制御系エンジニアとは?仕事内容や必要なスキルを解説
制御系エンジニアは、機械が正常に動作するように組込みシステムを開発するエンジニアです。
現代では、パソコンやスマートフォンなどの様々な機器を使用することが一般的となりました。
制御系エンジニアは、生活に欠かせない電子機器の設計・開発を担っているため、年々需要が高まっています。
本記事では、制御系エンジニアの仕事内容をはじめ、年収や必要なスキル、制御系エンジニアをおすすめできる人の特徴などを解説します。
制御系エンジニアについての理解を深め「本当に自分に合っているか」を考えることが大切です。
その上で、制御系エンジニアへの転職を希望する人は、自分が実際に働いている姿をイメージしながらご覧ください。
この記事の監修者
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
株式会社ESES 代表取締役社長
1990年生まれ。埼玉県出身。SES業界を「“良い”SES」にするために業界No.1の立ち位置を目指す、株式会社ESESの代表取締役。人材サービス事業を行うUZUZ(ESESのグループ会社)において、営業部長や支店立ち上げを経て、最年少で執行役員に就任した経歴の持ち主。現在は、経営業務だけでなく、営業や採用にも幅広く従事し、SES業界に革新を起こすために日々奮闘中。
制御系エンジニアとは?
制御系エンジニアは、組込みシステムの開発に携わるエンジニアで、要件定義から導入後のフォローまで幅広い役割を担います。
5G技術の進化やIoT時代の到来により制御系エンジニアの需要は高まっており、現代社会に欠かせない存在です。
ここからは、制御系エンジニアの「仕事内容」や「平均年収」に加え「組み込み系エンジニアとの違い」を解説します。
制御系エンジニアについての理解を深め、転職活動を行う際の参考にしてください。
仕事内容
制御系エンジニアの仕事内容は、大きく以下の4つです。
要件定義 | クライアントからの要望を把握し、開発の方向性を定めて仕様書を作成する |
設計・開発 | 仕様書に基づき、システムやプラットフォーム、ソフトウェアの作成を行う |
導入 | 開発が終わったら、システムの作動を確認し、顧客へ使い方を説明して納品する |
アフターフォロー | 必要に応じてトラブル対応や運用保守業務を担当する |
要件定義に基づいて、システムの設計・開発を行います。
開発言語は「C言語」「C++」「Java」などが主流です。
システム導入の際は、クライアントへの丁寧な説明が必要であり、導入後に問題が発生した場合などのアフターフォローも欠かせません。
クライアントによって依頼内容は異なりますが、全ての業務をこなすためには幅広い知識や技術を必要とする職種といえます。
平均年収
dodaの平均年収ランキングによると「制御系ソフトウェア開発」を担当するエンジニアの平均年収は430万円です。
「IT/通信全体」の平均年収は452万円のため、やや低めの水準といえます。
制御系エンジニアの中でも、トラブル対応や運用保守業務といったいわゆる下流工程の仕事を担当している場合は、収入が低くなりがちです。
ただし、スキルを身に付けて要件定義など上流工程の案件を受けられるようになれば、平均年収よりも高い収入を得られる可能性があります。
フリーランスの制御系エンジニアになれば更なる高収入を目指すことも可能なため、まずは企業で実績を積みながら資格を取得するなど、自身の強みを増やしておきましょう。
参考:doda「平均年収ランキング」
組み込み系エンジニアとの違い
制御系エンジニアと混同されやすい職種に「組み込みエンジニア」が挙げられます。
制御系エンジニアは、機械が正常に動作するためのシステムを開発する役割を担っています。
一方で組み込みエンジニアは、制御系エンジニアが開発したシステムを機器の中に組み込んでユーザーがコントロールできるようにするのが仕事です。
企業によっては、制御系エンジニアと組み込みエンジニアを兼任している場合もあるため、両方の技術を習得しているエンジニアは重宝されるでしょう。
制御系エンジニアと組み込みエンジニアは異なる職種ですが、関係性の強いポジションにあるといえます。
制御系エンジニアに必要なスキル
ここからは、制御系エンジニアに必要なスキルをご紹介します。
- プログラミングスキル
- ETSS(組込みスキル標準)
- ハードウェアに関する知識
制御系エンジニアになるには、幅広い業務に対応できるよう、様々なスキルを身に付けておく必要があります。
プログラミングスキル
プログラミングは、制御系エンジニアに限らずITエンジニアとして働く上での必須スキルです。
制御系エンジニアの場合は、主に「C言語」や「C++」「Java」などを使用します。
機器や開発するシステムによって使用言語は異なるため、複数のプログラミング言語を習得しておきましょう。
その際、使用頻度の高いプログラミング言語から優先して勉強することをおすすめします。
ETSS(組込みスキル標準)
