iOSエンジニアとは?仕事内容や必要な知識・技術も解説
目次
iOSとは、Apple社の開発したスマートフォンやタブレットに搭載されているOSです。
iOSエンジニアは、iOS上で利用できるアプリの開発や、Apple社から発信される情報の入手など、iOSに関する業務全般を担っています。
Apple社が開発・販売する製品は世界中で使用されており、今後も新しいアプリの開発は進むと予想されます。
そのため、需要や将来性の高さから、iOSエンジニアへの転職を検討している人も多いでしょう。
本記事では、iOSエンジニアの仕事内容をはじめ、将来性や必要な知識・技術などを解説します。
さらに、iOSエンジニアにおすすめの資格も紹介しますので、転職活動の1つのヒントとしてお役立てください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
iOSエンジニアとは?
iOSエンジニアとは、iOS上で動くアプリの開発を行うエンジニアのことです。
iOSはApple社の開発したスマートフォンやタブレット用のOSで、iPhoneやiPadなどに搭載されています。
iOSのアプリは、実用的なものからエンターテイメントまで多彩なジャンルがあり、世界中の人々に利用されています。
iOSアプリの全体的な開発プロセスに関与し、ユーザーに高品質なアプリケーションを提供するのが、iOSエンジニアの仕事です。
iOSエンジニアの仕事内容
iOSエンジニアの仕事内容は多岐に渡りますが、一般的には以下のような作業が含まれます。
- アプリ開発
- 最新情報の収集
- APIとの連携
iOSは定期的なアップデートがあるため、その都度、適切な対応が求められます。
ユーザー満足度の高いiOSアプリを開発するには、それぞれの業務を理解し遂行する能力が必要です。
アプリ開発
アプリ開発では「ネイティブアプリ」や「Webアプリ」の開発を行います。
ネイティブアプリとは、特定のプラットフォームで動作するアプリのことで、iPhoneやiPadなどのデバイスにダウンロードして使用します。
一方でWebアプリは、デバイスにインストールすることなく、Web上で動作するアプリのことです。
iOSエンジニアは、ネイティブアプリの開発をメインに行っており、要件定義からリリース後の不具合改修、メンテナンスまで様々な対応を求められます。
最新情報の収集
iOSについてApple社から公開される情報をチェックすることも、iOSエンジニアの業務の1つです。
公開される情報の中には、新製品や新機能の情報はもちろん、バージョンアップの予告なども含まれています。
最新の情報を持っておけば、機能の追加や廃止が行われた際に、迅速かつ正確にアプリへ反映させるなど、適切な対応が可能です。
iOSエンジニアの素早い対応が高品質なアプリの提供に繋がるため、最新情報の確認は重要な業務といえます。
APIとの連携
iOSエンジニアは、ネイティブアプリから各種のAPIへ連携する処理も行います。
APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」の略称で、外部サービスと機能を共有する仕組みを指します。
様々なWebサービスと連携することで、各サービスの提供する便利な機能を利用できるのです。
例えば、Googleが提供するGoogle Maps APIを使うことで、アプリ上に地図機能を実装できます。
効率良く簡単にアプリ開発を行うには、APIとの連携が欠かせません。
iOSエンジニアの平均年収
iOSエンジニアの平均年収は、650〜800万円ほどです。
求人ボックスに記載されているITエンジニアの平均年収は442万円(2024年3月時点)なので、ITエンジニアの中では高い水準であることが分かります。
ただし、iOSエンジニアの中でも年収差は大きく、500万円程度の人もいれば1,000万円ほどの人もいます。
iOSエンジニアの年収は、スキルの高さや担当する案件、所属する企業によって異なるため、自身の努力や選ぶ企業次第で高収入を目指せるでしょう。
参考:求人ボックス「給与ナビ」
iOSエンジニアの将来性
iOSエンジニアは将来性が高いといわれており、それには以下のような理由が挙げられます。
- iOSは多くの製品に使われており、日本国内でのシェア率が高い
- iOSアプリは幅広い業界で必要とされている
- アップデートなどがあるため、継続的に対応が必要
iOSはiPhoneをはじめとして多くの製品に利用されており、日本国内のモバイルOSで高いシェアを誇っています。
iOSアプリの中には、医療やインフラ整備などの専門的なアプリケーションも多く、現代になくてはならない存在となっているのです。
