SEの転職事情とは?職種や転職するときの注意点も解説
現在SEとして働いてはいるものの、様々な理由から転職を検討している人もいるでしょう。
しかし、ただ「なんとなく転職したい」という理由だけでは、たとえ転職をしても転職先とのミスマッチが起こるなど、問題につながってしまう可能性があります。
そこで今回は、SEが転職先として選ぶ職種の紹介や注意点などを解説します。
転職を検討しているSEの方は、本格的に転職に入る前に、ぜひご一読ください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
SEによくある転職理由
慢性的な人材不足の状態にあるIT業界において、SEは非常に重宝される存在であり、将来性もある職種の1つといえます。
しかし、SEとして働きつつも、転職を検討している人は一定数いることは事実です。
SEとして働いている人のよくある転職理由としては以下の5つが挙げられます。
- スキルアップ・キャリアアップしたい
- 希望の業務が担当できない
- 将来に不安がある
- 待遇に関する不満がある
- 人間関係が良くない
転職活動時には、採用面接で転職理由を聞かれることがほとんどです。
そのため、まずは自分がなぜ転職したいのかを明確にしておくことが大切です。
「なんとなく」で転職をしてしまうと、なかなか転職先が決まらなかったり、転職先でミスマッチが起こる可能性があります。
転職理由を明確にすると同時に、採用担当者にネガティブなイメージを与えにくい伝え方を考えておきましょう。
なお、転職理由を伝えるときのポイントや例文は以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
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SEが転職で選ぶ職種5選
SEとして実務経験があるのであれば、SEの経験を活かせる転職先を選ぶのがおすすめです。
SEの経験があることで未経験よりも転職がしやすく、なおかつ転職後もSEの経験を活かせるため働きやすいというメリットがあります。
ここでは、SEの転職におすすめなITの職種を5つ紹介します。
1.社内SE
社内SEは自社内で使用するシステムの開発・運用保守を担当することが一般的です。
具体的には次のような業務が挙げられます。
- 社内のネットワーク環境の運用保守
- PCなどの新たなIT機器の導入
- IT機器のセッティングや管理、
- 業務効率化を図るためのITツールの導入の提案
このように、社内SEはITツールに関する業務全般を行います。
クライアントとやりとりするようなことは少なく、社内の従業員とやりとりが基本です。
ただし、幅広い業務を行うことになるため、ある程度の実務経験が求められます。
2.SIerのエンジニア
SIerとは「システムインテグレーター」の略称で、システムの企画から運用まで一貫して請け負う企業のことをいいます。
案件によって業務内容は異なるため、様々な要望に答えられるスキルの高さが必要です。
現在すでにSIerのSEとして働いている場合は、現在在籍している企業よりも規模の大きな企業のSIerへの転職を目指してみても良いでしょう。
大手SIerで働く場合は、プロジェクトのマネジメントや進行管理が主な業務となり、開発や設計、要件定義などに関わる機会は少なくなるでしょう。
スケジュール管理をしたりルールを作成することが得意な人にはおすすめの転職先です。
3.Webエンジニア
Webエンジニアとは、Web上で利用されるシステムやアプリケーションなどの開発を担当するエンジニアのことです。
具体的には、ECサイトやスマートフォンのアプリケーション、SNSなどの開発や運営を行う企業でシステム開発を行うことです。
近年では日常生活でもWeb上のサービスを利用をすることが多く、今後もその需要は続くことが容易に予想できます。
クライアントによって使いやすさや見た目など、求められる仕様が異なるため、それぞれの要望に合わせて開発していく力が求められます。
また、Webエンジニアには高度なプログラミングスキルも求められます。
特にコードを書くことを得意としている人には向いている職種と言えるでしょう。
4.セールスエンジニア
セールスエンジニアは、自社のサービスや製品の営業を担当する仕事です。
具体的な仕事内容としては、クライアントの経営課題に対して自社のサービスや製品を活用した解決策を立案し、導入後のフォローも行うことなどが挙げられます。
「セールス(営業)」と「エンジニア(技術者)」の両方を担うことになるため、SEの中でも、特に上流工程に携わった経験があれば大きな強みとなるでしょう。
クライアントが抱える課題の解決にやりがいを感じられる人や、人とのコミュニケーションが得意な人に向いているといえます。
5.ITコンサルタント
ITコンサルタントは、自社やクライアントの経営課題に対し、ITツールを活用した解決策を立案する仕事です。
課題解決に使用するツールなどによっても「ERPコンサルタント」「SAPコンサルタント」と呼び方が変わることもあります。
使用するツールをはじめ、経営に関する様々な業務を担当できるスキルが必要です。
その他、クライアントの課題を明確にするためのコミュニケーション能力やプレゼン能力なども求められます。
SEが転職する際に身に付けておくべき知識・技術
SEとして転職するのであれば、当然キャリアアップや年収アップを目指したいものです。
「今すぐにでも転職したい」という気持ちがあっても、転職によってキャリアアップや年収アップを目指すのであれば、転職に備えてスキルを身に付けておく必要があります。
