SE(システムエンジニア)の種類10選について解説!キャリアや求められる知識・スキルも紹介
SEとは「システムエンジニア」の略語で、システム開発において様々な役割をもつ技術者の総称です。
一口にSEといってもその種類によって役割は異なり、キャリアアップも多様な選択肢の中から選択できます。
本記事では10種類のSEの役割を解説すると共に、目指せるキャリアや求められる知識・スキルも紹介します。
どのような仕事があるのかを把握し、ぜひ自分の希望する道について考える材料にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
SEの種類10選とそれぞれの役割
SE(システムエンジニア)は、主にシステムの設計、開発、運用保守を担当する技術者の総称ですが、立場によって、担っている役割は異なります。
以下ではSEの中でも代表的なエンジニアについて解説します。
1.アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアは、その名の通り、アプリケーションの開発に携わるエンジニアで、大きく「スマホアプリ」「Webアプリ」「業務アプリ」の3つに分かれます。
顧客のニーズや要件を聞き、それに基づいて仕様を決定し、プログラミングやテスト、リリース後の運用保守、アップデートなども行います。
ユーザーの使いやすさを重視した設計力や、複数のプログラミング言語に精通した技術力が求められるため、業界や用途に応じた柔軟な対応が必要です。
2.組み込みエンジニア
組み込みエンジニアは、家電製品や自動車、医療機器、工業機器などに組み込むソフトウェアを設計・開発するエンジニアです。
これらの組込みシステムは、それぞれの機器を安定して稼働させるために使用するハードウェアの特性を理解した上で、効率的なプログラムを設計していく必要があります。
具体的にはCやC++といったプログラミング言語やハードウェアに関する知識などが求められ、近年はAIやIoT分野での需要も伸びてきています。
3.Webエンジニア
Webエンジニアは、インターネットを通じて利用されるWebサイトやWebアプリケーションの開発や運用に携わるエンジニアです。
ユーザーが利用する「フロントエンド」と、データの処理や管理を行う「バックエンド」に大別され、両方の役割を担うエンジニアは「フルスタックエンジニア」と呼ばれます。
ユーザーのニーズに応えた柔軟なシステム設計や、最新の技術を取り入れる能力が求められ、Web技術のトレンドに敏感であることが重要です。
4.データベースエンジニア
データベースエンジニアとは、主に企業や組織が保有する大量のデータを効率的に管理・運用するためのデータベースに関する業務を行います。
データベースのセキュリティを確保しつつ、データのバックアップやトラブル時の復旧対策を講じ、システムの安定した稼働をサポートすることが役割です。
求められるスキルとしては、SQLなどのデータベース言語のスキル、データベース管理システム(DBMS)の知識、トラブルシューティング能力などが挙げられます。
5.サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、企業や組織のシステムが動作するために必要なサーバーの設計や構築、運用保守を担当するエンジニアです。
サーバーが安定して稼働し続けるために、定期メンテナンスや障害対応、トラブルシューティングなどを行います。
また、企業の成長や業務の変化に応じて、サーバーのスケールアップや新しいサーバーの導入、クラウドサーバーへの移行などの対応も必要になることがあります。
今後は、特にクラウドやセキュリティに関する知識や技術に精通している人材が重宝されるでしょう。
6.ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、情報システムを支える保守ネットワークに関する業務を担当するエンジニアです。
ルーターやスイッチなどの設定、セキュリティ対策、リスクを最小限に抑えること、トラブル発生時の迅速な対応なども重要な役割です。
近年はクラウドが急成長しており、さらにIoTデバイスも増加しているため、高速かつ安定したネットワーク環境が求められています。
したがって、最新の技術を活用して高性能括安全な通信環境を提供するスキルが必要です。
7.クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、クラウド上でサービスが提供できるよう、クラウド環境の設計・構築・運用保守などを専門とするエンジニアです。
企業や組織が必要とするシステムやアプリケーションをクラウド上で実行させるため、ITインフラの仮想化やクラウド上のリソースの最適化などを行います。
