カスタマーエンジニアは、ソフトウェアやハードウェアの導入・設置・初期設定など、IT機器が正常に稼働するための基盤づくりを担います。
製品が納品された後は、定期的な点検や保守作業を通じてトラブルを未然に防ぎ、安定した運用を支えます。
万が一障害や不具合が発生した場合には、迅速に現場へ駆けつけて原因を調査し、復旧作業を行うのも重要な役割の1つです。
また、カスタマーエンジニアは顧客と直接やり取りする機会が多く、技術面だけでなくコミュニケーション能力も求められます。
状況説明や操作手順の説明など、相手のスキルレベルに応じた丁寧なサポートが必要です。
カスタマーエンジニアが「底辺」と言われる3大理由
カスタマーエンジニアという職種に対して「きつそう」「大変そう」「底辺職では?」といったネガティブな印象を抱く人も少なくありません。
仕事に対する感じ方は人それぞれですが、特に以下の3つの理由から厳しい職種と思われがちです。
- 残業が多い
- 急なトラブルによる休日・深夜の出勤が発生する
- クレーム対応に追われる
これらの要因を具体的に解説していきます。
1.残業が多い
カスタマーエンジニアは、顧客対応や現場での機器操作、トラブル対応に加え、帰社後の報告書作成など多岐にわたる業務をこなす必要があります。
そのため、1日の業務量が自然と多くなり、拘束時間が長くなるケースも少なくありません。
遠方の現場に移動したり、トラブル対応が長引くこともあるため、時間内にすべての作業を終えるのが難しい状況もあります。
その場合は、帰社後に事務作業をしなければならず、結果的に残業が発生することも多いです。
このような働き方が、カスタマーエンジニアに対して「激務」「大変そう」といったネガティブな印象を与え「底辺」と言われてしまう一因になっています。
2.急なトラブルによる休日・深夜の出勤が発生する
カスタマーエンジニアが担当する機器やシステムの障害は、時間を問わず発生します。
特に重要なインフラや業務システムを支える現場では、トラブルが起こればすぐに対応が求められるため、早朝・深夜・休日でも出勤しなければいけません。
保守契約の内容によっては「24時間365日対応」が義務付けられているケースもあり、当番制やローテーションでの待機が必要になることもあります。
こうした対応は突発的であることが多く、せっかくの休日でも、予定をキャンセルしなければならない時もあるでしょう。
このような働き方が続くと、心身のストレスが溜まりやすく、ライフワークバランスが崩れてしまう要因になります。
3.クレーム対応に追われる
カスタマーエンジニアは、トラブルが発生した際に顧客と最初に接する一次窓口となるポジションです。
機器の故障やシステム障害時には、直接クレームや要望を受ける立場になります。
たとえ自分に原因がない場合でも、顧客の不満や怒りの矛先が自分に向くことが多く、精神的な負担を感じる場面も少なくありません。
限られた時間の中で状況のヒアリングや的確な原因追及、分かりやすい説明などが必要になり、技術力だけでなく対人対応スキルも問われます。
また「早く復旧してほしい」「このままだと業務が止まって困る」など、切迫した状況に置かれた顧客からの要望に、即時に対応することが必要です。
底辺と言われるカスタマーエンジニアのやりがい
カスタマーエンジニアの仕事は、体力的・精神的にハードな面もありますが、それと同時にやりがいを強く感じられる職種でもあります。
ここでは、カスタマーエンジニアという仕事ならではのやりがいや魅力について、3つの視点から紹介します。
- 専門スキルを習得できる
- 直接感謝の言葉をもらえる
- 自分のスキルアップを感じやすい
専門スキルを習得できる
カスタマーエンジニアとして働くことで、サーバーやネットワーク、ストレージなど、ハードウェアやソフトウェアに関する知識が体系的に身に付きます。
現場で機器に触れながら学べるため、机上の知識では得られない「生きた技術」が身につくのも大きな魅力です。
扱う機種やメーカーによって仕様や対応方法が異なるケースも多く、最適な対処法を考える力や、柔軟な対応力も自然と養われ、エンジニアとしての総合力が高まります。
