メタバースエンジニアとは?仕事内容や必要な知識・スキルも解説
目次
近年、様々な分野で注目を集めているものの1つに「メタバース」が挙げられます。
メタバースとは、インターネット上に作り出された仮想空間のことで、その空間内では現実と同じような体験ができます。
この仮想現実の世界を実現するためには、高度な技術とノウハウが欠かせません。
そこで活躍するのが「メタバースエンジニア」と呼ばれるITエンジニアです。
本記事では、メタバースエンジニアの種類や仕事内容、将来性に加え、求められるスキルなどについて詳しく解説します。
メタバースエンジニアに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
メタバースエンジニアとは?
メタバースとは、インターネット上の仮想空間の世界のことです。
この世界は、主に「仮想空間」「アバター」「プロップ」の3つの要素で構成されています。
ユーザーは自分のキャラクターとなるアバターを使って仮想空間に入り込み、その中で現実と同様の動きをすることが可能です。
こうしたメタバースの開発に携わるITエンジニアを「メタバースエンジニア」と呼びます。
近年、IT業界に限らず、様々な分野でメタバースを活用する機会は増えているため、メタバースエンジニアの活躍の場は広がり続けています。
メタバースエンジニアの将来性
メタバースエンジニアは将来性に期待できる職種です。
理由として、メタバース市場の拡大が挙げられます。
総務省が発表した「令和4年版情報通信白書」によると、メタバースの世界市場規模は、2030年には78兆8,705億円にも上ると予想されています。
2021年に4兆2,640億円だったことを考えると、9年間で約18.5倍もの拡大率です。
この驚異的な市場拡大は、メタバースに対する需要の高さを物語っているといえるでしょう。
メタバースの活用範囲は、IT業界をはじめ、教育、医療、製造業、小売業など多岐に渡ります。
今後も様々な分野で用いられることが考えられるため、メタバース空間の構築やシステム開発を手掛けるメタバースエンジニアは、将来性のある職業といえます。
参考:総務省「令和4年版情報通信白書」
メタバースエンジニアの種類と仕事内容
メタバースの開発では、メタバースを構成する要素やインフラなど、役割ごとに担当するエンジニアが異なります。
企業や案件によって役割の分け方に違いはありますが、主に以下3種類のITエンジニアが求められることが多いです。
- ゲーム開発エンジニア
- アプリ開発エンジニア
- インフラエンジニア
ここからは、それぞれの役割について詳しく解説します。
ゲーム開発エンジニア
メタバースには、ゲームと共通する技術が多く用いられています。
そのため、ゲーム開発エンジニアは、メタバースのプラットフォーム開発を行う上で重要な役割を担っています。
インターフェースの設計やキャラクターアニメーション、3Dグラフィックスなど、様々な技術を駆使して、体験価値の高い仮想空間を実現させているのです。
なお、ゲーム開発エンジニアの中でも、Webエンジニアやブロックチェーンエンジニアなどの職種ごとに、作業を細分化している企業もあります。
アプリ開発エンジニア
近年では、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンから利用できるメタバースのサービスが増えています。
利用者はモバイル端末から手軽に仮想空間へアクセスし、アバターを操作したりコミュニケーションを取ることが可能です。
このようなモバイル向けのメタバースサービスを実現するためには、アプリ開発エンジニアの存在が欠かせません。
特に、AndroidやiOSアプリの開発経験があり、モバイル特有の制約や機能を熟知している人材が多く求められます。
インフラエンジニア
メタバース開発におけるインフラエンジニアとは、メタバースの基盤となるインフラの整備に携わるエンジニアのことです。
例えば、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアなどが当てはまります。
メタバースは、多数のユーザーが同時に使用するサービスなため、強力なインフラ環境の整備が欠かせません。
