アプリケーションエンジニアとはどんな職種?必要なスキルや向いている人の特徴まで解説
目次
アプリケーションエンジニアは文字通り、ITシステムを動かすアプリケーションを開発するエンジニアです。
要件定義から設計・プログラミング、動作テスト・運用保守など、アプリケーションの開発における一連の流れに携わります。
近年、あらゆる企業のDX化に伴って様々なアプリが開発されている背景もあり、アプリケーションエンジニアの需要は伸びています。
今後も新たなアプリが次々に誕生すると予想されるため、将来性も期待できることでしょう。
そんなアプリケーションエンジニアは、現在ITエンジニアとして働いている人が転職する職種としても人気です。
本記事では、アプリケーションエンジニアの仕事内容・平均年収・向いている人・必要なスキルについて解説しました。
これからアプリケーションエンジニアに転職するか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
アプリケーションエンジニアの仕事内容
アプリケーションエンジニアは略して「AE」とも呼ばれ、アプリケーションの開発に関する以下4つの業務を担当します。
- システムの要件定義・設計
- プログラム開発
- 動作テスト
- 開発したアプリケーションの運用保守
ただし、企業やプロジェクトによってはプログラマーを兼任したり「システムエンジニアと同義」などとされる場合もあり、細かな役割は企業によって異なります。
以下、各業務の詳細を説明するので、アプリケーションエンジニアの全体像を掴んでいただければ幸いです。
システムの要件定義・設計
アプリケーションを開発する際、最初の工程はクライアントからヒアリングを行い、必要な機能を特定する「要件定義」です。
要件定義では、どのような操作が可能で、どのようなタスクが実行できるかを明確にします。
これを行うことで、アプリケーションの方向性が定まり、その先もスムーズな開発ができます。
つまり要件定義で重要となるのは、クライアントの意向を正確にヒアリングすることです。
設計では、要件定義によって決まった機能をどう実現するかの仕様を定め、実際にプログラミングが行えるように設計書を作成します。
機能面はもちろんですが、他にも「UI(見た目)」「どのような手順で操作するのか」「処理の流れ」「他のアプリケーションとの連携」など、考えることは非常に多いです。
プログラム開発
システムの要件定義と設計が終わったら、出来上がった仕様書をもとにプログラミングをして開発作業を行います。
プログラム開発はアプリケーションエンジニアが直接担当することもあれば、別のプログラマーが担当することもあり、企業によって様々です。
後ほど詳しく解説しますが、開発するアプリケーションは主に「スマホ用アプリケーション」「Webアプリケーション」「業務用アプリケーション」の3種類に分かれます。
どの種類のアプリケーションを開発するかによって必要なプログラミングスキルが異なるため、あなたの目指すキャリアに合わせて習得する言語を選びましょう。
プログラミング言語についても後ほど詳しく解説します。
動作テスト
プログラムを行いアプリケーションが開発できたら「実際に要件を満たしているか」「使っていてエラーは起こらないか」など、様々な角度から動作テストを行います。
仮にバグが発生した場合は、問題なく利用できるまで修正します。
動作テストも、アプリケーションエンジニア自身が担当する場合もあれば「テストエンジニア」というテスト・検証の専門エンジニアが担当する場合など様々です。
リリース後にアプリの不具合・欠陥が発覚した場合、サービスや企業の信頼を損ねてしまうため、大きな責任を伴う作業です。
開発したアプリケーションの運用保守
アプリケーションエンジニアの仕事は、アプリを納品したら終わりではありません。
納品後もアプリが正常に動作するよう「定期的なメンテナンス」「トラブル時の対応」「アプリのアップデート」といった運用保守を行います。
より細かな説明をすると、システムが安定して稼働できる状態にサポートするのが「運用」であり、リリース後に発見された不具合を修正するのが「保守」です。
トラブルが頻繁に起こったり復旧までに長時間を要すると、クライアントに大きな損害を与えてしまいます。
迅速かつ正確な判断ができるよう、十分な知識が求められます。
アプリケーションエンジニアが開発する「アプリ」の種類
先述の通り、アプリケーションエンジニアは大きく以下3種類のアプリケーションを開発します。
- スマホ用アプリケーション
- Webアプリケーション
- 業務用アプリケーション
同じ「アプリケーション」という言葉であり、似たような機能を備えているように見えるかもしれませんが、実は開発目線でいうと全くの別物です。
以下、それぞれの詳細について解説していきます。
スマホ用アプリケーション
スマホ用アプリケーションは文字通り、スマートフォンにインストールして使用するアプリ全般を指します。