さらに、業務の中では新製品や最新のIT技術に触れる機会も豊富にあります。
技術革新のスピードが速いIT業界で、こうした最新動向に常に触れていられることは、将来のキャリア形成にも役立つでしょう。
継続的に学び、技術の幅を広げることで、市場価値の高いエンジニアへと成長することが可能です。
直接感謝の言葉をもらえる
自分の対応によって顧客の問題が解決し、直接「ありがとう」と感謝の言葉をもらえる瞬間は、カスタマーエンジニアならではの大きなやりがいです。
特に、システム障害や機器トラブルといった緊急性の高い場面で迅速に対応できたときには、顧客からの信頼や感謝の気持ちがストレートに伝わってきます。
そのような反応を受けたときには、自分の技術や判断力が誰かの役に立ったという実感が得られ、大きな達成感や充実感を味わえます。
このような「人の役に立っている」という実感を日々得られる点は、他のエンジニアでは感じづらく、カスタマーエンジニアならではの魅力です。
技術だけでなく人との関わりを大切にしたいと考える人にとっては、やりがいを感じやすい職種といえます。
自分のスキルアップを感じやすい
カスタマーエンジニアの仕事では、様々なトラブルや作業をこなす中で「自身の成長を実感しやすい」です。
たとえば、かつて時間のかかった作業やトラブル対応も、短時間で解決できるようになるなど、自分のスキルが確実に伸びていると実感できる場面が増えていきます。
他にも、新たな機器やシステムに対応できるようになったり、任される業務の幅が広がったりすることで、技術力だけでなく自信もつきます。
知識や技術を身に付ければ、すぐに実践で活かせる点も魅力の1つです。
努力が成果として反映されやすく、成長の手応えを日々感じられる環境であることは、カスタマーエンジニアのやりがいといえるでしょう。
カスタマーエンジニアは底辺ではない!市場動向と将来性

近年、IT機器の普及や企業によるDXの推進が加速しているのに伴い、機器の導入支援・運用・保守といった現場対応のニーズは高まり続けています。
ネットワーク機器や業務システム、クラウドインフラなどが日常的に利用される現在では、カスタマーエンジニアの役割はますます重要視されています。
また、IoT分野の拡大により、多様なデバイスの導入が進んでおり、それらを円滑に運用するための専門的なサポートや保守対応が不可欠です。
単なる修理対応にとどまらず、システム全体を俯瞰して判断し、最適な提案や改修を行う能力が求められる場面も増えています。
さらに今後も医療・教育・製造・物流など、多くの業界でITの活用はさらに拡大していくと考えられます。
カスタマーエンジニアの業務は高度化しており、専門職としての需要は継続的にあるといえるのです。
今後も社会のインフラを支える存在として、活躍していくでしょう。
底辺と言われるカスタマーエンジニアに向いている人の特徴
カスタマーエンジニアという仕事には、大変さや過酷な側面があるのも事実であり「底辺」と表現されることもあります。
一方で、やりがいや成長のチャンスに満ちた職種でもあります。
向いている人にとっては、自身のスキルを磨き、頼られる存在として活躍できる魅力ある仕事です。
ここでは、カスタマーエンジニアとして活躍しやすい人の特徴を紹介します。
自分に適性があるかを見極める材料として、参考にしてください。
電子機器の知識を持っている
カスタマーエンジニアは、コンピュータやサーバー、ネットワーク機器など、様々な電子機器を取り扱う仕事です。
そのため、各機器の基本的な構造や動作原理を理解していることが、現場でのスムーズな対応に直結します。
IT業界は新しい製品やソリューションが次々に登場するため、日頃から新技術に興味を持ち、継続的に知識をアップデートする姿勢が求められます。
また、実務経験だけでなく、資格取得や社内外の研修を通じて体系的に学ぼうとする意識も必要です。
そうした学習意欲があれば、より高度な機器にも対応できるようになり、信頼されるエンジニアとしてキャリアを築けるでしょう。
説明力がある
