「SaaSエンジニア」とは?魅力や必要なスキルも解説
目次
SaaSエンジニアは、クラウド上で顧客に提供するアプリケーションを開発するエンジニアで、クラウドエンジニアの1種です。
クライアント企業のニーズに応えつつ、業務をサポートするサービスを開発・管理するのが主な役割といえます。
近年、SaaS業界は国内市場でも賑わいを見せており、エンジニアの転職先として人気が高まっています。
しかし、SaaSについて改めて聞かれると、上手く説明できない方もいるでしょう。
本記事では、SaaSエンジニアの仕事内容や必要なスキルを解説します。
魅力や注意点もお伝えしますので、自身がどのような面に魅力を感じ、どう働きたいかを考える際の参考にしてください。
業界や職種の特徴を掴むことで、SaaSエンジニアとして働くことのイメージが膨らむでしょう。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
SaaSエンジニアとは?
SaaSエンジニアは、SaaSサービスの設計や開発、運用保守を担っています。
「SaaS」とは「Software as a Service」の略で、顧客がクラウド上で使用できるアプリケーションのことです。
似ているものに「IaaS」や「PaaS」があり、インターネットを経由して提供されるという点ではどちらもSaaSと同じですが、サービスの提供範囲が異なります。
IaaSは主に、システムの稼働に使用するITインフラを提供するサービスで、PaaSは特定のソフトウェアを稼働させるためのプラットフォームを提供しています。
一方でSaaSは、メールやスケジュールといった既に完成されたソフトウェア機能を提供しているため、顧客サイドで新たに何かを開発する必要はありません。
クラウド上でサービスを提供するという業務の特性上、SaaSエンジニアはクラウドエンジニアの1種といえます。
SaaSエンジニアの仕事内容
SaaSエンジニアの仕事内容は、大きく以下の2分野に分かれます。
- フロントエンドの開発
- バックエンドの開発
SaaSエンジニアは、常に最新の技術やトレンドを捉え、クライアントのニーズに適したサービスを開発する必要があります。
仕事内容や特徴を知り、SaaSエンジニアに関する理解を深め、転職活動に役立ててください。
フロントエンドの開発
フロントエンド開発では、ユーザーの目に直接触れる部分の設計や開発を行います。
具体的な業務内容は、ユーザーがシステムを操作する際のボタンやフォームなどの開発や、デザインのレイアウトです。
これらを最適化するためには、HTMLやCSS、JavaScriptなどのスキルを要します。
フロントエンド開発での大きな目的は「ユーザーがシステムをストレスなく使用できるようにすること」です。
バックエンドの開発
バックエンド開発では、ユーザーからは見えない部分の設計や開発を行います。
不具合の修正や機能の追加、セキュリティに関する業務など、対応範囲は幅広く「システムやアプリケーションを安定した状態に保つこと」が求められます。
バックエンドの開発を担当するためには、PHPやRuby、Pythonなどの言語をはじめ、セキュリティやデータの整合性など豊富な知識が必要です。
SaaSエンジニアの平均年収
「求人ボックス給料ナビ」によると、SaaSエンジニアを含むクラウドエンジニアの平均年収は582万円です。
ただし、SaaSエンジニアは、幅広く高レベルなスキルを求められることから、クラウドエンジニア全体の収入よりも高くなることが予想されます。
経験やスキルによって差があるため、入社してすぐは満足のいく収入を得られない可能性もあるでしょう。
しかし、SaaSエンジニアとして働く中でスキルを磨いていけば、収入を上げることは可能です。
将来的にフリーランスのSaaSエンジニアになる場合などは、更なる年収アップも目指せるでしょう。
参考:求人ボックス給料ナビ「クラウドエンジニアの年収」
SaaSエンジニアの3つの魅力
SaaSエンジニアには様々な魅力がありますが、中でも3つの魅力をご紹介します。
- スキルアップしやすい
- 長期的にプロジェクトに携われる
- 将来性が期待できる
SaaSエンジニアとして働くことを検討している方は、自分にとっての魅力が何か考えながらご覧ください。
1.スキルアップしやすい
SaaSエンジニアは、1つのプロジェクトに中長期的に携わる機会が多いことから、業務をこなすうちに深い知識や技術を身に付けられます。
SaaSエンジニアは、業務上で幅広い業界や技術に触れる職種です。