特定のスマートフォン(Android・iPhoneなど)を想定して作られており、ユーザーはプラットフォーム(GooglePlay・App storeなど)上からアプリをダウンロードして使用します。
1度インストールすればストレージに保存されるので、インターネット接続がなくても利用できる点が便利です。
さらに外部からアクセスしづらいので、セキュリティ水準が高いことも特徴です。
近年では様々なスマホ用アプリが開発されており、今後も需要が増加し続ける分野といえるでしょう。
Webアプリケーション
Webアプリケーションは、端末にインストールして使用するスマホ用アプリケーションとは異なり、ブラウザに直接アクセスして使用するアプリです。
アクセスすると、端末の種類に応じて画面表示などの細かな設定が自動で調整されます。
また、Webアプリはメンテナンスやアップデートがしやすいことが特徴です。
そのため、スマホ用アプリに比べて開発コストを抑えられる点が大きな強みといえるでしょう。
業務系アプリケーション
業務用アプリケーションは主に企業が導入する、日々の業務を効率的に行うためのアプリです。
ジャンルに応じて以下のようなものがあります。
- 勤怠管理
- プロジェクトやタスク管理
- カレンダー
- 会計や財務管理
- 顧客管理
業務用アプリを開発するエンジニアは、アプリ開発の知識・技術に加えて「どのようなアプリを作れば、業務を効率化できるのか」というビジネス目線も必要です。
アプリケーションエンジニアの将来性
アプリケーションエンジニアの将来性は「非常に期待できる」といえるでしょう。
これはアプリケーションエンジニアに限った話ではありませんが、IT業界は人材不足が続いています。
経済産業省が行った調査によると、IT人材不足数は2018年時点では約22万人だったのが、2030年には約79万人まで増加すると言われているのです。
そのため、ITエンジニアの需要は非常に高いと考えられます。
また近年の労働人口減少に伴い、多くの企業で「DX化」が推進されていることもIT業界にとっては追い風です。
業務効率化の一環として様々なアプリが開発されており、アプリケーションエンジニアはあらゆる企業から求められます。
一部のアプリには「AI」や「IoT」をはじめとする新しい技術が活用されていますが、これら最新技術のスキルまで身に付けられれば鬼に金棒です。
最新技術に対応できるアプリケーションエンジニアは少ないため、さらに自身の市場価値を上げられることでしょう。
参照:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」
アプリケーションエンジニアの平均年収
厚生労働省管轄の職業情報提供サイト「jobtag」のデータによると、スマホアプリ開発・パッケージソフト開発を行うエンジニアの平均年収は550万円でした。
ITエンジニア全般の平均年収は442万円なので、アプリケーションエンジニアの年収は高めといえます。
ただし、多くのITエンジニアはスキルや実績によって年収が大きく変わるのが実態です。
そのためスキルを磨いて実績を積み重ねることにより、さらに高い年収を目指すこともできます。
あくまでもイメージですが、未経験からアプリケーションエンジニアに転職した場合、最初は年収350万円程度からのスタートが一般的です。
しかし、中には年収1,000万円を超える求人も存在します。
きちんと戦略を立てて適切な実績を積み重ねれば、長期的にアプリケーションエンジニアとして年収1,000万円以上も夢ではありません。
参考:職業情報提供サイト「jobtag ソフトウェア開発(スマホアプリ)」「jobtag ソフトウェア開発(パッケージソフト)」
アプリケーションエンジニアに必要なスキル
アプリケーションエンジニアに必要なのは、大きく「プログラミングスキル」と「アプリ開発における一連の流れの理解」です。
その先は、開発するアプリの種類や案件によって求められるスキルが異なります。
まずは全体像を理解しておきましょう。
プログラミングスキル
アプリケーションエンジニアはアプリを開発するのが仕事であるため、プログラミングスキルは必須です。
開発するアプリの種類によって使用するプログラミング言語が異なるので、まずはあなたの目指す分野で何の言語が必要かを理解しましょう。
代表的なのは以下の言語です。
- スマホ用アプリケーション:Android Java、Unity、C++、Kotlin、Swiftなど
- Webアプリケーション:Ruby、PHP、HTML、JavaScriptなど
- 業務用アプリケーション:PHP、Ruby、C#など
同じアプリケーションを開発するのに複数言語を組み合わせるのであれば、並行して学ぶのもありです。
複数のプログラミング言語を習得しておくと、より市場価値の高いアプリケーションエンジニアになれるでしょう。
アプリ開発に関する一連の知識
アプリケーションエンジニアは要件定義から納品後の運用保守まで、開発全般に携わります。