カスタマーエンジニアは、機器の操作方法や障害発生時の対応の際、顧客に分かりやすく説明する役割を担います。
現場ではITや機器に詳しくない人と接する機会もあるため、専門用語をそのまま使うのではなく、相手に合わせて言葉を選ぶ力が必要になります。
たとえば「ファームウェアの更新により機能が改善されます」と伝える場合「更新で動作が安定し、不具合が起こりにくくなります」と噛み砕いて説明するような配慮です。
また、トラブル再発防止のための注意点を明確に伝えたり、使用時のポイントを丁寧に説明することで、顧客からの信頼を得やすくなります。
相手目線で丁寧に説明し、適切なコミュニケーションを取れる人は、カスタマーエンジニアとして顧客との良好な関係を築き、長く信頼される存在になれるでしょう。
臨機応変な対応が得意
カスタマーエンジニアの現場では、予期せぬトラブルや急なスケジュール変更が日常的に発生します。
対応中の機器で想定外の不具合が発生したり、訪問予定の時間が変更になったりと、物事が計画通りに進まないことが多いからです。
そうした場面では、冷静に状況を見極め、限られた時間やリソースの中で最適な解決策を導き出す判断力と柔軟性が求められます。
現場では1人で完結する作業だけでなく、チームメンバーとの連携や、顧客・協力会社との調整も発生します。
関係者との円滑なコミュニケーションを図りつつ、トラブルや変更にスムーズに対応できる人は、カスタマーエンジニアの適性が高いといえるでしょう。
監修者コメント

白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
カスタマーエンジニアに転職したらスキルを活かしやすい職種
カスタマーエンジニアには、電子機器への関心や論理的思考、対人スキル、臨機応変さが求められます。
そのため、次のような職種を経験した人は特に向いています。
①電気工事士や設備メンテナンス職
機器の構造理解や電気に関する基本知識があり、現場での対応力が身についている点は大きな強みです。
配線・設置・点検の経験は、IT機器の保守や導入現場でも即戦力になります。
②接客・カスタマーサポート職
顧客対応経験が豊富な人は、専門用語を噛み砕いて伝える力や、相手のニーズを汲み取るスキルが役に立ちます。
③家電量販店などの販売スタッフ
特にIT系や通信機器を担当していた人は、ハードウェアやネットワーク機器の基本的な知識に加え、新製品の説明や操作説明の経験が活きるでしょう。
これらの職種に共通するのは「技術」と「コミュニケーション」の両方に関わっていることです。
カスタマーエンジニアとしての適性を十分に備えているといえるでしょう。
カスタマーエンジニアについてよくある質問
カスタマーエンジニアに興味はあっても、仕事に対して以下のような疑問を持つ方もいるでしょう。
- 資格取得は必須?
- 年収はどれくらい?
- 未経験でもなれる?
ここでは、カスタマーエンジニアに関するよくある質問に対して、具体的に回答しています。
将来この職種を目指したい方や、キャリアに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
Q1.資格取得は必須?
カスタマーエンジニアになるために資格は必須ではありませんが、保有していると業務で有利に働く場面が多くあります。
資格を持っていることで、その知識を客観的に証明できるため、採用時や顧客対応時の信頼性向上につながります。
また、対応できる業務の範囲が広がることで、より専門的な案件を任されるチャンスも増えるでしょう。
代表的な資格には、以下のようなものがあります。
- 第二種電気工事士: 機器設置時の電気工事に関する基礎知識を証明
- 工事担任者: 通信機器やネットワーク配線の工事・設定に関する資格
- 基本情報技術者: ソフトウェアやネットワークなど、IT全般の基礎知識を証明
これらの資格は、実務で役立つ知識を体系的に学ぶ機会にもなります。
未経験からでも資格取得を目指すことで、就職やキャリアアップにおいて有利になるでしょう。
Q2.年収はどれくらい?