そこで、ここからはSEが転職する際に身に付けておくべき知識や技術をご紹介します。
すぐに転職を考えていない場合でも、以下の知識や技術を身に付けることを意識しながら業務にあたることで、将来的に転職活動がスムーズになるでしょう。
開発の基礎知識
職種によって担当する業務が違うとはいえ、システム開発がどのように進められていくかを知っておくことは重要です。
SEの具体的な仕事内容の工程としては主に以下が挙げられます。
- 要件定義:顧客の要望をヒアリングし、システムの概要を定義する
- 基本設計:要件定義の内容に従って、実際の業務に即したシステムを考える
- 詳細設計・開発:基本設計の内容をベースに各機能の詳細な処理を決定する
- テスト:開発したシステムが正常に作動するかを確認する
特に経験の少ないうちは要件定義のような上流工程の仕事を担当することは難しいでしょう。
しかし、各工程でそれぞれどのようなスキルが必要なのかを知っておくと、キャリアプランが立てやすくなります。
プログラミングスキル
SEとしてシステム開発に携わる中で、プログラミングスキルは必須です。
SEの仕事の軸はあくまでもシステム開発であるため、プログラミングスキルがなければSEとしての業務はこなせません。
プログラミング言語には様々なものがありますが、実際にはクライアントや開発するシステム等によって使うものは異なります。
そのため、例えばJava、PHP、Pythonなど、比較的多く使用されるものを中心に、複数の言語を習得しておくことをおすすめします。
コミュニケーションスキル
SEというと黙々とパソコンに向かって作業をするというイメージをもっている人も多いかもしれません。
しかし、SEはどのような仕事を担当するとしても、コミュニケーションスキルは欠かすことができません。
コミュニケーションスキルは、クライアントやチームメンバーとのやり取りなど、お互いが満足する成果をあげるためには必要なスキルです。
「報・連・相」をしっかりするなど、丁寧なコミュニケーションを心がけ、すれ違いに注意しながら業務を進めることが大切です。
表情や言葉遣いはもちろん、服装や髪型など清潔感も意識しましょう。
マネジメントスキル
マネジメントスキルは、特に上流工程のエンジニアや指導者的立場に立つエンジニアを目指している場合には必要です。
大きなプロジェクトになると各エンジニアの業務管理をして、確実に進めていくことが求められるようになります。
納期までにプロジェクトを完遂させるためには、それぞれのエンジニアの配置や進捗状況を把握し、きちんと管理することが大切です。
現段階では上流工程に携われる機会があまりない場合でも、日頃からスケジュール管理やタイムマネジメントを意識しながら業務に取り組んでおきましょう。
SEが転職するときのポイント
慢性的な人手不足のIT業界において、SEが転職することは決して難しいことではありません。
しかし、いくら転職に成功しても、自分に合った企業に転職できなければ、また転職を繰り返してしまうことにもなりかねません。
自分に合った企業に転職するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
自分の経験やスキルを整理する
まずは「キャリアの棚卸し」をしましょう。
「キャリアの棚卸」とは、自分が今までどのような経験をし、どのようなスキルを持っているのかを洗い出して自分の立ち位置を明確にすることです。
求職者の中には、自己評価と市場からの評価が合っていない人も少なくありません。
自分の立ち位置を明確にし、市場価値を理解できれば自分のアピール方法もわかるようになります。
キャリアアップをするためには、ポートフォリオといった成果物を作成してみる方法もおすすめです。
希望条件を明確にする
自分の経験やスキルを洗い出して「キャリアの棚卸」ができたら、今後自分が希望するキャリアについて考えてみましょう。
- 今後どのようなキャリアを歩みたいか
- 理想とするキャリアにたどり着くには今どのようなスキルが必要か
- 転職先にどのような待遇を求めるか
以上のような希望条件を明確にしてからそこに当てはまる企業を探すようにすれば、採用担当者にもスムーズにアピールできるはずです。
転職活動の対策をしっかりする
一度でも就職経験があると「自分には実務経験があるから、就活対策はそれほど必要ではないだろう」といった考えに陥りがちです。
特に新卒採用で入社した会社から転職をする場合は「なぜ前職を辞めたのか」「なぜ転職を考えたのか」といった新卒時とは異なる質問をされることが一般的です。
実務経験があることに頼りすぎず、転職時の面接をはじめ、企業分析、エントリーシートなどの準備もしっかり行いましょう。
転職先とのミスマッチを起こさないためにも、自分の強みや熱意をアピールポイントついて考え、対策を立てることは非常に重要です。
スキルを磨く
どれだけ転職したいという気持ちが強くても、SEとしてキャリアアップ・スキルアップしていくためには、あらかじめスキルを磨いておく必要があります。
ITに関する基礎的な知識や「SEが転職する際に身に付けておくべき知識・技術」で紹介したようなスキル、希望する職種に合わせた専門的なスキルを身に付けましょう。
すぐに転職するのではなくスキルを磨いてから転職することは、ある程度時間も要するため一見遠回りに思えるかもしれません。
しかし、スキルを磨くために現職に就く期間が長くなるのであれば、短期離職というマイナスイメージを避けることにもつながります。