そのため、開発に関する一連の流れを理解し、業務に関する知識を習得しておきましょう。
プログラミングスキルに加えて、アプリケーションエンジニアは「どうしたらより良いアプリを作れるか」といった視点や、改善案などの提案力も必要です。
特にアプリ開発の分野では新しい技術が次々に誕生しているため、常に最新情報を収集して積極的な提案ができるエンジニアは重宝されます。
アプリケーションエンジニアにおすすめの資格
アプリケーションエンジニアとして働くうえでは、客観的に知識・技術を証明できる資格を取得するのがおすすめです。
具体的には以下3つの資格がアプリケーションエンジニアの業務に役立ちます。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- システムアーキテクト試験
転職活動において、これらの資格を持っていることは非常に有利でしょう。
特にITエンジニアは実務に役立つ資格がたくさん存在するので、勉強を通じて業務に必要な知識・スキルを効率的に学べます。
資格に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある方はこちらの記事も参考にしてください。
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基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITに関する基礎知識を学べる資格です。
アプリ開発における一連の業務を担当する人向けの内容となっており、ITエンジニアにとって登竜門的な資格といえるでしょう。
基本情報技術者試験に合格すると「上位者の指導の下でシステムの設計・開発・運用ができる程度の技術水準を有している」とみなされます。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱」
応用情報技術者試験
「応用情報技術者試験」は基本情報技術者試験の上位に位置付けられている資格で、ワンランク上のITエンジニアを目指す方が対象です。
一般的には、3〜7年程度の経験を持つエンジニアが挑戦します。
取得すると応用的な知識や技術を持っていることが証明でき「高度IT人材」として認知されるため、転職の際も非常に有利な資格です。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験も、合格すればIT業界において高度な知識や技術を証明できます。
応用情報技術者試験は高度IT人材に必要な知識を幅広く網羅しているのに対し、こちらは要件定義や設計といった「上流工程を担当するエンジニア向け」に特化した試験です。
アプリケーションエンジニアとしてスキルアップを目指す方は、ぜひ取得したい資格といえるでしょう。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「システムアーキテクト試験」
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
おすすめの資格は他にもたくさんある
アプリケーションエンジニアとして働くうえでおすすめの代表的な資格は、上記の3つです。
しかし、他にもアプリケーションエンジニアの実務に役立つ資格はたくさんあります。
Javaプログラミング能力認定試験
Android技術者認定試験
App Development with Swift
PHP技術者認定試験
プロジェクトマネージャ試験
ある程度の基礎スキルを身につけたら、そこから先はあなた自身の興味・関心に合わせてさらなる資格に挑戦してみましょう。
どの資格もあなた自身のキャリアアップに役立つのは間違いありません。
アプリケーションエンジニアに向いている人の特徴
アプリケーションエンジニアとして働くうえで、あなた自身が向いているのかどうかを考えるのも大切です。
以下3つの特徴を持つ人は、アプリケーションエンジニアに向いています。
- ITに関する興味・関心がある
- 1つの作業に集中して取り組める
- 作業の効率化を考えるのが好き
以下、それぞれの特徴における詳細を解説していきます。
ITに関する興味・関心がある
アプリケーションエンジニアを目指すなら、そもそもITに興味があることが大切です。
特にIT業界は日々の変化が激しく、次々に新しい技術が生まれたり、流行も移り変わっています。
そのため、最新のIT技術を常に学ぶ姿勢が必要であり、興味や関心がなければ勉強を続けていくのは難しいです。
逆に、新しいもの好きな人は、次々に便利な技術が誕生する業界のため、飽きずに続けられるでしょう。
1つの作業に集中して取り組める
1つの作業に集中して取り組める気質の人も、アプリケーションエンジニアに向いています。
アプリケーションエンジニアはプログラミングコードを書いたり、バグが出たら修正するまで向き合ったりと、同じ作業を長時間続けることが多い仕事です。