また、iOSアプリの品質を保つためには、iOSの定期的なアップデートに対応していく必要があります。
幅広い業界から求められているiOSアプリは、今後もApple社が力を注いでいく分野といえるでしょう。
以上の理由から、iOSエンジニアの将来性は高く、今後も需要が伸びていくと予想されます。
iOSエンジニアに必要な知識・技術
iOSエンジニアに必要な知識や技術は、以下の通りです。
- プログラミングスキル
- 開発環境に関する知識
- ライブラリに関する知識
- データベースの知識
- UXの知識
- 英語力
- コミュニケーションスキル
iOSに関する業務を遂行するためには、様々な知識や技術を身に付けておく必要があります。
それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてください。
プログラミングスキル
iOSエンジニアの業務の1つにiOSアプリの開発があるため、プログラミングスキルは必須といえます。
特に「Swift」と「Objective-C」は、iOSアプリの開発に使用されることが多いプログラミング言語であるため、習得しておきましょう。
SwiftはApple社がリリースしたプログラミング言語で、直感的で使いやすいという特徴があります。
Objective-Cも現在ではApple社のものとなっているプログラミング言語ですが、開発されたのが1980年代と古いため、Swiftへの切り替えが進んでいます。
どちらの言語もこれから学ぶという方は、Swiftを優先的に身に付けるのがおすすめです。
開発環境に関する知識
iOSの開発では「Xcode」と呼ばれる開発環境を使うことが多いです。
XcodeとはApple社が開発したツールで「総合開発環境」とも呼ばれています。
Xcodeは、コーディング作業や開発に使用するファイルの管理など幅広い機能を持っており、iOS開発をサポートしてくれます。
他の開発環境の知識を持っていてもXcodeには流用できないため、iOSエンジニアとして活躍するためには、Xcodeに関する知識を必ず身に付けておきましょう。
ライブラリに関する知識
iOSアプリの開発では、ライブラリを活用することも大切です。
ライブラリとは、ある特定の目的に向けて、よく使われる関数やインタフェースなどを集めてパッケージ化したものです。
Swiftで利用されることの多いライブラリには、以下が挙げられます。
- RxSwift…Swiftでの非同期処理やイベント処理を制御する
- Combine…イベント処理の制御や非同期処理用のApple社製フレームワーク
- Realm Swift…Swiftアプリでアクセスできるデータベースを提供する
- Moya…API通信周辺の処理を手軽に実装する
- SwiftDateなど…データ関連の記述を効率化できる
プログラミングにおいて、一から全てを開発するのではなく、既存のライブラリを使用することで効率的かつ質の高い開発を行えます。
データベースの知識
iOSエンジニアには、主に2つのデータベースに関する知識が求められます。
1つはネイティブアプリ上で利用するデータベースで、各スマホに1つずつ置く小型のものです。
もう1つはサーバーのデータベースで、アプリを通して提供するサービス全体で利用するものであり、大容量のデータを格納することができるものです。
iOSアプリの開発において、それぞれのデータベースを理解し、適切に使い分けることが大切です。
UXの知識
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、アプリを利用することでユーザーが得られる体験や経験を意味しています。
iOSエンジニアが開発するネイティブアプリは、ユーザーが直接利用するインタフェースにあたるため、UXと密接に関係しています。
需要の高いiOSエンジニアになるには、デザインのパターンやUXの知識を身に付けておくことが大切です。
Apple社では、Appleのプラットフォーム上で優れた体験を提供するためのガイドラインを定めているため、UXの知識向上に役立ててください。
参考:Apple「ガイドライン」
英語力
Apple社からの情報は英語で発信されます。
日本語への翻訳を待っているとタイムラグが発生してしまったり、民間企業や一般人が翻訳するものは間違いがあるケースも少なくありません。
正しい情報を素早く取り入れるには、英語力を身に付けることが重要です。
また、Xcodeは英語が標準言語となっているため、開発をスムーズに進めるためにも英語力は必要といえます。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
iOSエンジニアに求められる英語力はどのくらい?