そのため、クラウド関連の技術に精通し、最新のサービスへの対応力が欠かせません。
クラウドサービスの中でも最も有名なのはAmazonが提供する「AWS」で、シェアは全体の30%を占めているため、AWSの知識は必須といえるでしょう。
8.セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、その名の通り企業や組織のシステムやネットワークをセキュリティのトラブルから守るために対応するエンジニアです。
具体的なトラブルの例としては、個人情報や企業内の機密情報の漏えい、コンピュータウィルスへの感染、サイバー攻撃などが挙げられます。
トラブルが起きたときに対応するだけではなく、事前にリスクを予測し、対策を立てておくことも大切です。
セキュリティエンジニアを目指すのであれば、常に最新のセキュリティ技術や攻撃手法に対する知識を持っておくことが求められます。
9.社内SE
社内SEは、自社内で使用されるシステムやネットワークなどのIT環境に関する業務全般を担うエンジニアです。
社内のIT環境を最適化し、従業員が快適に業務を進められるように対応するため、時にはヘルプデスクのような業務を行うことも珍しくありません。
社内SEは今後急激に需要が高まることは予想されませんが、一定の需要はあるエンジニアといえます。
IT全般に関する技術的なスキルに加え、社員とコミュニケーションを取る能力や迅速に問題解決できる対応力が必要です。
10.ブリッジSE
ブリッジSEは、主に海外の開発チームと国内のクライアントや開発チームの間で、プロジェクトの橋渡し役を担うエンジニアのことをいいます。
技術的な要件とビジネス要件の翻訳や調整をメインに行い、進捗や品質管理を担当します。
技術力はもちろん、言語力やコミュニケーション能力、異文化理解、マネジメントスキルなどが求められる仕事です。
SEが目指せるキャリアの種類
SEには様々な種類がありますが、さらにSEには多岐に渡るキャリアの選択肢があります。
SEを目指すのであれば、将来的にどのようなキャリアを積みたいのかを前もって視野に入れておくことも大切です。
ここからはSEが目指せるキャリアの種類をご紹介します。
ITスペシャリスト
ITスペシャリストは、特定の技術分野における高度な専門知識とスキルを持つ人です。
特定分野で問題解決などをメインに行って実績と経験を積み、企業のIT戦略を支える役割があります。
最新技術の動向に常にアンテナを張り、高度な技術的スキルを保持することが求められます。
技術者としてのキャリアを極めたい人にとってはおすすめのキャリアです。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、技術力を持ちながらも、クライアントの要望に応じた営業活動、つまりは自社のサービスを提案するエンジニアです。
顧客の技術的な要望や課題を見極め、適切なソリューションを提案し、導入に関するサポートを行います。
技術と営業の両方のスキルを活かすことができるため、技術者としての知識をビジネスに応用したいと考えている人におすすめです。
プロジェクトリーダー(PL)
プロジェクトリーダー、通称「PL」は、システム開発やITプロジェクトにおいて、チームを率いてプロジェクト全体を管理・推進する役割を持ちます。
プロジェクトが滞りなく進むように指揮を執りつつ、クライアントや上層部とのコミュニケーションを取ることも欠かせません。
技術や知識はもちろんのこと、リーダーシップやコミュニケーション力、問題解決力なども求められます。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー、通称「PM」は、ITプロジェクト全体の責任を持つ立場で、計画から実行、完了まで全ての段階を管理します。
プロジェクトの進め方の決定、リソースの最適な配分、リスク管理など、全体を俯瞰して適切に対応をとることが求められます。
管理職であることから、高いコミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決力、マルチタスクなどのスキルが必要です。
責任やプレッシャーの大きな仕事ですが、その分大きな達成感を得られることでしょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアント企業のビジネス課題をITの視点から解決するための提案や戦略を提供する専門家です。
クライアントの業務プロセスを分析し、最適なシステムやITソリューションの導入を支援するため、ITに関する豊富な知識が求められます。
また、幅広い技術知識に加えて、ビジネスの理解力、問題解決力、コミュニケーションスキルも求められます。