特にバグが生じた際は、原因を突き止めて修正まで対応しなければなりません。
この終わりが見えない作業に、ストレスを感じる人は一定数います。
集中力が人並み以上にあり、細かな業務もストレスなくコツコツ進められる人はアプリケーションエンジニアに向いていることでしょう。
作業の効率化を考えるのが好き
「どうやったら作業をいかに効率化できるか?」と考える習慣のある人も、アプリケーションエンジニアに向いています。
業務を効率化するための業務用アプリケーションはもちろんですが、それ以外のものにおいても「作業をいかに効率化できるか」を考えなければなりません。
ハーバード式習慣術の中に「20秒ルール」というものがあります。
これは良い習慣を増やしたければ手間を20秒減らし、悪い習慣を減らしたければ手間を20秒増やすことで、良い習慣だけが身に付くという考え方です。
そのくらい、人は面倒な作業を嫌います。
普段から作業の効率化を考えている人は、アプリケーションエンジニアとして活躍する適性があるといえます。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
面倒くさがりな人はITエンジニアに向いている
「面倒くさがり」というと一見ネガティブな言い方に聞こえますが、裏を返せば「物事を効率的に考える人」と言い換えられます。
つまり、ゴールまで最短でたどり着く方法を考えることに長けているのです。
例えば30分かかっている作業について、根気のある人は着実にコツコツこなすことができるでしょう。
これも立派なアプリケーションエンジニアとしての適性です。
一方で面倒くさがりな人は「この作業はなくてもいいのでは?」「こうしたらもっと早いじゃん!」とより良い方法を自然と思いつきます。
一見、相反するように見える2つの適性ですが、一言で「ITエンジニアに向いている」といっても様々な要素があることを知っておきましょう。
アプリケーションエンジニアのキャリアパス
アプリケーションエンジニアのキャリアパスは、開発や運用保守からスタートするのが一般的です。
運用保守業務はマニュアルに沿って進めることが多いため、IT業界全体でも「未経験から就職しやすい職種」といわれています。
アプリケーション開発において、上流工程サイドにいる人が指示を出し、下流工程サイドにいる人は指示を受けて作業する関係です。
そのため、経験の少ない人は自然と「プログラム開発」「動作テスト」「アプリケーションの運用保守」などの業務を担当します。
運用保守でスキルや経験を積んだら、次は上流工程である「要件定義」や「設計」などの業務に携わるのが一般的です。
アプリ開発に関する一連の業務がこなせるようになった後は、大きく以下の2パターンに分かれます。
- アプリケーションエンジニアとして更なるスキルを磨き、より市場価値を高める
- プロジェクトマネージャーなど、管理者側の立場になる
どちらも簡単な道ではありませんが、アプリケーションエンジニアとして希少価値が上がるのは間違いないでしょう。
まとめ
アプリケーションエンジニアはアプリ開発の一連業務に携わる、様々な知識や経験を必要とする職業です。
近年さまざまなアプリが誕生しており、アプリケーションエンジニアの将来性は非常に期待できます。
スキルと実績を積んでいけば、豊富なキャリアパスや高年収を稼ぐことも可能です。
アプリ開発に興味のある方は、まず「自分が向いているのかどうか」を考えながら目指すことを検討してみてください。
私たちESESはSES企業としてITエンジニアの募集をしており、以下2つの強みがあります。
- エンジニアのキャリアを理想に近づけるために、エンジニア自身で案件を選べる(案件選択制度)
- エンジニアの市場価値に合った、納得感のある収入を得られる(単価評価制度)
現在ITエンジニアとして働いているが「今よりも高待遇な企業で働きたい!」と感じている方にとって、きっとお役に立てると思います。
もちろんアプリケーションエンジニアへの転職を考えている方も大歓迎です。
興味を持っていただけた方は、ぜひ以下の募集要項をご覧ください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
プロフィールを見る
需要のある仕事は大変?
「アプリケーションエンジニアは需要があって将来性がある」というと、よく返ってくる意見の1つが「それだけ人手不足な仕事は絶対に激務だから大変」というものです。
たしかに長時間労働が常態化していたり、過度なプレッシャーを感じる会社も存在します。
しかし、どの業界でも「働きやすい」と感じる職場は必ず存在するため、仕事内容だけで大変と決めつけるのはおすすめしません。
また、何を大変と感じるかは人によって異なります。
他の人が「大変」と言っている仕事でも、あなたにとっては平気なこともあるのです。
あなた自身でもよく自己分析を行い、自分にとって合う環境を選んでいきましょう。