様々な業界や分野のクライアントニーズに応える必要があるため、エンジニアとしてのスキルだけでなく、専門的な知識を要する場面もあるでしょう。
そのようなプロジェクトを担当すれば、専門性の高い業界知識やトレンドも習得できます。
SaaSエンジニアとして働くことは、成長と学習の機会を得られやすく、クライアントのニーズに沿った業務をこなすことで自然とスキルが磨かれていきます。
2.長期的にプロジェクトに携われる
SaaSエンジニアは、プロジェクトの最初から開発後の運用やメンテナンスまで一貫して業務を担当します。
ただサービスを開発したら終わりではなく、ユーザーからの要望や市場の変化に応じて新機能を追加したり、セキュリティを強化するなど、継続的なサービス改善が必要です。
そのためSaaSエンジニアは、1つのプロジェクトに長期間携わる働き方が一般的です。
3.将来性が期待できる
将来性が期待できる点も、SaaSエンジニアの魅力です。
企業が使用するシステムはオンプレミスからクラウドへの移行が進んでおり、多くの企業でSaaSサービスを活用する傾向が強まっています。
オンプレミスと比べクラウドでは、自社でITインフラを構築したり運用する必要がないため、企業にとって大きなメリットといえます。
今後もさらにクラウドでのシステム利用が増えると予想されるため、高レベルな専門性を持つSaaSエンジニアは、市場価値の高い存在として活躍できるでしょう。
SaaSエンジニアの注意点
SaaSエンジニアは魅力が豊富な反面、人によってはストレスに感じる部分もあります。
どのような注意点があるのか、以下の2項目に分けて解説しますので、確認しておきましょう。
- 競争率が高い
- 大きな責任を伴う
働く際の注意点を理解し「SaaSエンジニアが本当に自分に合っているか」を考えることが大切です。
競争率が高い
SaaS市場が拡大していることと、SaaS事業への参入コストが低いことから、SaaS業界へ新規参入する企業が増加しています。
人気の高いSaaS業界で、SaaSエンジニアとして活躍し続けるためには、より顧客満足度の高いサービスを提供できるよう努力しなければなりません。
他のSaaSエンジニアと差をつけるために、最新の技術を身に付け、競合他社よりも有意性を持つことが重要です。
クラウド技術は進化が激しいため、SaaSエンジニアは最先端のスキルやトレンドをいち早く捉え、習得しておく必要があります。
大きな責任を伴う
SaaSエンジニアは「クライアントの業務を支援する」という役割を担っています。
サービスのクオリティを高めることはもちろん、システムがいつでも正常に動作するよう監視したり、顧客との円滑なコミュニケーションなど、様々な能力を求められます。
また、クライアント企業の大切なデータを扱うため、データのバックアップや暗号化、復元など、様々なセキュリティ対策も重要です。
SaaSエンジニアの仕事の質によって、クライアントの業務全体の質が左右されるといっても過言ではないため、責任の大きな仕事といえます。
SaaSエンジニアのキャリアパス
SaaSエンジニアのキャリアパスには、主に3つの方向性があります。
- SaaSエンジニアとしてスペシャリストを目指す
- SaaSエンジニアで培ったスキルを活かし管理職を目指す
- 他のエンジニアにキャリアチェンジする
SaaSという特定分野の専門性を追及してスペシャリストを目指したり、SaaSエンジニアとして働く中で培ったスキルを活かして管理職になるなどの道があります。
さらに、SaaS業界での経験を活かして、別分野のエンジニアになることも可能です。
その場合の一例に、データベースエンジニア、ネットワークエンジニア、セキュリティエンジニアなどが挙げられます。
SaaSエンジニアは幅広い知識や技術が必要な職種であるため、その分キャリアの選択肢も多いです。
SaaSエンジニアに必要なスキル
SaaSエンジニアとして活躍するには、様々なスキルが求められます。
- 高度で幅広い知識・技術
- 広い視野
- プロダクト・顧客思考
- コミュニケーションスキル
SaaSエンジニアに求められるスキルには、独学で勉強できるものもあれば、働く中で徐々に身に付いていくものもあります。
以下に詳しく解説しますので、必要なスキルを把握し、今の自分にできることから始めていきましょう。
高度で幅広い知識・技術
SaaSエンジニアの業務では、プログラミングをはじめとした開発技術、セキュリティやクラウドの知識など、多くのスキルを必要とします。
企業やプロジェクトによって活用する能力は異なりますが、幅広い知識や技術を持っている程、クライアントのニーズに応えやすいです。