そのため、インフラエンジニアには、サーバー構築の設計や運用、ネットワークの最適化、ストリーミングデータの遅延対策など、様々な対応が求められます。
インフラエンジニアは、メタバース体験の質を左右する重要な役割を担っているのです。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
メタバースエンジニアのもう1つの仕事
メタバースエンジニアには、先述した3職種の他に「3DCGデザイナー」も含まれます。
3DCGデザイナーは、メタバース内に登場するアバターやキャラクター、衣装、アイテム、建築物などのデザインを手掛ける職種です。
メタバースがいくら高度な仕様を備えていても、その世界観や雰囲気が魅力的でなければユーザーは集まりません。
プラットフォームやサーバーの開発に注力するだけでなく、ユーザーを引き付けるデザインが不可欠なのです。
そのため、3DCGデザイナーの役割は、極めて重要といえます。
優れたデザインは、メタバース空間の魅力やリアリティを高めるための決定打となるのです。
メタバースエンジニアに必要な知識・スキル
仮想空間上で現実同様の体験ができるメタバースを開発するには、様々なスキルが必要です。
ここからは、メタバースエンジニアに求められる知識やスキルを紹介します。
- AR・VR
- AI
- 3Dモデリング・ゲームエンジン
- エッジコンピューティング
- 5G
- プログラミング
- UI・UX
メタバースエンジニアに興味のある方は、必要なスキルを理解した上で、自身に足りないスキルを洗い出しましょう。
AR・VR
メタバースでは、ユーザーが仮想空間に没入できるよう、ARやVRの技術が欠かせません。
ARとは、ARグラスやデバイスなどを使用して、現実世界に仮想のオブジェクトや情報を重ねて表示する技術のことです。
現実世界が拡張されることから、日本語では「拡張現実」と呼ばれています。
一方VRは、ヘッドセットなどを使用して、コンピューターで作られた仮想空間にユーザーを没入させる技術です。
日本語では「仮想現実」と呼ばれており、ユーザーは仮想現実世界の中で、自由に動き回ったり体験することができます。
ARとVRは、仮想空間上で現実と同様の体験をするために、重要な役割を果たしているのです。
AI
メタバースにおいてAIは、アニメーションやコンテンツ作成のサポート、自然言語処理、五感の再現など、様々な場面で活躍しています。
例えば、AIによる自然言語処理を活用することで、ユーザーがどの言語を発話してもアバターが自動的に翻訳し、他のユーザーの母語にすることが可能です。
つまりAIを利用すれば、世界中のユーザーが言葉の壁を越えて、同じ空間で自由にコミュニケーションを取れるようになるのです。
また、AIは視覚や聴覚、触覚など、人間の五感を精巧に再現できるため、仮想空間内での体験がより現実に近づきます。
このようにAIは、メタバースにおいて様々な役割を担っており、その重要性は今後も高まっていくと考えられるでしょう。
3Dモデリング・ゲームエンジン
3Dモデリングとゲームエンジンは、どちらもリアリティのある仮想空間を再現するために必要な技術の1つです。
3Dモデリングとは、コンピューター上で3次元のオブジェクトをデジタル的に作り出す技術を指します。
メタバースエンジニアは、この技術を使って、現実世界にある様々な物体をバーチャル空間に再現しているのです。
そして、作成したオブジェクトが現実世界と同様に自然な動きや振る舞いをするために、ゲームエンジンを使用してモーションやエフェクトを付与します。
このように、3Dモデリングとゲームエンジンの技術は、メタバースに高い没入感と現実感を与える上で極めて重要といえます。
エッジコンピューティング
メタバースでは、膨大な数のユーザーが、同時にデータ容量の大きな仮想空間を使用することになります。
そのような状態でも、データの処理速度を落とさないために用いるのがエッジコンピューティングです。
エッジコンピューティングとは、端末の近くにサーバーを分配配置するネットワーク技法のことです。
メタバースでは、ユーザーからのデータ送信を最寄りのエッジデバイスで処理することで、データ処理速度の遅延時間を最小限に抑えています。