SEからのキャリアアップだけではなく、プロジェクトマネージャー(PM)からのキャリアアップ先としても人気のある職種です。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、膨大なビッグデータを分析し、それらを活用してビジネスに最適なサポートをする専門家です。
主に、SCサイトやSNSなど、近年利用者が増加しているIoTデバイスやデータベースなどにあるデータを使用します。
プログラミングスキルやデータベースの知識、統計学やAIに関する知識など、多岐に渡る知識・スキルが必要です。
また、分析結果を実務に応用するためのビジネスに関する理解力とコミュニケーション力も大切です。
ITアーキテクト
ITアーキテクトは、企業のシステム全体の設計を統括し、効率的で拡張性のあるIT基盤を構築する専門職です。
企業のビジネス目標やニーズに応えたシステム全体構造を設計し、技術的な仕様を決定することが主な役割です。
プロジェクトの進捗を技術面からサポートし、システムの安定した動作を保証する幅広い技術知識やシステム全体を見る力が求められます。
さらに、ビジネス戦略に沿った最適なIT構造を提案する能力など、高い専門性が必要です。
SEに求められる知識・スキルの種類
SEに求められる知識やスキルの種類は役割によって異なります。
しかし、キャリアアップを見据えるのであれば、SEとして働きながら自己研鑽も行い、必要な知識や技術などを幅広く身に付けておくことがおすすめです。
システム開発スキル
システム開発スキルはSEとして最も基礎的なスキルです。
要件定義から運用保守まで、システム開発全体を通して必要となるスキルを身に付けておくことが大切です。
具体的には、複数のプログラミング言語やITインフラに関する知識、想定されるトラブルへの対処方法などが挙げられます。
JavaやPHP、Pythonといった言語は特に需要も高いため、これらの言語は必ず押さえておきたいところです。
論理的思考力
論理的能力は、複雑な問題を整理し、道筋を立てて情報を整理しながら、効率的に問題を解決するために必要です。
SEの業務ではシステム開発の過程で要件の分析や設計、エラーの原因特定など、多くの場面で論理的思考が役立ちます。
また、論理的思考力はクライアントやチームメンバーに対して分かりやすく説明する際にも欠かせないスキルです。
コミュニケーション力
コミュニケーション力はプロジェクトの成功に直結する要素の1つです。
SEの業務では、クライアントやチームメンバー、他部門の担当者など、多くの人と連携しながらプロジェクトを進めていく必要があります。
相手と自然な形でコミュニケーションをとりながら、相手の伝えたいことを理解してやりとりをする力は、業務をスムーズに進められる重要な能力です。
すぐに習得できるものではありませんが、時間をかけてでも信頼関係を構築し、トラブル発生時にも迅速に解決するためにも身に付けておきたいところです。
ヒアリング力
SEはクライアントや関係者からの要望を聞き、具体的な仕様として落とし込む役割を担っています。
そのため、ヒアリング力はクライアントのニーズや要望を正しく聞き取って判断し、システムに反映させるために必要不可欠な能力です。
反対に、ヒアリングがうまくいかないと、クライアントの要望と違う仕様になってしまったり、トラブルを引き起こす原因になってしまいます。
マネジメントスキル
マネジメントスキルも、プロジェクトを進める際には重要なスキルです。
何より、プロジェクトでは納期を守る必要があるため、小さなプロジェクトであっても、納期を守れるようマネジメントしていかなければいけません。
システム開発においては複数の工程があり、各フェーズでチームメンバーやクライアント、外部パートナーとの調整が求められます。
その中で、適切なマネジメントは質の高い成果物を納品するためにも役立つのです。
コンサルティングスキル
コンサルティングスキルはクライアントの課題を解決するために必要となるスキルです。
SEは技術的な知識をもとに、クライアントの業務プロセスを分析し、最適なソリューションを提案することも役割の1つです。
課題を見つけて解決策を提案し、クライアントに納得してもらうといったコンサルティングの能力は欠かせません。
種類を決める前に確認するべきSEに向いている人の特徴
SEには様々な種類がありますが、共通して求められる能力もあり、向いている人と向いていない人が存在することも事実です。
以下の特徴に複数当てはまる人は、SEとして活躍できる可能性が高いため、SEへの就職・転職を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
学習意欲が高い
IT業界は技術の進化が速く、新しい言語やツールなどが次々と生まれます。
そのため、SEとして活躍するためには常に最新の情報に触れ、自己学習を継続する姿勢が求められます。