また、継続的な改良が求められる業界であるため「多様な技術や最新情報を吸収する力」「改善思考のあるエンジニア」は、企業から重宝される存在となるでしょう。
広い視野
IT業界は進化スピードが速く、SaaSも例外ではありません。
常に新しい情報や競合の動きをインプットしつつ、状況に合わせて柔軟に対応していく必要があります。
「どうしたらクライアントの問題を解決できるか」を考え、今後のIT業界の動向を視野に入れた上で、システムの開発、運用にあたるようにしましょう。
プロダクト・顧客思考
SaaSエンジニアは、高性能なアプリケーションを開発することが大きな役割です。
ただ、製品だけでなく、顧客のニーズを汲み取ったり、問題点や課題を洗い出すという視点も大切になります。
以下のような考え方のエンジニアは、SaaSエンジニアに向いているといえます。
- 開発するアプリでどのように顧客の悩みを解決できるのか
- そもそもなぜそのような要望を出しているのか
クライアントからの依頼に沿って動くだけではなく、顧客の期待を上回るサービスを提供することで、SaaSエンジニアとして活躍できるでしょう。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
SaaSエンジニアには問題解決能力も欠かせない
ソフトウェアの販売方法は、従来の売り切り型から、サービスを利用した分だけ料金を支払ってもらうSaaSへと変化しました。
SaaSは、製品を顧客に購入してもらって終わりではなく、そこから継続してサービスを利用してもらうことが重要です。
既存顧客の継続率を上げるためには「課題が解決された」「業務効率がアップした」などの成功体験をしてもらう必要があります。
そのため、SaaSエンジニアは、顧客の抱えている課題を分析し、解決する能力が欠かせません。
コミュニケーションスキル
顧客のニーズに応えるには、顧客と密にコミュニケーションを取りながら、より深い考えを汲み取る必要があります。
また、開発中にはチームメンバーと連携を図ったり、外部の協力者に向けて説明をするなど、SaaSエンジニアは人と関わる機会の多い職種です。
コミュニケーションスキルを発揮することで、チーム全体のパフォーマンスが高まり、プロジェクトを円滑に進めることができるでしょう。
まとめ
SaaSエンジニアは、クラウド上で提供するアプリの開発に関わるエンジニアです。
バックエンドやフロントエンド、セキュリティなど、幅広い分野において高いスキルを必要とします。
SaaSエンジニアが開発するサービスは、クライアント企業の業務の質に直結します。
そのため、大きな責任を伴う立場ではありますが、将来性が高いことや、1つのプロジェクトに長期的に関わることによるやりがいなど、魅力も多いです。
弊社ESES(イーエス)はSES企業で、クライアント企業へエンジニアの技術力を提供しています。
ESESでもSaaSサービスに携わる案件を扱っているため、業務をこなしながらSaaSエンジニアとしてのスキルを磨けます。
また、ESESではエンジニア自身の希望を叶えながら活躍できるようサポートを行っているため、スキル不足を不安に思っている方にもおすすめです。
ESESに少しでも興味を持ってくださった方は、以下より詳細をチェックしてみてください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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リモートワークの普及によるSaaS需要の変化
SaaSの将来性を期待できる理由の1つとして、リモートワークの存在があります。
2020年の初頭に広まり始めたコロナウイルスの影響により、多くの企業でリモートワークが導入されました。
リモートワークの需要は高く、現在も継続して導入している企業や、リモートワークと出社を掛け合わせた勤務形態を採用している企業も多いです。
そして、リモートワークの普及に伴い、SaaSの需要も拡大しました。
SaaSとリモートワークは相性が良く、掛け合わせることで数々のメリットをもたらします。
SaaSの導入はそれほど手間がかからず、すぐに利用開始できるほか、セキュリティ管理も充実しているため、自宅や出張先での仕事にも向いています。
場所やデバイスを問わず、インターネットが使える環境であれば利用可能な点も、メリットといえるでしょう。
一度リモートワークを導入した結果、SaaSを使い続ける企業が多いことから、SaaSの利用者は今後も増加していくと考えられます。