「フルサイクルエンジニア」とは?メリットやデメリットも解説
目次
1人のエンジニアが1つの案件を一貫して担当し、クライアントのサポートも行うことを「フルサイクル」といいます。
フルサイクルの開発に対応できるエンジニアは「フルサイクルエンジニア」と呼ばれており、幅広い知識や技術を保有していることが特徴です。
フルサイクルエンジニアがいることで、システム開発におけるコミュニケーションの課題を改善できたり、開発サイクルを短縮できるなどのメリットがあります。
本記事では、フルサイクルエンジニアの「概要」や「仕事内容」に加え「働く上でのメリット・デメリット」を解説します。
フルサイクルエンジニアを目指すことを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
「フルサイクル」とは?
フルサイクルとは、動画ストリーミングサービス大手である「Netflix社」が2018年に提唱した概念です。
Netflixにおけるフルサイクルは「ソフトウェアライフサイクルの全ての領域にチームの皆が関わり開発を行うこと」を意味しています。
フルサイクルは、今やNetflixの開発文化の核となっており、この考え方によって開発に携わる1人ひとりが製品への深い理解と責任感を持って働けるのです。
また、機能の迅速な開発とリリースが可能になり、クライアントへの提供スピードや生産性の向上にも繋がります。
フルサイクルエンジニアとは?
フルサイクルエンジニアとは、ソフトウェア開発の全プロセス(企画、要件定義、実装、テスト、運用など)を1人で担当できるエンジニアのことです。
システム開発では、情報伝達のロスやフィードバックの遅延などが問題となるケースがあります。
しかし、フルサイクルエンジニアの存在によって、これらの問題を改善できるのです。
フルサイクルエンジニアに似ている職種として「フルスタックエンジニア」が挙げられますが、両者には違いがあります。
大きく異なる点は「担当する工程」です。
先述した通り、フルサイクルエンジニアは開発の上流工程からサポートまでを一貫して担当するのに対し、フルスタックエンジニアは開発工程を担当します。
つまり、システム開発全体を担えるのがフルサイクルエンジニアで、技術分野に精通しているのがフルスタックエンジニアといえます。
フルサイクルエンジニアの仕事内容
フルサイクルエンジニアの仕事内容には、主に以下のものが含まれます。
- 企画・設計…クライアントの要望をヒアリングし、技術的な方針を決定する
- 開発…設計に基づきプログラミングを行う
- テスト…システムが要件や仕様通りに動作することを確認する
- 導入…実際の運用環境に配置し、利用可能な状態にする
- 運用保守…システムの監視や不具合の修正、機能追加などを行う
フルサイクルエンジニアは、1人で製品やサービスの企画から運用までを担当できます。
ただし、実際の開発プロジェクトでは、チームを組んで、そのチームで全ての作業を行うのが一般的です。
複数のフルサイクルエンジニアが1つのチームを構成したり、デザイナーやプロダクトオーナーと協同することもあります。
チームを組むことでお互いの知見や経験を共有できるため、効率的に開発を進められるだけでなく、より高いプロダクト品質を実現しやすくなります。
フルサイクルエンジニアとして働くメリット
ここからは、フルサイクルエンジニアとして業務を行う上でのメリットを紹介します。
- 幅広いスキルを身に付けられる
- ミスコミュニケーションが起こりにくい
- クライアントとの信頼関係を築きやすい
以下に詳しく解説しますので、フルサイクルエンジニアならではのメリットを知っておきましょう。
幅広いスキルを身に付けられる
フルサイクルエンジニアは一貫して1つの案件を担当するため、全ての開発工程に関する知識や技術を身に付けられるといったメリットがあります。
業務をこなすことで、開発に関するスキルはもちろん、プロジェクト全体を俯瞰する視点やプロダクト思考などが磨かれるでしょう。
幅広い経験から培った汎用的なスキルは、将来様々な分野で活躍するための土台となります。
ミスコミュニケーションが起こりにくい
フルサイクルエンジニアは、1つの案件を一貫して担当するという業務の特性上、長期間同じクライアントとやり取りします。
長期に渡り関わりを持つことで、相手の意図することを理解しやすくなったり、情報伝達の遅れによるコミュニケーションの問題が起こりにくくなります。
情報共有や意思疎通にかかる時間や手間が低減されるため、開発の迅速化を図り、ユーザーへの価値提供が早期に行えるようになるでしょう。
クライアントとの信頼関係を築きやすい
フルサイクルの開発は、最初から最後までクライアントとやり取りするエンジニアが変わらないため、クライアントとの信頼関係を築きやすい傾向にあります。
1人のエンジニアが専任となることで、双方にとってコミュニケーションが取りやすくなり、細かな部分も話しやすくなります。