幅広く知識を身に付けておくことで、クライアントの様々な要望に応えることができるでしょう。
新しいことが好きで、絶えず勉強することが苦痛ではなく、むしろ楽しいと感じる人はSEに向いています。
細かい作業を丁寧にできる
SEの業務では、細かいミスでも大きな問題に繋がりかねないため、システム開発においては細部まで正確さが求められます。
仕様書や設計書の細部まで正しく反映させ、細かい作業も丁寧に行うことで、システムの質を信頼性のあるものにできるのです。
また、現場では仕様変更やサーバーダウンといった予想外のトラブルも起こります。
そのような場合にも、落ち着いて目の前の作業を丁寧にできる人はSEに向いているといえます。
臨機応変に対応できる
システム開発の現場では、予定通りに作業が進まないことや急な仕様変更など、思わぬ問題が発生することが多々あります。
そのような時に、複数のタスクを同時に処理しながら、優先順位を適切に判断して対応する力が求められます。
柔軟な発想をもち、急な事態にも冷静に対応できる人はSEに向いているでしょう。
人間関係の構築が得意
SEは、技術力だけでなく、チームメンバーやクライアント、他部門のスタッフと協力しながらプロジェクトを進めることが求められます。
そのため、コミュニケーション能力が高く、人間関係の構築が得意な人はSEに向いているといえます。
お互いが信頼感を持って業務にあたることで、適切に情報共有を行ったり問題発生時にも迅速に解決することができるのです。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
こんな人はSEに向いていないかも……?
SEに向いているタイプの人もいれば、当然向いていないタイプの人もいます。
代表的なタイプとしては次のような人です。
・ITにそれほど興味がない
・ルーティンワークが苦手
・細かいことが苦手
IT業界は慢性的な人手不足のため就職しやすい面がある一方、ITにそれほど興味がない人にとっては、新しいことを学習し続けなければならないことが苦痛に感じるでしょう。
また、プログラミングやテストにおいてはルーティンワークも多く存在します。
地道な作業が苦手な人は、SEには向いていないかもしれません。
さらに、システム設計やプログラミング業務では、正確さが求められます。
大雑把な性格で細かいことが苦手な人にとっては、これらの作業が苦痛に感じる可能性があります。
まとめ
一口に「SE」といっても様々な種類があり、それぞれ役割も異なります。
また、キャリアアップにも多様な選択肢があるため、SEを目指す前に、まず自分がどのような道に進みたいかを考えていくことが大切です。
中には「種類が多くて決められない」「まだ得意分野が定まっていない」という人もいるでしょう。
そのような人は、SES企業への就職も選択肢に入れてみることをおすすめします。
SESであれば、幅広い分野の案件を担当しながら、自分が本当に進みたいキャリアを見極めることが可能です。
弊社ESESもSES企業の1つ。
弊社ESESでは「案件選択制度」があるため、興味のある分野や伸ばしたいスキルなど、エンジニア自身の希望をもとに案件を決めることができます。
また、キャリアに関するサポートも行っているため「自分だけではキャリアが決めきれない」という人にもぴったりです。
自分に合う仕事に悩んでいる方は、弊社で働きながら、自分が望む働き方を目指しませんか?
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
未経験からSEを目指す場合におすすめの資格
未経験からSEを目指す場合は、IT関係の資格を取得することで客観的なスキルの証明になり、また、モチベーションがあることを示すこともできます。
特に未経験者におすすめの資格としては、以下の3つが挙げられます。
・ITパスポート試験
・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験
ITパスポート試験は、ITシステムを利用する中で必要となる基本的な知識があることの証明になり、エンジニアだけではなく事務職のような職業の人にもおすすめです。
基本情報技術者試験は、ソフトウェア開発やITを活用したサービスなどを扱うエンジニア向けの試験ですが、難易度は初級レベルです。
最低限の情報技術に関する知識があれば合格は難しくないでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験は、その名の通り情報セキュリティに関する知識が問われるもので、SEを目指すのであればぜひ取得しておきたい試験です。
難易度は、ITパスポート試験に合格した人が、次のステップとして目指すレベルといえます。