また、エッジデバイスはユーザーの近くにあるため、通信経路が短くなり、効率的なデータ送受信が可能になります。
5G
メタバースを快適に利用するには、高速な通信技術が欠かせません。
5Gは、従来の4Gを大きく上回る速度・容量・低遅延の通信を実現する、次世代の移動通信システムです。
例えば、3D空間のリアルタイムレンダリングには、膨大な通信容量が求められますが、5Gであれば問題なく対応できます。
また、低遅延によって空間内の動作のズレがなくなり、没入感の向上にも貢献します。
このように、5Gの特性は大量のデータを扱うメタバース体験において不可欠であり、5Gの普及が進めばメタバースの活用シーンはさらに広がるでしょう。
プログラミング
プログラミングは、メタバースエンジニアのどの役割においても求められる、重要なスキルです。
メタバースを構成する仮想空間、アバター、プロップなどの要素は、全てプログラムによって制御されています。
特にC#やC++、JavaScriptといった言語をよく使用するため、これらを中心に複数の言語を習得しておくのがおすすめです。
プログラミングの基礎力が高いほど、メタバース開発における様々なニーズに柔軟に対応できるでしょう。
UI・UX
メタバースにおいて、ユーザーがストレスなく仮想空間を楽しめるようにするには、UI/UXの知識が不可欠です。
UIとは、画面のレイアウトやアイコン、フォントなど視覚的な部分を指し、UXはユーザーの使用体験全般を指します。
例えば、メタバース内のメニュー画面は、情報が見やすく配置されていて、ユーザーが簡単に操作できるようデザインを最適化する工夫が必要です。
また、メタバースはVRデバイスなどの入力インターフェースとの親和性も重視されるため、視線追跡や音声入力といった特殊な入力方式に対応したUIの設計が求められます。
UI/UXは、メタバース空間の操作性や情報の分かりやすさ、利用者の満足度などを向上するための重要な要素といえます。
まとめ
メタバースエンジニアは、メタバースの開発に携わるエンジニアです。
メタバースは遠隔教育や医療、製造業、小売業など、様々な分野で活用が広がっており、その市場は今後も拡大すると予想されています。
メタバースエンジニアになるには、幅広い知識やスキルを身に付ける必要があるため、積極的に学習することが大切です。
また、メタバースエンジニアとして活躍するためには、スキルに加えて実務経験も必要となります。
弊社ESES(イーエス)はSES企業で、メタバースに関する案件も取り扱っています。
「スキルの高さが不安…」「経験年数が短いからもっと経験を積みたい」と考えている人には、SES企業がおすすめです。
SES企業であれば、自身のスキルレベルや希望に沿った案件に携わりながら、スキルアップを図れるからです。
「メタバースエンジニアとして活躍したい」という目標がある人は、まずはSES企業で様々な経験を積みながら、スキルアップ・キャリアアップを目指してみませんか?
ESESに興味を持ってくださった方は、ぜひ以下より詳細をチェックしてみてください。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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教育分野へのメタバース活用が注目される背景
メタバースは様々な分野で活用が進んでいると解説しましたが、中でも教育への活用に期待が高まっています。
なぜなら、メタバースと教育分野は相性が良いとされているからです。
メタバースの中核技術であるVRは、もともとパイロットのフライトシュミレーターなど、教育の場を想定して開発されたものです。
3D空間上でリアルな体験ができるVRは、テキストだけでは伝えきれない情報を直感的に伝えられるため、受講者への高い学習効果が期待できます。
また、メタバース上ではアバターを操作することで、実際に現場に行ったような体験ができます。
この特性を活かして、企業の新人研修や危険な作業の訓練などに応用すれば、リスクを抑えながらも、臨場感あふれる実践的な学習が可能になるのです。
メタバースならではの学習手法が教育の質を大きく向上させることから、教育分野におけるメタバースへの関心は今後も高まっていくと考えられます。