ETSSとは、組み込みソフトウェア開発のスキル体系、フレームワークのことです。
制御系エンジニアは不足しており、必要なスキルを習得している人材の確保は難しい状況です。
そこで、経験の少ないエンジニアであっても開発に従事できるよう、ETSSは作られました。
ETSSがあることで全ての開発ができるわけではありませんが、特に経験の少ないエンジニアにとっては役立つフレームワークといえるでしょう。
また、少人数でも効率良く開発を進められるというメリットがあります。
ハードウェアに関する知識
制御系エンジニアには、ハードウェアに関する知識も必要です。
制御系エンジニアの扱う制御システムは、チップなどにプログラムが組み込まれたもので、パソコンやサーバー内だけで完結するものではありません。
IT全般のハードウェア知識に加えて、ハードウェア知識も身に付けておくことで、制御系エンジニアとしての活躍が期待できるでしょう。
制御系エンジニアにおすすめの資格
ここからは、制御系エンジニアにおすすめの資格を5つご紹介します。
- 応用情報技術者試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
- ETEC(組込み技術者試験制度)
- OCRES(OMG認定組込み技術者資格試験)
- JSTOB認定テスト技術者資格
制御系エンジニアになるための必須資格はありませんが、知識を身に付けられたり、自身のスキルレベルを証明できるなど、資格取得によるメリットは大きいです。
以下を参考に、自分のキャリアプランに合わせた資格取得を検討してみてください。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格で、制御系エンジニアに限らずITエンジニア全般に役立つ資格といえます。
情報技術者試験はレベル1〜4までの段階があり、応用情報技術者試験は上から2番目のレベル3に該当するため、ワンランク上のITエンジニアを目指す人におすすめです。
取得することでITに関する幅広い知識を持っていることを示すことができる上に、上位試験の科目が一部免除になるなどのメリットをもたらします。
参考:IPA「応用情報技術者試験」
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
先ほどご紹介した試験と同様に、エンベデッドシステムスペシャリスト試験も、IPAが認定する資格試験です。
システム開発の基礎や構築はもちろん、セキュリティや情報処理など製品を作るために理解しておきたい内容を学ぶことができます。
特に、組み込みエンジニアの間で知名度が高い資格ですが、組み込みエンジニアに携わることもある制御系エンジニアにもおすすめといえます。
参考:IPA「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETECは、JASA(一般社団法人組込みシステム技術協会)が運営するもので、システム構築に関わる工程や分析能力など、幅広い内容を扱っている資格試験です。
レベルは「クラス1」と「クラス2」に分かれており、クラス2の方が難易度が低いです。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験と同様に、組み込みエンジニア向けの側面が強いですが、制御系エンジニアの知識を総合的に試すことができます。
参考:JASA「ETEC(組込み技術者試験制度)」
OCRES(OMG認定組込み技術者資格試験)
OCRESは、国際標準化団体のOMGが主催している、世界標準の技術者試験です。
組込みシステムの設計や開発能力を問う資格試験で、高度な専門知識が求められます。
世界中で実施されている試験のため知名度が高く、取得することで日本国内だけでなく海外でも評価を得られるでしょう。
参考:OMG「OMG認定資格試験」
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQBは「Japan Software Testing Qualifications Board」の略で、ソフトウェアのテストに関する資格試験です。
制御システムは品質が重視されるため、高いテストスキルを持った制御系エンジニアは信頼を得やすく重宝されます。
設計や開発と比較して軽視されがちなテストですが、制御系エンジニアには特に必要なスキルといえるため、取得することで他のエンジニアと差別化できます。
参考:JSTQB「JSTQB認定テスト技術者資格」
制御系エンジニアに向いている人の特徴
制御系エンジニアとして働くには、知識やスキルだけでなく「自分が制御系エンジニアに向いているかどうか」を考えることも大切です。
以下に向いている人の特徴を解説しますので、参考にしてください。
- 論理的思考力がある
- コミュニケーション能力が高い
- ものづくりが好き
当てはまる特徴がある方は、制御系エンジニアとして活躍できるでしょう。
論理的思考力がある
論理的思考力は、制御系エンジニアだけでなく、ITエンジニア全般に欠かせないスキルです。