iOSエンジニアになるために、必ずしも取得しなければならない資格はありません。
しかし先述した通り、iOSエンジニアの業務では、ある程度の英語力が求められます。
また、iOSエンジニア向けの資格の中には、全文英語で出題される試験もあるため、スキルの証明やキャリアアップを図るのであれば、英語力の向上はマストです。
一般的にiOSエンジニアは、TOEICスコアが700点以上であることが望ましいとされていますが、得点が高いほど業務の幅は広がります。
日常会話の英語力に加えて、iOSエンジニアの業務に必要な用語や表現を覚えることも重要です。
ITの専門用語はIT業界の進化と共に新しくなるため、勉強を継続することでiOSエンジニアとして、より価値の高い人材になれるでしょう。
コミュニケーションスキル
iOSエンジニアには、コミュニケーションスキルも必要です。
一般的に、アプリ開発を行う際は複数人でチームを作り作業を分担するため、各エンジニア間で認識の違いが起きないよう、小まめに連携を取り合う必要があります。
その際、自分の意見を分かりやすく伝えることができれば、円滑に開発を進められるでしょう。
他部署の関係者やクライアントなどと関わる機会も多いため、相手の意向を汲み取りながら開発に反映させることも大切です。
iOSエンジニアにおすすめの資格
iOSエンジニアにおすすめの資格は、以下の4つです。
- 応用情報技術者試験
- ITパスポート試験
- プロジェクトマネージャー試験
- App Development with Swift
資格を取得することで、自身のスキルの高さを証明できます。
また、学習の過程で実務に活かせる知識を習得できたり、就職してから収入アップに繋がるなどメリットが多いため、ぜひ取得を検討してみてください。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、ITの基礎知識が学べる「基本情報技術者試験」の上位に位置付けられた資格です。
取得することで、ITに関する応用的な知識や技術を持っていることが証明できます。
試験範囲が広く難易度が高いため、経験の少ないエンジニアは基本情報技術者試験から挑戦しましょう。
なお、応用情報技術者試験に合格すると、他の資格で一部の試験が免除となるケースもあります。
現在、受験を検討している試験がある人は、こちらから確認してみてください。
参考:独立行政法人情報処理推進機構「試験情報」「免除制度の概要」
ITパスポート試験
ITパスポートは、ITエンジニアにとって入門ともいえる基礎的な資格です。
「IT利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」とされています。
試験ではITの基礎知識の他に、マーケティングや財務など、経営に関する知識も求められます。
ITパスポートの合格を目指し学習を進める中で「IT」と「経営」の知識を同時に習得できるのです。
参考:ITパスポート試験「iパスとは」
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施している国家資格の1つです。
取得することで、ITに関する専門知識やプロジェクトを統括するスキルの証明となります。
試験内容は幅広く、開発に必要な知識に加え、法律やセキュリティなどについても出題されます。
受験に年齢制限はなく、業務経験の有無も問われないため「これからプロジェクトマネージャーを目指したい」という人にもおすすめです。
ただ、合格率は12〜15%程度と低く、経験の少ないエンジニアにとっては難易度の高い資格といえます。
まずは現場で経験を積み、開発プロジェクトの流れを理解しながら、試験勉強を進めましょう。
参考:独立行政法人情報処理推進機構「試験情報」
App Development with Swift
App Development with Swiftは、Apple社が認定している資格試験で、認知度や信頼性が高いです。
取得することで、SwiftやXcode、App開発ツールに関する知識を証明できます。
学習を進める中で、Swiftの基礎知識や概念、Xcodeの各種機能、アプリケーション開発のスキルなどが身に付くので、iOSエンジニアを目指す人におすすめの資格です。
ただし、全文英語で出題されるため、問題を読み解く最低限の英語力が必要不可欠です。
参考:Apple「Swiftの基礎知識を証明する資格」
まとめ
iOSエンジニアは、iOS上で使用できるアプリの開発や、Apple社から入手した情報をアプリに反映させるなどの業務を行います。
iOSとは、Apple社の開発したデバイスに搭載されているOSのことで、多くの製品に使われています。
また、定期的なアップデートが必要なため、今後もiOSエンジニアの需要は伸び続けていくでしょう。
弊社ESES(イーエス)はSES企業として、クライアント企業へエンジニアの技術力を提供しています。
ESESでは、iOS関連の案件を取り扱っているため「iOSエンジニアとして活躍したい」と考えている人にはぴったりです。
さらに、エンジニア自身のキャリアプランに沿ってスキルアップできるよう、以下3つの制度を導入しています。
- エンジニアの希望を叶えられる「案件選択制度」
- 収入の透明性が高く納得感を持って働ける「単価評価制度」
- エンジニアに適切な報酬を還元するための「高還元率」(現在は77%)
少しでも興味を持ってくださった方は、ESESを就職先の1つとして考えていただけると幸いです。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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プログラミング言語「Objective-C」の歴史
先ほど「Objective-Cは現在ではApple社のものとなっている」と説明しましたが、このような言い方になったのには理由があります。
Objective-Cは元々、ブラッド・コックスとトム・ラブという2人によって開発され、それを支援するために「Stepstone社」が創設されました。
その後、スティーブ・ジョブズが「NeXT Computer社」を設立し、Objective-Cの全権を買い取りました。
最終的にNeXT社がApple社に買収されたことで、Objective-CはAppleのソフトウェア開発言語の中心となったのです。
これがきっかけで、世界中の開発者がObjective-Cを学び使用するようになり、iOS開発者の必須スキルとなっています。
しかし、Objective-Cは古く、アップデートを重ねるよりも、Apple社の新しい製品に共通して使える新たな言語を開発すべきとなったことから、Swiftが誕生したのです。