また、クライアントと深く関わる中で、クライアントの視点に立った発言や対応ができるようになるため、信頼を得やすいです。
クライアントと信頼関係を築くことで、成果物はより満足のいく品質となり、プロジェクトの成功へと繋がるでしょう。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
フルサイクルエンジニアはキャリアの選択肢が広い
フルサイクルエンジニアとして働くことで、将来的なキャリアの選択肢を広げられるというメリットもあります。
先述した通り、フルサイクルエンジニアは幅広いスキルを身に付けられるため、多様なキャリアパスを選択できる可能性が高いです。
フルサイクルエンジニアのキャリアパスには、具体的に以下のような選択肢が挙げられます。
テクニカルリーダー
プロダクトマネージャー
フリーランスエンジニア
設計や実装、運用などの経験を活かしてテクニカルリーダーとなれば、技術的なリーダーシップを発揮できるでしょう。
また、プロダクト全体を俯瞰する視点と、開発者としての技術的な知見を活かして、プロダクトマネージャーになることも可能です。
さらに、フルサイクルエンジニアで培った経験や能力は、フリーランスエンジニアとして活躍する上で大きな強みとなります。
将来的にフリーランスとなり、収入面や働き方の自由度を高めたいと考えている人には、特におすすめの職種といえます。
フルサイクルエンジニアとして働くデメリット
フルサイクルエンジニアは、メリットのある一方でデメリットも存在します。
業務の特性上、仕事量が多くなりがちで、高いスキルを求められるのです。
フルサイクルエンジニアへの転職を検討している人は、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。
仕事量が多くなりがち
フルサイクルエンジニアは、開発プロジェクトの全てを把握しておく必要があるため、業務量が多くなりがちです。
要件定義から運用までの全工程に関わりつつ、チームメンバーや他部署へ開発の進捗や課題を共有しなければなりません。
このように、フルサイクルエンジニアには相当の作業負荷がかかるため、負担が大きいと感じる人もいるでしょう。
高いスキルを求められる
フルサイクルエンジニアは一貫してシステム開発に携わるため、どんな要望にも応えられるスキルが必要です。
基礎的な知識はもちろん、クライアントに合わせて柔軟に対応することが大切なため「広く浅く」ではなく「広く深く」知識を持っていることが求められます。
ITの技術は進歩が早いため、新しい言語やフレームワークなどについて、継続的な学習が欠かせません。
学ぶことを怠れば、知識不足によってフルサイクルエンジニアとしての強みを発揮できなくなり、自身の価値を下げる原因となるでしょう。
まとめ
フルサイクルエンジニアは、企画から運用保守まで一貫して担当できるエンジニアです。
フルサイクルエンジニアがいることで、コミュニケーション上の問題やクライアントとの関係性に関する課題などを改善することができます。
市場価値の高いエンジニアといえますが、人によっては大変さを感じることもあるため、自分がどのような働き方をしたいのか考えることが大切です。
なお、フルサイクルエンジニアは、高いスキルや幅広い経験を持っている必要があり、活躍するには継続的なスキルアップが必要不可欠です。
弊社ESES(イーエス)はSES企業であり、クライアントへエンジニアの技術力を提供しています。
「案件選択制度」を取り入れており、身に付けたいスキルから案件を選ぶことが可能です。
また、収入の透明性が高い「単価評価制度」の導入や、77%の「高還元率」を実現させているため納得感を持って働けます。
「フルサイクルエンジニアとして活躍するためにスキルアップしたい」と考えている方は、ESESへの転職も検討してみてください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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「フルサイクル」の概念が生まれた理由
フルサイクルとは、開発の高速化と柔軟性の向上を目指す中で生まれた概念です。
元々Netflix社では、ソフトウェアのライフサイクル毎に異なる担当者を定めていました。
しかし、この開発手法では業務プロセスや各種システムが孤立しやすく、情報の連携が上手くできないという理由から、開発が遅くなる可能性があります。
このような問題を解決するために生まれたのが、フルサイクルの考え方です。
製品への深い理解と強いオーナーシップを持つことで、高品質な成果物を生み出せるだけでなく、イノベーションを起こしやすくもなります。
フルサイクルは高速で柔軟な開発を実現し、継続的な価値提供を可能にするものとして、近年では多くの開発現場に採用されています。