制御系エンジニアの仕事は、コンピューターに向かって指示を与えるため、感情やニュアンスなどは伝わりません。
開発を行う際、道筋を立てて考えることで作業効率の向上を図ったり、課題や問題をスムーズに解決できます。
ロジカルシンキングができる人は、優秀なエンジニアと判断され、活躍の場が広がりやすいです。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション力に自信がある人も、制御系エンジニアに向いています。
制御系エンジニアは、どの業務を担当する場合でも、コミュニケーション能力が欠かせません。
例えば、要件定義ではクライアントへのヒアリング、開発の際はチームメンバーとのやり取りなど、コミュニケーションを必要とする機会が多いのです。
どのような場面でも柔軟にやり取りができ、周囲と良好な関係を築ければ、信頼を得やすくスムーズに業務を進められるでしょう。
ものづくりが好き
「プログラミングはものづくり」といわれますが、制御系エンジニアはプログラミングを行うITエンジニアの中でも、特にものづくり要素が強い職種です。
何かを作るのが好きという人は、自分がプログラミングした製品が実際に動く面白さを感じられるため、楽しみながら業務に従事できるでしょう。
また、自身が開発した製品が多くのユーザーに使用される喜びや達成感を得たい人にも、制御系エンジニアは向いています。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
制御系エンジニアのやりがい
先述しましたが、制御系エンジニアは自身が携わった製品が世の中で使用される喜びや達成感を感じやすい職種です。
これは、制御系エンジニアの魅力であり、他のエンジニア職種では得られない場合もあります。
例えばインフラエンジニアであれば、自分が手掛けたものがユーザーの目に直接触れることはありません。
Web系やスマホアプリのエンジニアであっても、サービスはWeb上にあり、街中で消費者が商品を手に取る様子を見ることはないでしょう。
その反面、制御系エンジニアは携わった商品が実際に店舗に並ぶため、やりがいに繋がりやすいといえます。
さらに、制御系エンジニアはこれから販売される新型家電に組み込む制御システムなどの開発を行うため、まだ世にない最新技術に触れる機会が多いです。
最新の技術に携わることで自身の成長を感じられ、やりがいに繋がるでしょう。
制御系エンジニアのキャリアパス
制御系エンジニアのキャリアパスは、様々な方向性が考えられます。
最初は開発や運用保守などの比較的簡単な業務からスタートすることが一般的です。
その後、実績を積み、要件定義やマネジメントなどの上流工程を担当することで、肩書きがプロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントとなる場合もあります。
また、組み込みエンジニアやソフトウェアエンジニアなど一定の分野に特化したり、開発技術を極めていく道もあります。
キャリアパスの選択肢を把握した上で、自分の得意分野や将来性などを考えながらキャリアを決定していくことが大切です。
まとめ
制御系エンジニアは、機械が正常に動作するようにシステム開発をするエンジニアです。
要件定義や開発、導入後のフォローまで幅広い業務を担当するため、高い技術力を要します。
向き・不向きなどもあるため「制御系エンジニアという働き方が自分に合うか」をしっかりと考えることが大切です。
弊社ESES(イーエス)はSES企業で、制御系エンジニアの案件も扱っています。
ESESでは、ただ案件を任せるだけでなく、エンジニアの希望やキャリアプランに合わせてサポートを行います。
そのため「今のスキルでは不安……」「制御系エンジニアに向いているか分からない」という方でも、安心して入社できる環境です。
制御系エンジニアに興味があり、転職を考えているエンジニアの方は、弊社ESESも候補の1つとしてご検討いただけると幸いです。
監修者コメント
白川 聖悟SHIRAKAWA SEIGO
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制御系エンジニアになるメリット3選
メリットの1つ目は、高収入を目指せることです。
スキルを磨くことで好待遇の企業への転職はもちろん、フリーランスとして活躍できれば更なる年収アップを狙えます。
メリットの2つ目は、競争率が低く就職しやすいことです。
若手の人材は、技術的な注目度や在宅ワークなどの自由度が高い働き方のできる「Webエンジニア」や「SIer」に流れる傾向にあります。
そのため、結果的に制御系エンジニアの競争率が低くなっているのです。
メリットの3つ目は、キャリアチェンジや独立がしやすいことです。
制御系エンジニアは、業務範囲が広く習得できる技術が多いため、その分将来の選択肢も幅広いという特徴があります。
以上のことから、制御系エンジニアになるメリットは大きいといえます。