現在の職場で磨けるスキルがあるのであれば、最大限スキルを磨いてから転職する方が転職活動がスムーズになるでしょう。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
SEの転職には資格取得もおすすめ
資格がなくてもSEになることはできますが、資格を持っていることで転職時に有利に働く可能性は十分にあります。
そのため、転職を考えている場合には、一定のスキルがあることを証明する方法として資格を取得する方法もおすすめです。
例えば、国家資格の「基本情報技術者試験」に合格した場合、ITエンジニアとして働く上で基本となる知識や技術を一定レベル持っているという証明になります。
同資格の場合は試験が年2回あり、さらに受験条件もないため、SEとしての経験が少ない人でも比較的挑戦しやすい資格といえるでしょう。
他にも、民間資格であるいわゆるベンダー資格としてOracle社が認定する「ORACLEMASTER」や「Oracle認定Java資格」などもあります。
IT関連の資格は国家資格と民間資格のいずれも様々なものがあり、中には入社後に資格を求められることもあります。
資格は持っておいて損をすることはありません。
まずは自分が目指したい働き方にはどの資格を持っていると有利なのかを調べ、資格取得に向けて勉強をしてみてはいかがでしょうか。
SEの転職に関するよくある質問
特にSEからの転職が初めての人の場合、様々な不安がつきものです。
そこで、ここからは、SEの転職時によくある質問についてお答えしていきます。
Q1.経験が少なくても転職して大丈夫?
繰り返しになりますが、IT業界はその需要に対して圧倒的に人材が足りておらず、慢性的な人手不足の状態です。
そのため、企業によっては、未経験・経験が少ない人でも募集をしていることもあります。
特に、SESは経験が少なくても担当できる案件を扱っている企業が多いため、おすすめできる働き方です。
自分の持っているスキルと企業の求めているスキルレベルを照らし合わせながら、どのような働き方が向いているのかを考えてみましょう。
Q2.SEは将来性あるの?
結論としてはSEに将来性はあります。
主な理由は次のとおりです。
- IT業界は人材が不足している
- SEは業界問わず求められる
- ITの技術が進化し続けている
- 働き方が多様化している
将来性や需要がある分、IT業界で働こうと考える人が多いことは事実ですが、それでも需要に対して人材は大幅に不足している状態です。
ITエンジニアの将来性については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひこちらもご一読ください。
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Q3.SEの平均年収はどれくらい?
求人情報・転職サイトdoda(デューダ)の「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」によると、SEの平均年収は452万円です。
同サイトの「平均年収ランキング(年齢・年代別の年収情報)【最新版】」によると、全年代の平均年収は414万円であるため、SEの平均年収はやや高めといえるでしょう。
ただし、これは「技術系(IT/通信)」の平均年収なので、あくまでも参考程度に捉えておいた方が良いでしょう。
なお、エンジニアの平均年収については以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ
転職を考えているSEが一定数いることは事実ですが、転職理由やスキルの高さは人それぞれ異なります。
「なんとなく」で転職活動を始めてしまうのではなく、まずは現状や今後のキャリアプランなど、自分の立ち位置を整理してみましょう。
また、SEとしてキャリアアップやスキルアップをする際に1つの候補として考えていただきたい転職先がSES企業です。
SES企業は経験の少ないSEでも就職がしやすく、エンジニアのレベルに合った案件を担当することができます。
近年ではSEの働きやすさを重要視するSES企業も増えているため、応募先企業を見極めれば自分に合った転職先が見つかるはずです。
弊社ESESもSES企業の1つであり、弊社では次のような制度を導入し、エンジニアの労働環境を整えています。
- 案件選択制度
- 単価評価制度
- 高還元率(現在77%)
また、担当フェーズや開発環境などを問わず、様々な案件を扱っています。
弊社ESESについて少しでも興味を持たれた方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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SEの転職は年齢が若いほど有利?不利?
一般的に転職は年齢が若いほど有利といわれています。
しかし、SEの場合は年齢が若いと十分にアピールできるスキルが身についていないことも多く、スキルが足りず思い通りの転職先に転職できないことも少なくありません。
SEとして働く上で何より求められるものは、若さではなくスキルです。
そのため、多少年齢が高くてもスキルがあれば就職に有利に働く可能性は大いにあります。
もちろん、若くても同年代の平均を超えるスキルがあれば思い通りの転職先に転職できる可能性は高まります。
一方「まだスキルが足りない」と感じる場合は、今の職場で身に付けられるスキルをしっかりと身に付けてから転職した方が良いかもしれません。
目先の「転職したい」という気持ちにとらわれず、5年後、10年後先にどうなりたいか、そのために今すべきことや今できることは何かを考えてみましょう。