求人ボックスによれば、カスタマーエンジニアの平均年収は577万円とされており、日本の全職種の平均よりやや高い水準です。
この職種では、基本給に加えて夜間・休日対応手当や資格手当、出張手当などが支給されることが多く、加算要素が豊富な点が特徴です。
特に24時間対応やシフト勤務がある企業では、手当の占める割合が大きくなる傾向があります。
また、大手メーカーや一次請け企業に所属している場合は、福利厚生や賞与を含めたトータルの待遇が手厚いため、年収水準も高くなる傾向にあります。
さらに、現場経験を積んでいくことで、リーダーやマネージャー職へとキャリアアップできるでしょう。
こうした昇格に伴い、年収600万円~700万円以上を目指すことも十分可能です。
Q3.未経験でもなれる?
カスタマーエンジニアは未経験からでも目指すことが可能です。
多くの企業では、未経験者を対象にした研修制度やOJT(現場指導)を用意しており、基礎から段階的にスキルを習得できる環境が整えられています。
事前にできる事としては、ハードウェアやソフトウェアの基本構造、ネットワークの仕組みなど、ITの基礎知識を学んでおくことです。
資格の有無よりも「学ぶ姿勢」や「現場での対応力」を重視する企業も多いため、未経験からでも活躍のチャンスは十分にあります。
また、営業や接客業などの経験がある人は、対人スキルを活かせるという点でカスタマーエンジニアに向いているといえます。
顧客とのコミュニケーションが業務の中心となるため、相手の立場に立って分かりやすく説明したり、丁寧に対応する姿勢が評価されやすいです。
まとめ
カスタマーエンジニアは「残業が多い」「クレーム対応が多い」「休日出勤がある」などのイメージから「底辺」と言われることもあります。
しかし、専門的なITスキルを身につけられ、顧客から直接感謝の言葉をもらえるなど、やりがいを強く実感できる職種です。
IT機器の普及や企業のDX推進により、カスタマーエンジニアの需要は今後も高まっていくことが予想されます。
とはいえ「底辺」と感じるかどうかは、所属する企業や案件内容、労働条件によって大きく左右されます。
そのため、自分に合った働き方やキャリアパスを明確にし、それを実現できる職場を選ぶことが重要です。
弊社ESESはSES企業として、多様な現場案件をご紹介しています。
SESとは、エンジニアがお客様企業に常駐し、技術支援を行う契約形態のことです。
ESESでは以下のような制度を導入し、柔軟で納得感のある働き方を提供しています。
- 案件選択制度:希望やスキルに合った案件を選べるから、ミスマッチを防げる
- 単価評価制度:スキルと報酬が結びつき、正当性のある収入が得られる
- 高単価制度:還元率77%と高水準で、納得感ややりがいを感じられる
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監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
残業や休日出勤が多いのはカスタマーエンジニアだけ?
カスタマーエンジニアは業務の性質上、どうしても「突発的な対応」が多くなり、休日や夜間の呼び出しが発生しやすい職種です。
こうした勤務形態から「大変そう」「底辺」といった印象を持たれがちですが、これはカスタマーエンジニアに限った話ではありません。
他に、インフラエンジニアやサーバーエンジニアなども、システム障害時の夜間緊急対応が必要で、24時間体制での運用が前提となっていることも多いです。
むしろカスタマーエンジニアは、当番制でのオンコール対応やシフト勤務が明確に定められている企業も多く、勤務時間の透明性が高いという面もあります。
イメージだけで判断せず、労働環境の整備状況や、どの業務にどれだけのリソースを割いているかなども見ながら、冷静に比較しましょう。
大切なのは「その働き方が自分に合っているかどうか」「無理なく働ける環境が整っているかどうか」を見極める目を持つことです。